「犬と過ごすこと、YouTubeアニメを見ること、ヨーヨーをすること、ゲームをプレイすること、喫茶店を巡ること、本を読むこと……いろいろハマっています」

これほど多くの沼にハマっているのは、声優アーティストの土岐隼一さん。仕事をしながらも、1日の中でスケジュールを組み立てながらいろんな沼をこなしているそう。

土岐隼一

「numan」公式Instagramでは、未公開カットを掲載中!

中でも土岐さんが1番ハマっている沼は、昨年運命の出会いを果たして一緒に暮らし始めた愛犬との生活ワンちゃんが生活の中心になり大変なこともあるとのことですが、土岐さんは朗らかにこう語ります。「それがいい、それが幸せと思ってしまうんです」と。

そこで今回は、土岐さんがさまざまな沼とどのように付き合っているかを聞くと共に、今1番の癒しの存在であるワンちゃんとの出会いや生活についてたっぷりと語っていただきました。

さらに、「各楽曲の歌い方や曲順にこだわった」と話す全曲ラブソング最新ミニアルバム『Another Birthdayの制作秘話、ソロアーティスト活動5周年を迎える今だからこそ感じる推されていることのありがたさ、声優業とアーティスト活動が相互で還元されていることについてもお聞きしています。

『FF14』、ヨーヨー、喫茶店巡り、読書…沼がありすぎて時間が足りない!

――はじめに、土岐さんがハマっている沼についてお話お願いします!

土岐隼一(以下、土岐):
僕、ハマっているものがめちゃめちゃ多いんですよ。興味が尽きないタイプなので、昔から男の子がハマるものには大体ハマってきていました。

今だと、犬と過ごすこと、YouTubeアニメを見ること、ヨーヨーをすること、ゲームをプレイすること、喫茶店を巡ること、本を読むこと……いろいろハマっていますね。

――すごい、本当にいろんなものにハマっていらっしゃる……!

土岐:
ここ数年ハマっているのは、ファイナルファンタジー14(以下、FF14)』というオンラインゲームとヨーヨーですね。『FF14』は13年くらい、ヨーヨーはコロナ禍でやり始めたのでかれこれ3〜4年くらいハマっています。

土岐隼一

――1つずつお伺いしていきたいのですが、まず『FF14』について。オンラインゲームとなると交流がメインのように思いますが、どのように遊んでいるのでしょうか?

土岐:
長時間プレイするというよりは、毎日ログインしつつ時間を決めて遊んでいます。『FF14』は大学時代からプレイしているのですが、当時から入っているゲーム内のコミュニティに挨拶をしてから、その日やるべきことの目標を立てながらプレイしています。

ストーリーが重厚なので、交流しなくても楽しめてしまうのが『FF14』の良いところでもあって。年に1回ゲームソフト1本分のストーリーが追加されるので、メインストーリーを少しずつ進めるとか。

ほかにも、いい武器を手に入れるためにボスを倒すとか、ランダムでマッチングした人と一緒にバトルに行くとか。自由度がかなり高いゲームだから、畑を耕すこともあります。そうやって自分で決めた「今日やるべきこと」の目標を達成してから、ヨーヨーで遊んでいますね。

――ヨーヨーにハマったきっかけは?

土岐:
コロナ禍に、友達が「プラモデルとか好きならきっとハマると思うよ!」とプレゼントしてくれたのがきっかけですね。

ヨーヨーは僕が幼い頃に流行っていましたけど、それが独自の進化を遂げていてすごく面白くなっているんです。ヨーヨーそのもののデザインや特徴が一つひとつ違って、いろいろ買い揃えてしまうくらいにはハマってしまいました

今もバッグの中に(ヨーヨーが)入っていますよ(笑)。靴を選ぶ時と同じように、その日のファッションや気分で「今日はこれにしよう」と選んで持ち歩いています。

――ヨーヨーにはいろいろな技がありますよね。

土岐:
何万とあります。ヨーヨーのプロや大会のチャンピオンの人がインスタに技の動画を上げているので、やりたい技があれば動画を見て練習しています。

また、都内にヨーヨーの専門店がいくつかあるのですが、その中の一つの専門店の店員さんと仲良くなったので、オススメのヨーヨーだけでなく技を教えてもらうこともあります。昨日もちょうど宮田(俊哉、Kis-My-Ft2)くんへプレゼントするヨーヨーを買うために専門店に遊びに行っていました(笑)。

――タイムリーですね(笑)。土岐さんご自身は大会に出ようと思わないのでしょうか。

土岐:
大会に出られる人はレベルが違うので出ないですね(笑)。大会に出られるような技は一朝一夕にできるものじゃないと思うんです。アニメが好きな人に「じゃあ今からアフレコブースに入って役を演じてみて」と言うことと同義だと思っています(笑)。

土岐隼一

――一筋縄では習得できないレベルということですね……。一つ気になったのが、仕事が忙しい中で、どうやっていろんな趣味をこなしているのかということです。

土岐:
寝ません(笑)。……というのは半分冗談で、例えば仕事から帰ってご飯を食べたりお風呂に入ったりしたあとに、翌日の仕事の準備が終わったら1日1時間と時間を決めて、ゲームをしたりヨーヨーをしたり。

ゲームも止まらなくなるシーズンはあるものの、『FF14』は対戦ゲームではないから、「これ終わったら今日は終わり!」とできるんですよね。対人戦だと勝っていたら負けるまで、負けると負けを取り戻すまでやってしまうと思うのですが、僕はそうではないので時間で区切って楽しんでいます。ヨーヨーも同じですね。

昔は1つのことを何時間も続けることができたのですが、今は仕事もあって1つのことだけに時間を割くのはもったいないので、いろんなことを詰め込んでしまうタイプです。だからこそ、飽きがこないというのがある反面、友達と遊ぶことがあまりなくなってしまったのですが……。1日の中にいろんな予定を詰め込んでしまうから……。

――でも、皆さん誘ったら付き合ってくれませんか……?

土岐:
そうそう。みんな優しいから付き合ってくれるんですよ……! それが逆に申し訳なく感じてしまうので、1人で遊ぶことの方が多いです。

――とはいえ、スケジュールを組み立てながらいろんなことができるというのは、時間の使い方がお上手な証拠ですよね。

土岐:
言い換えれば忙しないということなのですが(笑)。でも、充実はしていますね!

YouTubeやSNSをずっと眺めているタイプではなくて、情報収集のために見るくらいですし。ぼーっとする時間も決めていて、それこそ趣味の喫茶店巡りを兼ねて一息つく時間を楽しんでいます喫茶店では読書をすることもありますけど、何もしないでぼーっとしていることが多いです。

土岐隼一

――喫茶店はいろんなところへ行かれるんですか?

土岐:
仕事の合間に行くことが多いので、いろんなところを巡っています。前の現場と次の現場の間にある喫茶店を探して行くことが多いですかね。純喫茶に行くこともあれば、スタバスターバックスコーヒー)のようなチェーン店に行くこともあります。

――喫茶店に行くと必ず注文するメニューはありますか?

土岐:
喫茶店で1番頼むのはコーヒーですね。チェーン店では、季節限定メニューを頼むことが多いです。今の時期だと、ほうじ茶ラテやウーロンティーラテを飲むことが多いかもしれません。

――たしかに、限定メニューはチェーン店ならではの楽しみ方の1つですね。また、喫茶店では本を読むこともあるとお話されていましたが、どんな本を読むのでしょうか。

土岐:
漫画も読みますが、基本は小説が好きですね。ファンタジー、SF、ミステリー……いろんなジャンルが好きです。ジャケ買いすることも多いですよ。

タイトルや帯を見て「面白そうだな、読んでみよう!」という勢いで買ったりもします。

――いろいろな作品を読んでいると思うのですが、中でも面白かった作品はありますか?

土岐:
一瞬で読み終えたのは、映画化もされている東野圭吾さんの『マスカレード・ホテル』かな。あと、『死刑にいたる病』(著:櫛木理宇)も面白かったです。これも映画化されていますね。

どちらの作品もですが、世界観に入り込んでからは一気に読み進めてしまいました。僕、小説を読む時は世界観に入るまではゆっくりなペースで読み進めるのですが、最初の10数ページ、起承転結の“承”あたりからスイッチが入ると読むペースが一気に上がるんですよ。『マスカレード・ホテル』『死刑にいたる病』はまさにそんな作品でした。

今1番ハマっている愛犬との生活「生活の基準になるほど癒しの存在」

――いろいろな沼にハマっている中で、今1番ハマっている沼を挙げるなら何でしょうか?

土岐:
今1番ハマっているのは、犬との生活ですね!

去年の10月くらいに犬を飼い始めて、生活の基準がほぼ犬になっています。朝起きて仕事へ行く前に散歩に行って、帰ったらもう1回散歩に行って……犬とおもちゃを引っ張り合いっこしながら仕事の準備や動画を見ますし、散歩をしながら『ドラクエウォーク』をしています(笑)。

土岐隼一

――何をするにもワンちゃんが軸にあるんですね(笑)。ワンちゃんを迎え入れようと思ったきっかけを教えてください。

土岐:
もともと実家で犬を飼っていて、犬が大好きだったんです。また、ここ数年で周りの仕事仲間がなぜか犬を飼い始めて、「いつかは犬や猫と一緒に暮らしたいな……」とずっと思っていたんですよ。

とはいえ、動物と暮らすって気合がいるから、仕事を始めてすぐは無理だなと思っていました。そんな中、たまたま自分が引越しした家がペット可の物件だったんです。

おそらく1年で1番忙しかった去年の8月終わりくらいに、「仕事にも慣れてきたし、この時期を乗り切ったら絶対に犬と暮らしたい!」と思い立って。ブリーダーサイトを見ていたら、「この子がいい!」と思える子を運命的に見つけたので、飼うことに決めました。

――決め手は何だったんですか?

土岐:
もともとコーギーを飼いたいと思っていたんですよ。コーギーは尻尾を短く切ってしまうことが多いのですが、できれば尻尾が残っている子がいいなと思って探していました。

あと、デビュー10周年を記念した写真集のロケ撮影で行った台湾で、有名な占い師さんに偶然占ってもらった時に、「ラッキーカラーは白と黒」と言われたんですね。

なので、「白と黒の子がいないかなぁ」と見ていたら、たまたまブリーダーサイトに「黒い女の子が生まれました」と掲載されていて。しかも、尻尾が残っていたので、その子に決めました。生後2ヶ月くらいの頃にわが家へ来て、どんどん大きくなっています。

――実際にワンちゃんと一緒に暮らしてみていかがですか。

土岐:
僕のライフスタイルに犬が合わせてくれているので、そんなに大変ではなくて。ただ甘やかすわけではなく、悪いことをしたらちゃんと叱るタイプなので、今はいたずらや無駄吠えはしなくなりましたし。興奮した時だけは「ワンワン!」と吠えますけど、僕には全然吠えないし、甘噛みもしない賢い子です。

その子の性格次第なところもありますけど、犬は頭が良いですし群れで過ごす性質だから、ダメなことは「ダメ!」と教えてあげればちゃんと覚えるんですよ。

土岐隼一

――「ダメなことはちゃんと叱る」もそうだと思うのですが、犬と暮らす上で意識していることがあれば知りたいです。

土岐:
犬の要求にすべて応えないことですね。犬の要求を全部聞いてしまうと、「この人は全部言うこと聞いてくれる都合のいい存在」と思われてしまうので気を付けています。叱る時にはしっかり叱る。

飼い始めた時から、クレートトレーニング(狭く囲まれた場所でのトレーニング)もやりました。今は夜12時くらいにクレートに入ってもらって、布を被せて「おやすみ」と伝えると人間と同じ時間にしっかり寝てくれます。

――ワンちゃんが人間の生活リズムに適応してくれれば、人間側の生活リズムが整いますよね。

土岐:
そうなんですよね。それに、犬と暮らし始めてから「犬がいるからこそしっかりしなければ!」と思うようになりました。自分の遊びの予定より犬を優先しなければいけませんからね。

なので、仕事でよほどのことがない限りはちゃんと家に帰るようにしています。何か予定があれば、実家の家族にお世話してもらうようにしています。大変なこともありますが、犬を飼っている人間からしたら、「それでいい」「それが幸せ」という気持ちです(笑)。

――幸せに健やかに過ごしてくれるだけで幸せになりますもんね……。声優仲間の皆さんもワンちゃんを飼われているとのことですが、ワンちゃん同士で交流させましたか?

土岐:
先日、廣瀬大介の犬と僕の犬を会わせました! 僕の犬は嬉しかったからか興奮しすぎてしまい、まだ犬と戯れることができないので、しっかり廣瀬大介の犬に怒られていました(笑)。「ダメだぞお前!」って(笑)。最後は少しだけ距離が縮まっていたので、これからもっと仲良くなってくれればいいなと思っています。

今後も声優仲間のワンちゃんと交流していきたいと思っています。仕事が早く終わった日に犬を連れてみんなでどこか行けたらいいなと。犬は本当に癒しですね……。

土岐隼一

あ、あと、もう1つすごくハマっているのが『ナミちゃんとミーコさん』というYouTubeアニメを見ること。女の子のナミちゃんとしゃべる猫のミーコさんが一緒に生活しているだけのショートアニメです。

以前『モモウメ』というショートアニメで声優をしていた方がつくっていて、男性の方たちなのに声を調整していることもあり、男性だとまったく気付かないほど女の子と猫ちゃんを上手く演じているんですよ(笑)。それがシュールで毎回笑ってしまいます。

――いろんなストーリーがアップされていますが、中でもお気に入りのお話はありますか?

土岐:
お気に入りは、出かけるナミちゃんを後ろからじっと見つめるミーコさんの動画ミーコはねえ、寂しいのよwww」と猫好きの友達が共感していた「申し訳なさそうに机の物を落とすネコ」です。

“猫あるある”な内容が面白いだけでなく、ナミちゃんとミーコさんの友達同士のような会話がずっと繰り広げられている映像がたまらなく好きでハマっています。見始めて2年ほど経ちますが、まったく飽きないです(笑)。

――ワンちゃんとの生活や『ナミちゃんとミーコさん』など、総じて動物がお好きということが分かりました。

土岐:
好きですね! 犬と暮らす前は友人と犬カフェや猫カフェ動物園に行くのが好きでした。仕事を始めてからそんなに行けてはいないですけど、地方の動物公園とかに行っていましたよ!

土岐隼一

次ページ▼いろんなコンセプトのラブソング集『Another Birthday』制作裏話

曲順にもこだわった、全曲ラブソングのミニアルバム『Another Birthday』

――アルバムのお話もぜひお話してほしいのですが、今回はすべてラブソングとなったコンセプトをお聞きしたいです。

土岐:
今回ミニアルバムの中で1番最初に制作が決まったのが、ルプななループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する)』というアニメのオープニングテーマであるAnother Birthdayでした。

タイアップが決まった時、アニメ制作チームから楽曲に対する要望がハッキリしていました。その曲をミニアルバムに収録するのは確定していたので、「次にそれ(ミニアルバム)をつくるのであれば、Another Birthday』に親和性のある楽曲を集めてみるのはどうだろうか」と考えたんですね。そして、「それならいっそのことすべてラブソングにしよう!」ということで、いろんなコンセプトのラブソング集になりました。

――ラブソングという軸がありながら、それぞれ全く異なる印象の楽曲が集まっていますよね。

土岐:
そうなんです。最初に歌詞が入っていないデモ音源をいただき、音楽チームと共に、「この曲はこういう歌詞が合いそうだね」と話し合いながら制作を進めました。

例えば、ミニアルバムの1曲目の「ENVY」の音源を聴いた時、サウンドに挑発的な印象を受けました。なので、「少し大人っぽい情熱的な恋愛という雰囲気を感じられるといいな」と、歌詞のイメージを作詞を担当してくださるRUCCAさんに伝えたところ、想像通りに仕上がっていて。歌詞を見たら、「まさにこれじゃん!」と思いました(笑)。

――情熱的な「ENVY」に続く2曲目の「Stand by Youth」は、爽やかなギターチューンとかなりイメージが変わりますね。

土岐:
「ENVY」は“大人の恋”をイメージしてつくっていただきましたが、Stand by Youth」は「ギターの疾走感がある楽曲をつくってもらえないか」とお伝えしました。

というのも、最近ライブでギターを披露しているんですよ。なので、今回のアルバムでもギターチューンの楽曲を入れたいなと考えて、制作していただきました。

ギターチューンのため、青春真っただなかの雰囲気がありながら、洋楽のテイストを持たせています。RUCCAさんは日本語が英語に聞こえるような歌詞をつくるのが得意な方なので、僕の楽曲には今までなかったリンキングをしてもらいました。これまで僕の曲でそういう楽曲をつくっていただいたことはなかったので、今回ようやく叶いました。

――たしかに日本語なのに英語に聞こえる歌詞が印象的でした。そして、3曲目の「Re: Feel」も印象がガラッと変化して、ゆったりと聴けるような1曲になっていますね。

土岐:
「Re: Feel」と「Treasure」は、少し達観した精神年齢高めの楽曲になっています。

今回は、リラックスして歌う雰囲気の楽曲をやってみたいと思い、少し脱力した歌い方を意識しました。洋楽のテイストを取り入れているため音数が少なく、ボーカルが際立つ楽曲になっています。アルバムを通して聴くと、小休止のような印象を受けるかもしれません。

――抜け感のある歌い方が印象的でした。

土岐:
僕自身、音数が少ない楽曲も好きなのですが、今までの楽曲はタイアップや流行もあっていろんなサウンドがぎゅっと詰まっていたり疾走感があったりするものが多かったんですよね。なので、「やっと歌えて楽しかったな。これをライブで歌ったらどうなるんだろう」と思いながらレコーディングしました。とはいえ、難しい楽曲でもあったのですが……。

――どういったところに難しさを感じたのでしょう。

土岐:
僕、歌っているとどんどん楽しくなってきて、笑ってしまうんですよ。豊永(利行)さんやオーイシ(マサヨシ)さんなど僕が好きで尊敬しているアーティストはみんな歌っている時、すごくニコニコしているんですよね。楽しさが歌に乗っていたり、パフォーマンスで歌が好きなことが伝わってきたりする人に惹かれます。

僕を応援してくださる方たちも、「楽しそうに歌う土岐さんが好き」と言ってくださる方が多いのですが、「Re: Feel」と「Treasure」は楽しそうに歌う曲とは少し違うので……。レコーディング中はなるべくリラックスした状態で録れるように意識しました。

――リラックスした楽曲が2曲続いたあと、ミニアルバムを締める「Another Birthday」。壮大なストリングスに驚かされました。

土岐:
今まで僕が歌ってきた楽曲にはない、少女漫画のオープニングのような煌びやかさを持つ1曲に仕上がりました

最初に、『ルプなな』のスタッフさんからトレンディドラマに流れるような往年のラブソングを制作してほしい」と要望をいただいたんですね。ただそれって、今のトレンドや『ルプなな』の世界観的に合う部分もあるし、トゥーマッチな部分もあると思います。

そのため、現在のトレンドを取り入れながら、「『ルプなな』側の要望を昇華させるにはどうしたらいいか」と相談しながら「Another Birthday」を完成させていきました

アニメのアフレコ現場では、収録の初日にスタッフキャストが一人ひとり挨拶をするのですが、そこで『ルプなな』のプロデューサーさんが「この作品には、こんな名言があるんです!」とものすごく濃く熱く語ってくださったんですね。なので、その熱量も感じられる雰囲気の楽曲になったと思います。

――スタッフさんの思い入れが詰まった作品にベストマッチした曲になっていますね。また、表題曲の「Another Birthday」がアルバムの最後を締めるという曲順にもコダワリを感じます。

土岐:
曲順にはこだわりました。「Another Birthday」は今までの僕の楽曲にはない、良い意味で異質な楽曲だと思います。なので、最初か最後に入れたいと考えてました。

そこで、ほかの4曲が揃った時に、スタッフのみんなと「1番壮大な楽曲は『Another Birthday』だけど、『ENVY』も表題曲になり得るほどかなりキャッチーだよね」となったんですよね。

「ENVY」をアルバムの最初に持ってきて、次に爽やかなギターチューンの「Stand by Youth」、小休止にリラックスできる「Re: Feel」「Treasure」、そして最後に壮大な「Another Birthday」で終わる。5曲連続して聴いてみた時に、満場一致で「この順番だね」となり、自分の中でもかなり納得いく曲順になったと思っています。

土岐隼一

タイトルのほかにも、ソロアーティストの活動では常々、「歌い方を楽曲によって変えられたら面白いな」「この楽曲の歌詞はこういうことを伝えているから、こういう歌い方をしてみよう」と思いながら楽曲をつくっています。今回のアルバムはそれがとても上手くできたので、ぜひ聴いてもらいたいです。

――コダワリが詰まったミニアルバム『Another Birthday』ですが、「こんな風に聴いてほしい」という思いはありますか?

土岐:
全曲ラブソングとはいえ雰囲気がかなり違う5曲になので、「このタイミングでこの曲を聴いています!」と逆に教えてほしいですね!

Another Birthday」は強い女性が主人公のアニメ『ルプなな』のタイアップ曲でもあるので、挫折しそうな時やつらい時に「前を向いて頑張りたい」と思いながら聴くのかなとか。

「Re: Feel」は透明感のある曲だから落ち込んだ時に「この曲に寄り添ってほしい」と思ってもらえるかなとか、「ENVY」はキャッチーな楽曲だから「みんなと楽しくカラオケで歌いたい!」と思うのかなとか。

いろんなパターンで聴いていただける楽曲だからこそ、そういうことを想像するのが楽しいです(笑)。

――「ライブで聴きたい!」と思う方も多そうですよね。

土岐:
そうですね! 4th Singleとミニアルバムを含めると一気に新曲が7曲も増えるので、次のライブはセットリストの半分近くを新曲が占める可能性もあります。今からセットリストを考えるのが楽しみです。

特に、これまでの僕の曲の中に「Another Birthday」を入れ込んだら、お客さんの感情がジェットコースターになりそう(笑)。どんな反応をしてもらえるか、今から楽しみです。

土岐隼一

アーティスト活動5周年目「ソロは応援してくれる人との距離がすごく密になれる活動」

――今年でソロアーティスト活動5周年を迎えますが、作品やキャラを背負わない活動に対して感じていることはありますか?

土岐:
ソロ活動を通して感じていることは、“応援してくれる人との距離がすごく密になれる活動である”ということ。作品やキャラなどコンテンツを背負っている僕を応援してくれることはもちろんありがたいと思いますが、土岐隼一を応援してくれている。だからこそ、アーティスト活動はよりファンの皆さんの熱量の高さを感じられます。

コロナ禍でアーティストデビューをしていますが、直接応援できない期間も応援し続けてくれる人がいましたし、ここ1年で応援してくださるようになった方もたくさんいて。僕を好きになってくれたタイミングは皆さんバラバラだけど、総じて熱量が高いんですよね。

――どんな時に熱量の高さを感じますか?

土岐:
特に熱量の高さを感じられるのは、トークイベントです。わざわざCDを買って申し込みをして来てくれるわけですからね。中には、九州や北海道から来てくれる方たちもいる。往復したらすごい距離だし、お金もかかるじゃないですか。しかも、「この曲で土岐さんを知りました」「いつも応援しています」と伝えてくれるんですよ。毎回「すべての人の名前を覚えられたら」「ありがたいな」と思わされます。

そこで感じた嬉しい気持ちを、本業である声優業ではもちろん、アーティスト活動にも還元していきたいと思っています。イベントやライブでお返ししていきたいし、活動の幅をどんどん広げていくことでもお返ししていきたい。そして、皆さんに「また会いに行きたい」と思ってもらえるような人間になりたい。ソロアーティストはたくさんのエネルギーをもらえる活動だと思います。

土岐隼一

――「音楽活動が声優業に還元されている」と感じることもありますか?

土岐:
ありますよ。例えば、体調管理。特に喉との付き合い方は、音楽活動を始めてからより意識するようになりました。今年35歳になりますから、パワーが低下しているとは思わないけど、よほどのことがない限りは20代の頃より上がることはないと思うんですよ。

声優という本業がある中、アーティスト活動があるからこそ、「1番いいパフォーマンスをするために、喉の調子をどうしたらいいか」はすごく繊細に考えています

また、いろんな作曲家さんの楽曲を歌わせていただく中で、曲に適した声の出し方を考えることが増えたので、それがお芝居に返ってくることもあります。

――「この歌の喉の使い方は、こういうキャラを演じる上で参考になりそう」と思うこともあるんですか?

土岐:
そうですね。歌に関しては、ボイトレの先生と「ここの部分はこういう声を出してみよう」とテクニカルに考えながら模索していることが多いんですね。なので、芝居の新しい引き出しをつくる上で、歌う時の声の出し方を参考にしています。

「このキャラを演じる上でこういう声の出し方をしたい」と思った時、「そういえばこの声の出し方って歌の方でやったことあるな」と思い出すこともありますよ。

土岐隼一

逆に、声優の表現力を歌に還元することもあります。それこそA3!』の瑠璃川幸くんの最初のキャラソンを歌う時、少し悲しげな曲だったので、レコーディングの最中にプロデューサーから「ライブで歌う時のように笑って歌わないでください」と言われたことがあって。その経験から、4th Single「SCIENCE」のレコーディングでは感情をコントロールして歌うことができました。それは声優業がアーティスト活動に還元されたことだと思います。

――声優業とアーティスト活動が相互に作用し合っているんですね。それでは最後に、5周年を迎えた今だからこそ考えている、今後ソロアーティスト活動でしたいことを教えてください。

土岐:
やりたいことはいっぱいあるんですよね……。声優アーティスト仲間の仲村宗悟といろいろ話すのですが、彼は曲も歌詞も自分でつくっているんですよ。僕には、RUCCAさんという強力な楽曲制作のアドバイザー(作詞家)がいるから、そろそろ自分で楽曲制作をしてみようかなと思っています。

もう1つは、全国ツアーをしたいですね。九州、大阪、愛知、北海道などいろんな地域の方が僕のことを応援しにライブやイベントへ足を運んでくれています。なので、次は僕が皆さんのいる場所へ足を運べる全国ツアーができたらいいなと考えています。

――「特にここは行ってみたい!」と思っている場所はありますか?

土岐:
それを言ってしまうと贔屓になっちゃうので……もちろん全部です!(笑)

ただ、行く先々で食べたいものはいっぱいあります。九州に行ったらラーメンが食べたいし、四国に行ったらうどんが食べたいし、北海道に行ったらラーメンが食べたいし……

――全部麺なんですね(笑)。

土岐:
僕も自分で言っていて、「あれ、全部麺だな」と思いました(笑)。

土岐隼一

とはいえ僕、ライブの前日に前乗りしても贅沢できないタイプなんですよ……。「本番の前にこんなに贅沢していいのかな」というマインドになってしまって。「欲しがりません勝つまでは」の精神があるというか。もったいないんですけどね。

だから、仕事終わりに贅沢をしたいのですが、ライブが終わったらマネージャーに次の日仕事を入れられてしまって。「1日くらい観光させてくれよ〜(泣)」と思うのですが、結局観光できずに帰らされるので、もしツアーができるならちゃんと観光がしたい! 今後したいことの1つです(笑)。

(執筆:羽賀こはく、取材&編集:阿部裕華、撮影:鬼澤礼門)

2ndミニアルバム『Another Birthday』リリース情報

2024年1月24日発売

初回限定盤(CD+DVD)】

土岐隼一2ndミニアルバム『Another Birthday』初回限定盤

品番:PCCG-02273
価格:¥3,960(税込)
仕様:24Pオリジナルブックレット、三方背BOX
<DVD>
Another BirthdayMusic Video,MV Making Movie

【通常盤(CD ONLY)】

土岐隼一2ndミニアルバム『Another Birthday』通常盤

品番:PCCG-02274
価格:¥2,860(税込)
仕様:8Pオリジナルブックレット,両A面仕様アニメジャケット

【きゃにめ盤(CD+DVD)】

土岐隼一2ndミニアルバム『Another Birthday』きゃにめ盤

品番:SCCG-00150
価格:¥4,950(税込)
仕様 :24Pオリジナルブックレット、三方背BOX
<DVD>
Another BirthdayMusic Video,MV Making Movie,Taiwan Making Movie*
※この映像はTBSチャンネルにて放送した特別番組を収録したものです。

※仕様・特典に関しては告知なく変更になる場合がございます。

<CD>
M1.ENVY
作詞:RUCCA  作曲/編曲:矢野達也
M2.Stand by Youth
作詞:RUCCA 作曲/編曲:徳田光希
M3.Re: Feel
作詞:RUCCA 作曲:ひろせP(YCM),Hybo(YCM) 編曲:Hybo(YCM)
M4.Treasure
作詞/作曲/編曲:小松一也
M5.Another Birthday
作詞:RUCCA 作曲:mido(HANO),廣澤優也(HANO) 編曲:廣澤優也(HANO)

土岐隼一PROFILE

土岐隼一(とき・しゅんいち)
1989年5月7日生まれ、東京都出身。A型。

土岐隼一 アーティストページ:http://tokishunichi.com/
土岐隼一 公式X(旧:Twitter)https://x.com/tokishunichi
土岐隼一 アーティスト公式X(旧:Twitter)https://x.com/tokishun_music
土岐隼一 公式YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/@ShunichiTokiOfficialChannel