新人王を手にするのは誰か。若手の奮起も見どころのひとつだ(C)Norifumi NISHIO、Tsutomu BEPPU

 2月のプロ野球キャンプインが迫る中、今季新人王の資格を持つブレイク候補たちを5人選んでみた。

 まずは、昨年のドラフト会議で3球団競合の末に西武に1位指名された武内夏暉(国学院大)だ。最速153キロ左腕の武内はツーシームやカット、スライダーカーブチェンジアップなど変化球も多彩で、国学院大学時代には昨年秋の東都1部リーグベストナイン最優秀防御率(0.97)に輝いている。

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 西武はエースの髙橋光成を筆頭に、昨季チームトップの11勝を挙げた平良海馬今井達也の3本柱がおり、プロ2年目で9勝を挙げた隅田知一郎ら豊富な先発陣が揃う。彼らと共にプロ1年目から開幕ローテ入りを目指すことになる武内だが、1年目から2ケタ勝利を狙える力を十分に備えている。

 野手ではDeNAドラフト1位・度会隆輝ENEOS)に注目だ。武内と同じく3球団が競合したスター候補は、1年目からブレイクの予感が漂う。

 父は元ヤクルト度会博文氏で、背番号も父が現役時代につけていた同じ「4」を背負いプレーする。首位打者を狙える打撃技術と、俊足強肩が持ち味の21歳外野手は1年目から「開幕スタメン」の可能性もある。

 昨年のドラフトでは他にも巨人の西舘勇陽(中大)、日本ハムの細野晴希(東洋大)といった即戦力として期待される逸材が多く入団した。彼らもまた同じく1年目から活躍が期待されるだけに、今季はルーキーたちの熱い新人王争いが繰り広げられるかもしれない。

 ルーキーだけではない。昨年はセ・リーグが阪神の村上頌樹パ・リーグ山下舜平大と、共に入団3年目の選手が新人王に選ばれているだけに、今季も候補はさらに多く存在する。

 中でも投手では阪神の高卒2年目・門別啓人もそのひとりだ。昨季一軍で2試合に登板した2022年のドラフト2位左腕は、今季も新人王の資格を保持している。

 岡田彰布監督からの期待も高い19歳は、昨季ファームで12試合に登板して防御率2.78の成績を収めており、村上に続き新人王を獲得すれば、阪神から2年連続での受賞は球団史上初となる。

 日本ハムの2年目右腕・金村尚真も新人王候補の呼び声が高い。沖縄県出身で富士大学から2022年ドラフト2位で日本ハムに入団した金村は、昨季は開幕ローテーション入りを果たし、4月9日オリックス戦でプロ初勝利を挙げた。

 右肩の故障もあり、プロ1年目は4試合で2勝に終わったが、防御率は1.80と安定感を見せた。今季はさらなる飛躍が望まれる23歳は、レイズとマイナー契約を結んだ上沢直之の穴を埋める活躍も期待される。新庄剛志監督の集大成となる3年目の年に、ローテの柱として輝きを放てるか注目だ。

 最後にもうひとり、ヤクルトの2年目外野手・澤井廉もブレイクの可能性を秘めている。昨季イースタン・リーグで18本塁打を放ち、最多本塁打賞を受賞。主砲の村上宗隆が2025年オフにもメジャー挑戦の可能性があるだけに、その後を引き継ぐ「4番」としての期待は高い。

 ヤクルトは楽天を戦力外となった西川遥輝を獲得したことで、外野のポジション争いが激しさを増す。中堅に塩見泰隆、右翼にはドミンゴ・サンタナが就くことになりそうだが、左翼には42歳の青木宣親や俊足の並木秀尊、長打力のある濱田太貴ら多数の候補がいる。

 澤井も同じく左翼のポジション争いに加わり、競争に打ち勝つことができるかがポイントとなる。昨季1軍で16試合に出場して打率.156という成績に終わった澤井。それでも、スイングスピードの速さや打球の飛距離は目を見張るものがある。23歳のロマン砲が、一軍で大きく羽ばたく予感がする。

 春季キャンプオープン戦を通じて、若手は開幕一軍への大きなアピールが必要となる。一生に一度しかない栄冠を手に入れる選手は誰になるのか。この春から戦いは始まっていく。

[文:別府勉]

2024年の新人王は誰だ? 有望新人から有資格の若手まで 今季の注目ブレイク候補5人を選出!