ビッグモーターの保険金不正請求を、自社のシェア拡大のために容認したなどの問題をめぐる損保ジャパンと親会社のSOMPOホールディングスに対して、金融庁が業務改善命令を発出しました。両社のトップは、経営から退くことになります。

損保ジャパンと親会社に業務改善命令

中古車販売大手のビッグモーターが顧客の車両修理代金などを水増しし、損保ジャパンに自動車保険の支払いとして不正請求していた問題で金融庁は2024年1月15日10時、保険の引受先である損保ジャパン(損害保険ジャパン)と親会社のSOMPOホールディングスに保険業法に基づく業務改善命令を、専用の金融オンラインを使って発出しました。

この命令を受けてSOMPOホールディングスの櫻田謙悟会長兼CEOと損保ジャパンの白川儀一社長は、経営から退くことになります。

金融庁は約5か月間の立入検査の結果、修理代金の水増しを損保ジャパンが把握した後も、両者の関係維持のため早期再開が模索され、親会社のSOMPOホールディングスが関わったことなどが、今回の行政処分につながりました。両者はビッグモーターが顧客を損保ジャパン自賠責保険加入させる見返りとして、事故車両をビッグモーターにあっせんするなどの関係にありました。

金融庁は今回の行政処分について、「(両者の)自主的な取組みに委ねるだけでは抜本的な解決につながらない可能性があり(中略)、当局(金融庁)の関与が必要と判断した」と、命令発出の理由を記しています。

立入検査が行われる以前の損保ジャパンは、保険代理店の不当な請求であると主張していましたが、これも認められませんでした。

金融庁は損保ジャパンについて、適正なルールを大きく逸脱した極めて問題のある運用を行っており、「内部統制が崩壊していると評価せざるを得ない」と指摘しています。

また、SOMPOホールディングスについては「持株会社及びその経営陣は、法令順守をグループ経営上の重要課題の一つとして位置付け、態勢の構築に取り組む」という果たすべき役割があったものの、「ビッグモーターの問題を認識した後も、同社に関する実態把握や情報分析を行っていないなど、能動的なアクションが不足しており、損保ジャパンに対する経営管理が十分に機能していない実態が認められる」と、グループ会社に対する管理責任が果たされてないことが指摘されました。

損保ジャパンとSOMPOホールディングスについて、金融庁は指摘した事項を盛り込んだ改善計画を2024年3月15日までに提出し、ただちに実行すること、その改善計画の進捗と改善状況について、3か月ごとにまとめて報告するように求めています。

損保ジャパンに業務改善命令が出された(中島みなみ撮影)。