カニサレス(右)との打ち合いを繰り広げた寺地(左)。この激闘は大きな反響を呼んだ。(C)Getty Images

 列島を大いに沸かせた激闘に、思わぬケチがついた。

 試合後も話題を集め続けているのが、去る1月23日エディオンアリーナ大阪で行なわれたボクシングWBA・WBC世界ライトフライ級タイトルマッチで、統一王者の寺地拳四朗(BMB)は、挑戦者のカルロス・カニサレス(ベネズエラ)を判定の末に破り、2本のベルトを死守した。

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 試合は文字通りの死闘だった。序盤から接近戦の打ち合いとなると、3回までに両者がダウンを喫するという激しい展開が続く。そして8回時点での公開採点では寺地がリードされる内容が明らかになり、王者も劣勢となる場面もあった。

 試合後に「カニサレス選手はめちゃめちゃ強かった。(最後は)さばくのに必死で自分の思っていたボクシングができず、悔しいです」と激闘を振り返った寺地。終盤は巧みなフットワークを駆使しながらポイントを取るスタイルを遂行。カニサレスのラッシュを何とかかわして、王座を防衛した。

 もっとも、結果に対する不満を隠そうとしなかったのは、チャンピオンを追い込んだ敵陣営だ。試合後にベネズエラ人ジャーナリストで、プロモーターとしての顔を持つジャイロ・クバ氏のX(旧ツイッター)で公開された動画で、カニサレス本人が「俺は試合に勝っていた。十分な勝者だと思っていた」と明言。そして、こう豪語している。

「しかし、ジャッジが俺に対して有利ではなかった。良いリベンジと、新たなチャンスへの準備がすでに出来ている。ベネズエラが真のボクシングの舞台であることを全世界に示すため、再戦を行うようジャッジに伝えた」

 敗者となった30歳のベネズエラ人戦士の意見を伝えたクバ氏も「大阪でカニサレスに起きたことは不公平だった。地元での闘いが重要な役割を担ったと考えている」と寺地に対する“贔屓”があったと指摘。そのうえで「UAEでのリベンジが行われることを信じたい」と、寺地へのリマッチをWBAに求めた。

 薄氷の勝利を挙げた寺地も「ベルトの重みに気付いた」という一戦。それほどの接戦だっただけに、判定結果に対する波紋はしばらく広まりそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

寺地拳四朗の薄氷の勝利にカニサレス本人と陣営は不満 SNSで判定結果に異論「ジャッジが俺に有利ではなかった」