テレビ大好きイラストレーター・渡辺裕子さんが、お気に入りの番組をかわいいイラストで紹介する連載「いつもテレビをみています」。第20回は「久保みねヒャダこじらせナイト」(毎週土曜夜、フジテレビ)をチョイス

知らない街の喫茶店で”初めまして”をしたくなる「飯尾和樹のずん喫茶」/いつもテレビをみています#19

■ダラダラしているように見えて、実は背中に刀を隠し持っている達人たち

放送開始から10年経った長寿番組「久保みねヒャダこじらせナイト」。大好きなんですが、見たことがない人にどう説明したらいいかわからない、不思議な番組でもあります。

漫画家の久保ミツロウさん、漫画家・コラムニストの能町みね子さん、音楽クリエイターのヒャダインさんの3人の、トークバラエティとでも言うのでしょうか。おしゃべりやカラオケなど、普通の人が誰かの家に集まってダラダラとお酒飲みながらやりがちなことを、ただやってるだけなんですよ。でもその「ダラダラ」がハイレベルで、達人の技なんです。

例えば、最近のニュースなどについてそれぞれがSNSにつぶやいたことについておしゃべりする「近況まとめ」のコーナー。世間的には受け入れられているみたいだけど、なんだかモヤモヤするなー、とひそかに思っていることって、ありませんか? ここでは、そういうモヤモヤを容赦無くザックリ斬り捨てる彼らの刀さばきを見ることができます。ダラダラしているように見えて、実は背中に刀を隠し持っている達人たち。

カラオケもただのカラオケではなく、Charaのように歌う「Chara選手権」や、帝国劇場でのミュージカルのようにパフォーマンスする「帝劇カラオケ」など、アレンジがすごいし、仕上がり具合も最高、毎回涙が出るほど笑い、感動して拍手しています。全員の妄想力や創造力、やりきり力が大爆発。そしてどんな歌にも自在に演奏を合わせるヒャダインさんがすごい。これもまた、達人たちの仕事ですね。

■3人が老人になっても番組が続いていてほしい

旅行に行っても思ったように楽しめない。ひとりきりで年末年始を過ごす。そういいう、一般にはマイナスに受け取られそうなことも、3人が「別に、これでいいじゃん?」とそのまま見せてくれる優しさが好きです。視聴者に「ずっと知人でいようね」と言ってくれる、距離感の取り方も好きです。このままのこじらせ方で、3人が老人になっても番組が続いていてほしい、達人として刀で斬り続けていてほしいと、本気で思っています。

■イラスト・文/渡辺裕子

「久保みねヒャダこじらせナイト」/イラスト=渡辺裕子