FAカップ4回戦、トッテナムvsマンチェスター・シティが26日にトッテナム・ホットスパースタジアムで行われ、0-1で勝利したシティが5回戦進出を決めた。

バーンリーとの今大会初戦を1-0で競り勝ったトッテナムは、2-2のドローに終わった直近のプレミアリーグマンチェスター・ユナイテッド戦から10日以上の小休止を経た4回戦で前大会王者と対戦。ポステコグルー監督はこの一戦に向けて先発1人を変更。スキップに代えて体調不良から回復したクルゼフスキをトップ下で起用。また、長期離脱明けのマディソンがベンチに戻ってきた。

一方、ハダーズフィールドとの初戦に圧勝し、大会連覇に向けて好スタートを切ったシティ。対戦相手同様に3-2で勝利した直近のニューカッスル戦から10日以上の休養期間を経ての試合となった。グアルディオラ監督はその試合から先発2人を変更。GKをオルテガに入れ替えたほか、ドクに代えてボブを左ウイングに配置した。

シティにとっては5戦全敗且つ1度も得点を挙げられていない、鬼門トッテナム・ホットスパースタジアムでの注目の一戦。互いに休養十分の好コンディションによって立ち上がりからハイインテンシティの攻防が繰り広げられていく。

共に後方から丁寧に組み立てを図るなか、攻守両面の連動性、質でわずかに上回るアウェイチームが優位に試合を進めると、開始5分にはいきなりのビッグチャンスが訪れる。相手陣内右サイドで展開を受けたウォーカーの高速クロスを中央のフォーデンダイレクトシュート。GKヴィカーリオが何とかはじき出したボールをボブが押し込むが、通算6戦目での鬼門初ゴールかに思われたこの場面は際どいオフサイド判定で認められず。

開始早々のゴールとはならずも、中央に人数をかけつつ空いたサイドに顔を出すウォーカーやボブを起点としたコンビネーション、一発で相手の背後を狙う質の高い攻撃でチャンスを窺うシティ。ただ、ウドジェ、ファン・デ・フェンと無理が効く相手の堅守を前に決定機まであと一歩という場面が目立つ。

一方、トッテナムは時間の経過とともに相手のプレスに順応し、徐々にプレス回避でボールを前進させ始める。そして、クルゼフスキやベンタンクールを配球役に快足揃いの前線が深い位置まで抜け出し、際どいクロスでチャンスシーンを創出。ただ、相手の集中した守備を前にフィニッシュには至らず。

互いに相手の出方を完全に把握した後は一進一退の展開に。副審の通信機器トラブルによる数分間の中断を経て再開された後の40分過ぎには見応え十分の攻防も。トッテナムヴェルナーの裏抜けからの折り返しでリシャルリソンに決定機が訪れれば、アケの好守で凌いだシティもコバチッチの見事な持ち上がりからボックス左のボブがシュートに持ち込むが、ここはDFペドロ・ポロの圧巻のシュートブロックに阻まれた。

タッツ上はシュート0本のトッテナムに対して、シティがシュート10本枠内2本と圧倒したものの、内容的にはほぼイーブンのゴールレスでの折り返しとなった。

互いに選手交代なしで臨んだ後半もアウェイチームが早い時間帯に決定機を創出。48分、ボックス手前左のボブが左足で入れた正確なクロスにファーサイドで反応したアルバレスがワントラップからすかさずシュート。だが、これはDFファン・デ・フェンの見事なシュートブロックに阻まれた。

一方、トッテナムも53分にこの試合のファーストシュートで決定機に迫る。相手陣内中央で浮いたヴェルナーのスルーパスに反応したブレナン・ジョンソンがボックス右でGKと一対一となるが、ここは絶妙なタイミングで飛び出したGKオルテガがうまく間合いを潰してビッグセーブ

ファーストチャンスでのゴールとはならなかったが、このプレーをきっかけに流れを掴んだトッテナム。以降はフィニッシュには至らないものの、相手を押し込んで優勢に進めていく。

これに対して少し流れが悪いシティは65分に切り札2枚を切る。ボブとアルバレスを下げてデ・ブライネ、ドクを同時投入。この交代でフォーデンが最前線に入り、ドクとデ・ブライネが2シャドー気味に立ち位置を取った。そして、真打の投入後はアウェイチームが完全に押し返し、幾度か際どい場面を作り出す。

一方のトッテナムも73分に2枚替えを敢行。ベンタンクール、ジョンソンを下げてスキップと共にこちらも切り札のマディソンを投入。これでマディソンがトップ下、クルゼフスキが右ウイングにポジションを変えた。

後半終盤にかけてはシティが押し込む状況となり、82分にはビッグチャンス。トッテナムのビルドアップを嵌めてボックス左でホイビュアからボールを奪ったフォーデンが中央でフリーのデ・ブライネにプレゼントパス。だが、ベルギー代表の右足シュートは枠の左に外れ、名手にはらしからぬ決定機逸に。さらに、ペップのチームは86分にもカウンターからフォーデンのスルーパスでボックス左に抜け出したドクに決定機も、ここはGKヴィカーリオの好守に阻まれる。

それでも、引き分け再試合の可能性が高まる状況のなかでシティが押し切る。88分、左CKの場面でキッカーのデ・ブライネが柔らかなボールをゴール前に落とすと、ルベン・ディアスブロックされた影響でボールを大きくはじき出せずにいると、こぼれに詰めたアケが押し込んだ。

土壇場の時間帯に鬼門で待望の初ゴールを挙げたシティは、残り時間を危なげなくコントロール。相手に反撃のチャンスを与えることなくクローズした。

この結果、鬼門で初ゴールと共に初勝利を挙げた王者シティが5回戦進出を決めた。一方、EFLカップに続きFAカップ敗退のトッテナムはシーズン残りはプレミアリーグ一本の戦いとなる。