子役時代には“天才子役”と評され、現在では“実力派女優”として幅広い役どころにチャレンジし続ける韓国女優キム・ヒャンギ。実は7歳で挑んだスクリーンデビューでは“溺死する役”に挑んだというから驚きだ。本記事では、お茶の間だけではなく、監督やプロデューサー、共演者にまで称賛される“高い演技力”を持つヒャンギの経歴や出演作を中心に振り返る。さまざまな役どころや彼女自身の演技への向き合い方を通じて、彼女が天才から実力派へと可憐な変身を遂げていった秘密を探っていく。

【写真】歌唱シーンに初挑戦…ギターを弾きながら歌うキム・ヒャンギ

■天才子役から実力派女優へ…華麗なる経歴を振り返る

キム・ヒャンギは、2000年に韓国の京畿道(キョンギド)・龍仁(ヨンイン)市にて生まれた。彼女が“天才”と呼ばれ数々の賞を受賞するという華やかな歴史は、キッズモデルをしていた1歳年上の兄の撮影現場に遊びに行った際、監督に声を掛けられたことから始まる。

すぐ活動に飽きてしまった兄に対し芸能の世界に興味を持ったヒャンギは、広告モデルなどを経て7歳になる2006年に映画「マウミ」で本格的に女優としてのキャリアをスタートさせた。劇中では溺死するというショッキングなシーンにも体当たりで挑み、衝撃のスクリーンデビューを果たす。

その後、子役としてさまざまな作品に引っ張りだことなったヒャンギは、2013年公開のドラマ「女王の教室」のハナ役でメインキャストに抜擢された後、「初恋デザート」や「十八の瞬間」など複数の作品に出演。着実に役者としての経験値と実力を身につけていく。

そして2017年公開の映画「神と共に 第一章:罪と罰」では、冥界の使者イ・ドクチュン役を見事に演じ、「第39回青龍映画賞」で女優助演賞を受賞した。また、2019年公開の映画「無垢なる証人」で演じた自閉症の少女イム・ジウ役では、「第39回黄金撮影賞」の最優秀女優賞と、「第39回韓国映画評論家協会賞」の最優秀女優賞をダブル受賞し、それまでの子役のイメージから“実力派女優”として確固たる地位を築いた。

その一方で、子役から女優へ成長を遂げるにあたり、ヒャンギ自身葛藤もあったようだ。以前行われたメディアのインタビューでは、“子役出身”であることに対して「焦りはあるが、未来だけを見て現在を逃したら意味がない」「どの褒め言葉よりも、今は『ちゃんと育ったね』と言われることが嬉しい」などと話しており、不安や焦りの中でも自分を客観的に見つめ、成長につなげようとする姿勢が伺えた。

■「出演するたびに何か学んで成長していきたい」キム・ヒャンギが伸び続ける秘密

“最年少千万女優”(千万=1000万人の観客動員数)や“演技の天才”などと称され、20代という若さで名実ともに韓国を代表する女優となったヒャンギ。ある時は自閉症の少女、またある時は平凡な女子高生、そしてある時は冥界の使者と、その役の幅広さは同世代の女優に比べて桁違いだ。

一見大変そうな役作りだが、ヒャンギ自身は「現実とかけ離れた役の時は、自分の思い通りに想像しながら演じられるので、クリエイティブな面白さがあります」とあくまでも前向きに捉えている。もちろん、共演者たちも彼女の演技を評価しており、映画「神と共に」で共演したキム・ミョンミンは「幼い子が演技がうまくて恥ずかしかった」と語っている。

そんなヒャンギは2023年にオンライン動画配信サービスHulu」で配信されたドラマ「プレイ・プリ」で新人俳優のシン・ヒョンスンとW主演を務めた。ヒャンギが演じたのは、“真面目な女子大生”と“顔を隠して歌を歌う人気配信者”という2つの顔を持つハンジュ役。

難しい役どころながらも、人気アイドル・ドグク(シン)に惹かれていく姿を見事に演じたことで、ネット上では「キム・ヒャンギは何をやらせても上手い」「最後まで安心して見られた」など、彼女の演技力を高く評価するコメントが寄せられている。

実際に共演したシン・ヒョンスンも、「これまでの長いキャリアで積み上げてきた底力を感じた」とインタビューで語っており、尊敬の意味を込めてヒャンギのことを“ハンジュ先生”と呼んでいたそうだ。

またヒャンギ本人も、「私は作品に出演するたびに、何か学んで成長していきたいと思ってるんです」とコメント。デビュー以降ドラマや映画に引っ張りだこなのも、彼女のこうした“向上心”や“成長意欲”があってこそなのではないだろうか。

■「プレイ・プリ」ではドラマでの初歌唱を披露

さまざまな役どころに挑戦し続けるヒャンギは、「プレイ・プリ」の出演を通して、ドラマでの初歌唱も披露している。未経験だというギターは撮影に入る前から練習を重ねたそうだが、その中でギターを弾きながら歌うシンガー・ソングライター、あいみょんの“演奏しながら歌に感情を込める姿”を参考にしたという。

またヒャンギは本作のオファーを受けた理由として、“ラブストーリーだけじゃなくて、夢を追い求めて頑張っている若者の話でもあったので”とインタビューで語っていたため、もしかしたら主人公たちの頑張りに自分自身を重ねていたのかもしれない。

等身大の新たな自分を見せつつ、“2つの顔を持つ役柄”や“歌唱シーン”などで役者としてもさらなる成長を遂げたをヒャンギ。次はどんな姿を視聴者に見せてくれるのだろうか。

Huluオリジナル「プレイ・プリ」より/(C) HJ Holdings, Inc