広島ではチームトップの19本塁打を放ったデビッドソン。しかし、彼のパフォーマンスは安定感に欠けた。(C)Getty Images

 日本で本領を発揮しきれなかった男は隣国で実力を示せるか。

 昨シーズンまで広島に在籍した助っ人砲マット・デビッドソンの今オフに興味深い決断を下した。KBO韓国プロ野球リーグのNCダイノスと契約し、アジアでの再出発を決めたのだ。

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 鳴り物入りで飛び込んだ日本では安定感に欠けた。「3Aで32発を放った強打者」という看板を引っ提げて広島に入団したデビッドソンは、チームトップの19本塁打をマーク。パワーは見せつけたが、打率.210、OPS.698、得点圏打率.136とポイントゲッターとしての役割を果たせず。わずか1年での退団を余儀なくされた。

 NPBで精彩を欠き、無念の帰国となった。そんな32歳にダイノスはなぜ手を差し伸べたのか。韓国メディア『OSEN』で「単に日本でのプレーを見てスカウトしてきた選手ではない。その前から我々は彼を見守っていた」と語ったのは、同球団のイ・ソンナムGMだ。

 かねてからマークしていたというデビッドソンについてイ・ソンナムGMは「我々は日本でも良い印象を持っていた」と告白。そのうえで、日本で花を咲かせられなかった理由を明確にした。

「彼の能力が落ちたというよりは、日本の投手たちが繰り出す、二段モーションなどの変則的な投球動作に戸惑い、タイミングを掴めなかったんだと考えている。カン・イングォン監督とも映像を一緒に見たが、監督も『フォームや姿勢は良いが、日本人投手の投球動作に適応できないようだ』という意見を出してくれた」

 当人もそれは理解している。イ・ソンナムGMによれば、デビッドソンはメディカルテストで「日本の投手たちの変則的な投げ方に苦しんで、フォームの修正を繰り返したら自分を見失った」と語ったという。

 日本では不振に喘いだ。それでも「韓国ならそういう問題は比較的に少ない」と見たイ・ソンナムGMはデビッドソン獲得に「ある程度の三振はあるだろうが、彼の長打力はより良い状況を生み出してくれるはずだ」と自信を見せた。

 果たして、広島で泣いた助っ人は、持ち前のパワーを発揮できるか。韓国での“再起”が注目される。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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