刑務所・牢屋・牢獄

アメリカの記録上「冤罪で最も長く刑務所に服役していた男性」が無罪になった。無実の罪に支払われる補償金が、年額単位では非常に少ないとの指摘もある。『WAMU』と『StarNews』が伝えている。

 

■冤罪で48年間服役

オクラホマ州のエイミー・パルンボ判事は、1975年から服役していた元死刑囚のグリン・シモンズさん(71)を、「重要な証拠がなかった」として2023年7月の再審後に仮釈放。12月19日には無罪が確定した。

シモンズさんは有罪判決を受けてから48年1ヶ月と18日服役しており、全米冤罪者登録センターのデータによれば、冤罪によるアメリカの受刑者の中で最も長く服役していたことになる。

7月に同州のヴィッキー・ベヘナ地方検事により、他の容疑者を特定した警察報告書を検察が提出しなかったことを明らかになり、パルンボ判事がシモンズさんの再審を命じていた。

そして9月に、当時事件を目撃したとされる女性の証言の矛盾点などから、「シモンズ事件に物的証拠はない」と結論づけた。

 

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■強盗容疑で死刑判決に

シモンズさんは、1974年オクラホマ州エドモンドの酒屋でキャロリン・スー・ロジャーズさんが殺害された強盗事件の犯人として、1975年に死刑判決を言い渡されていた。しかし「当日はルイジアナ州にいた」と、無実を主張し続けてきた。

共犯者とされていたドン・ロバーツさんも、2008年に仮釈放されている。1975年に殺人罪で死刑を宣告され、1977年終身刑に減刑されたが、シモンズさんと同じく冤罪で31年服役した。

会見でシモンズさんは「粘り強く名誉回復を求めた結果であり、今後の教訓となってほしい。冤罪を晴らすことが不可能だと誰にも言わせない」と語っている。

 

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■冤罪の補償金はわずか

シモンズさんは過去の不当判決に対して、州から最大で17万5,000ドル(約2,500万円)の補償を受けとる資格を得るが、年間の支払額はわずか3,600ドル(約51万円)になる見込みだ。

現在は出所後に発見されたガンの治療を受けながら、クラウドファンディングサイト「GoFundMe」で寄付金を募り生活している。

弁護人のジョー・ノーウッドさんは「連邦訴訟を起こす道が開けた」としながらも、「補償金を確実にもらえるわけではない。まず彼は、今の自分の生活を維持して生き続けなければならない」と窮状を訴えた。

冤罪で48年間服役した男性への補償金は年間51万円 名誉回復と生活費には足りず