警察官を装った犯罪者による家宅侵入や強盗といった事件が珍しくない南アフリカ。一向に治安改善の兆しが見えないなか、ついには偽警察官11人が本物の警察官を襲うという強盗事件が発生した。国民からは「ニセ警官が本物の警官を襲う、世も末の国」「この国では政治家ですらニセモノだ」といった怒りと嘆きの声があがっている。南アフリカのニュースメディア『The Citizen』などが伝えた。

事件が起こったのは1月18日南アフリカのクワズール・ナタール州トンガート(Tongaat)という地区の自動車販売店だ。警察官の制服を着た強盗11人は令状を出すという口実で販売店に入ったが、店の従業員が「令状が正当なものか確認したい」と警察に連絡した。そこで1人の警察官が警察車両で駆けつけた。警察官が到着した時、そこはすでに警察官の制服を着た複数人がいたことから、警察官は若干警戒心が薄れたまま店に入ってしまった。その結果、警察官に変装したこの強盗らに銃を突きつけられ、警察から支給された銃と自身の携帯電話を奪われた。

さらに強盗らは常駐していた警備員の銃器を奪い、店の現金を奪うと、2台の軽トラックで逃走した。幸いにも怪我人は出ておらず、警察車両も奪われることはなかった。午後2時12分ごろ、警察はこの地区の民間警備会社「リアクションユニット南アフリカReaction Unit South Africa)」に応援を要請し、ヘリコプターを使って2台の軽トラックを追跡するよう要請した。

被害に遭った警察官によると、容疑者は少なくとも11人で、うち2人は女、また全員が拳銃またはライフルを持っていたとのことだ。逃走する車とそれを追うヘリコプターの激しい追跡劇が行われるかと思いきや、今度は天候が強盗らの味方をした。リアクションユニット南アフリカのプレム・バルラムさん(Prem Balram)は、「容疑者の捜索は行われたが、雨が降り始めて視界が悪くなったため、ヘリコプター乗組員の判断によって早々に中止された」と語った。結局、犯人を検挙することはできていない。

この事件に対し、国民からは「映画みたい」「ニセ警官が本物の警官を襲うのは世も末」「(南アフリカは)偽政治家が国家を襲っている国」など、治安悪化の一途をたどる南アフリカの現状を憂い、怒りの声が殺到している。

画像は『News Panther 2024年1月18日付「Fake Cops Rob On-Duty Policeman and Car Dealership in Tongaat.」(Image: RUSA)』『Reaction Unit South Africa 2024年1月18日付Facebook「On-Duty Policeman Robbed By Bogus Cops: Tongaat – KZN」』『Metropolitan Police 2021年10月14日付「Video on social media appearing to show men impersonating police officers in east London」(Credit: Metropolitan Police)』『Yahoo奇摩新聞 2019年4月20日付「冒牌貨遇上正牌員警!毒販持假造警察證件遭攔查 遇本尊俯首認罪」(翻攝照片)』『Facts East Africa 2023年10月12日付X「FACT: Kenyan authorities have arrested a fake lawyer, Brian Mwenda」』『Mail & Guardian 2019年3月1日付「Fake SAA pilot flew under radar」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 FLYNN

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