クルマ、自転車、バイク……オールジャンルの乗り物好き専門家が2023年シーンを振り返り

【MonoMax 乗り物オブ・ザ・イヤー】クルマ部門の大賞は「日本が誇る究極のマルチパーパスカー」に決定!の画像一覧

移動の自由に注目が集まった2023年。ひと口に乗り物と言っても、その多様化には目を見張るばかりだった。そんな注目のモデルの中から、乗り物に精通する識者が審査して、2024年に乗るべき最優秀モデルを決定した!

今回紹介するのは「クルマ部門」。先日、日本カー・オブ・ザ・イヤーが発表されたことでも注目が集まるクルマ部門。根強い人気を誇るSUVやミニバン、そしてEVに内燃機など個性あふれる顔ぶれのなか、見事大賞に輝いた一台とは!?

クルマ、自転車、バイク……オールジャンルの乗り物好き専門家が2023年シーンを振り返り

モデル、トラベルライターとして活躍する山下晃和さん(左)、年間100台以上を試乗する安室淳一さん(中)、クルマをメインに執筆する乗り物ライターの近藤暁史さん(右)

日頃から乗りまくり、評価してきたその道のスペシャリストたちが集まって、2023年の乗り物シーンについて総括。モデル、トラベルライターとして活躍する山下晃和さん(左)、年間100台以上を試乗する安室淳一さん(中)、クルマをメインに執筆する乗り物ライターの近藤暁史さん(右)が本音で語る!

個性的な乗り物が続々登場 多様化が進んだ2023年

近藤 2023年もアッという間でした。アフターコロナで乗り物業界にも活気が戻ったのはよかったですね。クルマはまだ納期の問題がありますが、それもひと頃よりは落ちついて、結果として個性的でしっかりとキャラが立ったモデルに絞られた感じで、面白いクルマがたくさん出た一年でした。クルマもそうですが、自転車やバイクって、〝個〞で移動できるから、コロナ禍で注目が高まりましたよね?

クルマ業界では、クラウンのように既成概念を打ち破るモデルが発表され注目を集めた

クルマ業界では、クラウンのように既成概念を打ち破るモデルが発表され注目を集めた。

安室 125㏄のバイクが通勤快速と呼ばれて人気になって、注目のモデルもたくさん出ました。

近藤
 125㏄は性能はいいし、燃費もいい。保険もクルマの特約が使えたり、といいことずくめだから人気は出ますよね。バイクそのものも同時に盛り上がった気がします。各メーカーの販売が好調って、ニュースにもなりました。

安室
 バイク女子が話題になったりして、バイク全体が盛り上がったと思います。活気が出てくるのはバイク好きとして嬉しいニュースです。

125㏄のバイクはクラスを超える走行性能や存在感を持つモデルが多数登場!

125㏄のバイクはクラスを超える走行性能や存在感を持つモデルが多数登場!

近藤 普通二輪免許で乗れるクラスって、車検がないこともあって、やっぱり人気なんでしょうか?

安室
 各メーカーとも力を入れているし、輸入車も参入してラインナップが充実していますね。

近藤
 輸入車ですか!? このクラスの輸入車って今まであまりなかったと思うんですが、他人と違うモデルに乗りたいという人もいるだろうし、夢があるというか、いい傾向ですね。

安室
 その上の大型バイクは依然として、ネオクラシックとアドベンチャーモデルの人気が続いています。このクラスの人気は安定傾向です。

近藤 バイクと同じく〝個〞ということで人気なのが、自転車だと思いますが、今年の傾向はどうでしょう?

山下
 注目はグラベルバイクでしょう。街中からアウトドアまでカバーできるから人気は上々です。

近藤
 ロードバイクっぽいけど未舗装路もいけるって、自転車の裾野の広さにはいつも驚かされますよね。次はこう来たかと、ワクワク感いっぱいです。

山下
 ロードモデルと電動アシストモデルは、引き続き小径車の人気が続いています。街乗りで取り回しがいいから、もはや定番といった感じです。

グラベルバイクは、日常使いからオフの日のラフロード走行まで幅広い対応力で人気に

グラベルバイクは、日常使いからオフの日のラフロード走行まで幅広い対応力で人気に。

近藤 街乗りというと、2023年、話題になったのは電動キックボードです。クルマ乗りからすると、なんか尚早な感じがするんですが。

山下
 乗り手のモラルや車両の安定性に不安があるのは事実でしょう。でも正しく乗れば、都心部などでとても便利な移動手段です。

安室
 電動バイクは国内メーカーがパーソナルモデルの開発を進めていて、発売もされています。3輪モデルもあって、個性的で安心感もあるので、人気が出るんじゃないでしょうか。

近藤
 振り返ってみると、かなり動きがあり、魅力的なモデルが多い一年でしたね。続いては、MonoMax的乗り物大賞モデル「クルマ部門」編を紹介します!

【運転が楽しいSUV 大賞】スポーツカーのDNAが注入されたデザイン「ホンダZR-V」

【運転が楽しいSUV大賞】ホンダ/ZR-V e:HEV X(FF)
¥3,399,000

ホンダ/ZR-V e:HEV X(FF)
¥3,399,000
問い合わせ:Hondaお客様相談センター TEL:0120-112010

ヴェゼルよりもひと回りほど大きい中型SUV。ガソリンとハイブリッドのe:HEVの2本立てで、FFと4WDの2タイプが用意される。インパネやシートなど車内の質感も上々。300万円台からという価格帯も魅力のひとつ。[ 全長×全幅×全高=4570×1840×1620㎜、エンジン=直列4気筒DOHC、総排気量=1993㏄、エンジン最高出力=104kW/6000rpm、モーター最高出力=135kW/5000-6000rpm、燃料消費率(WLTCモード)=22.1㎞/ℓ ]

SUVで好印象だったのはZR:V。なかでもe-HEVが生み出すダイレクトな走り味がよかった。ハイペースで走っても車高のあるSUVとは思えない懐の深さがあるが、街乗りだと乗り味の硬さがある。乗り味を最優先するならガソリンがおすすめ」(橋本)

セダンライクな作り

【運転が楽しいSUV大賞】ホンダ/ZR-V e:HEV X(FF) セダンライクな作りスポーティなイメージだけに、インパネのデザインもかなりソリッドシビック譲りのパンチング加工が施されているなど個性的だ。

質感重視の室内空間

【運転が楽しいSUV大賞】ホンダ/ZR-V e:HEV X(FF) 質感重視の室内空間車高はそれほど高くはないので乗降は楽にできる。気になるリアシートのスペースは余裕があって、ゆったりと座ることができる。

【予想を超えた進化 大賞】デザインを刷新し衝撃を与えた「トヨタ プリウス」

【予想を超えた進化大賞】トヨタ/プリウス Z(プラグインハイブリッド車 2WD )
¥4,600,000

トヨタプリウス Z(プラグインハイブリッド車 2WD)
¥4,600,000
問い合わせ:トヨタ自動車お客様相談センター TEL:0800-700-7700

5代目となったプリウスハイブリッド車の普及で存亡が危ぶまれたが、デザインや走行性能などを一新。ハンマーヘッドデザインと爽快でシャープな走りには驚かされた。内装もコックピット感重視の先進的なデザインとなった。[ 全長×全幅×全高=4600×1781430㎜、エンジン=直列4気筒DOHC、総排気量=1986㏄、エンジン最高出力=111kW/6000rpm、モーター最高出力=120kW、燃料消費率(WLTCモード)=26.0㎞/ℓ ]

【予想を超えた進化大賞】トヨタ/プリウス Z(プラグインハイブリッド車 2WD )「低い姿勢と流麗なルーフラインのデザインがかっこよくて、PHEVの加速は気持ちよすぎるし、乗り心地もとてもいい。個人的にはレザーでアイボリーとかキャメルの内装が出たらさらに素敵だと思います」(まるも)

EV走行性能も進化

【予想を超えた進化大賞】トヨタ/プリウス Z(プラグインハイブリッド車 2WD ) EV走行性能も進化外部からバッテリーに充電できるのはプラグインのメリット。最大で105㎞もEV走行が可能だ。充電時間も普通充電で4時間半ほど。

【快適な乗り心地 大賞】乗り心地が超絶進化した「トヨタ アルファード&ヴェルファイア」

【快適な乗り心地大賞】トヨタ/アルファードExecutive Lounge(ハイブリッド車 2WD)
¥8,500,000

トヨタアルファード Executive Lounge(ハイブリッド車 2WD)
¥8,500,000
問い合わせ:トヨタ自動車お客様相談センター TEL:0800-700-7700

シートの作りだけでなく、乗り味の質にも磨きをかけて大進化。フロントマスクも迫力が増した。価格帯も大きくアップして、600万円台が中心。ヴェルファイアは2.4ℓターボを専用搭載するなど、差別化を図っている。[ 全長×全幅×全高=4995×1850×1935㎜、エンジン=直列4気筒、総排気量=2487㏄、エンジン最高出力=140kW/6000rpm、モーター最高出力=フロント134kW/リア40kW、燃料消費率(WLTCモード)=17.5㎞/ℓ ]

【快適な乗り心地大賞】トヨタ/ヴェルファイア

「ライバルなし。我が道をひたすら突き進み、VIP向けサルーンの風格すら漂ってきた。2列目部分だけさらに乗り味を高めるべく、シャシーに手を入れているのは驚き! 運転しても予想以上に楽しいのは魅力のひとつだ」(近藤)

【遊べるクルマ 大賞】タフなギア感とラゲッジがさらに進化した「ルノー カングー」

【遊べるクルマ大賞】ルノー/カングー インテンス(ガソリンエンジン)
¥3,950,000

ルノー/カングー インテンス(ガソリンエンジン)
¥3,950,000
問い合わせ:ルノー・コール TEL:0120-676-365

3代目となる新型はひと回り大きくなりつつ、外観のデザインはより乗用車ライクなものとなっていて内装も使いやすく進化。広大なラゲッジを中心とした使い勝手のよさは唯一無二。エンジンはガソリンとディーゼルの2本立て。[ 全長×全幅×全高=4490×1860×1810㎜、エンジン=直列4気筒 DOHC16ターボ、総排気量=1333㏄、エンジン最高出力=96kW/5000rpm、燃料消費率(WLTCモード)=15.3㎞/ℓ ]

「デザインは洗練されたけど、地球150周分にも及ぶ過酷な走行テストなどでタフギア感は継承。ラゲッジ容量が775ℓ、シートアレンジで最大2800ℓはさすが!ダブルバックドアが新型でも継承されたのもカングーらしいです」(まるも)

観音開きは健在!

【遊べるクルマ大賞】ルノー/カングー インテンス(ガソリンエンジン) 観音開きは健在!カングーといえば観音開きのバックドア。ラゲッジはスクエアで、後席を畳むと2800ℓもの大容量が出現する。アウトドアなどで大活躍。

【乗り逃し厳禁 大賞】登場から16年経った今も進化を続ける「日産 GT-R」

【乗り逃し厳禁大賞】日産/GT-R ニスモ
¥28,650,600

日産/GT-R ニスモ
¥28,650,600
問い合わせ:日産自動車お客さま相談室 TEL:0120-315-232

新型は電動化とのウワサもチラホラ。ガソリンならではの走りをGT-Rで楽しむ贅沢は今のうち。GT-Rニスモは30psアップの600psというモンスターマシン。専用タービンなど、内燃機ならではのチューニングは見逃せない。[ 全長×全幅×全高=4700×1895×1370㎜、エンジン=V型6気筒DOHC、総排気量=3799㏄、エンジン最高出力=441kW/6800rpm ]

「エンジンパワーはそのままに、マフラーなどを変更して最新規制に合わせたのはさすが。車室内に擬似音を流して、牙を抜かれた感は皆無。シャシーなどを煮詰め直してさらにフラットに走れるようになったのには驚きました」(橋本)

さらにスパルタンに!

【乗り逃し厳禁大賞】日産/GT-R ニスモ さらにスパルタンに!内装も赤ステッチなどでニスモらしさを演出。カーボンシェルのレカロシートも専用となって、車両とドライバーの一体感を高めている。

ミニバンやSUVが定番化 さらに個性派モデルが続々

「自動車評論家 まるも亜希子さん」

専門誌やウエブ、女性誌でも活躍する。女性目線でのクルマ評価には定評あり。今回は橋本氏と夫婦で参加

自動車評論家 まるも亜希子さん
専門誌やウエブ、女性誌でも活躍する。女性目線でのクルマ評価には定評あり。今回は橋本氏と夫婦で参加。

「自動車評論家 橋本洋平さん」

スポーツカーレース経験も豊富で、タイヤ評論も得意とする。走って語れる評論家として人気が高い

自動車評論家 橋本洋平さん
スポーツカーレース経験も豊富で、タイヤ評論も得意とする。走って語れる評論家として人気が高い。

「乗り物系ライター 近藤暁史さん」

タイヤとハンドルが付いているならなんでも好き。すべて自分でイジる実践派メカライターでもある

乗り物系ライター 近藤暁史さん
タイヤとハンドルが付いているならなんでも好き。すべて自分でイジる実践派メカライターでもある。

近藤 改めて眺めてみると、内燃機かEVかに揺れる今の状況がよく出ていると思うんですよね。SUVやミニバン人気は根強いけど、それ以外でも魅力的なクルマがたくさん出た感じ。

まるも
 トヨタ プリウスに注目しました。あんなに大胆にデザインが変わるとは思わなかったですね。

橋本
 走りでいえばプラグインハイブリッドがあってエンジンがちょっと違うんですが、そもそもプラグインバッテリー容量が大きく電気だけでもかなり走れるので、あの静かさを知っちゃうとハイブリッドでも物足りなくなっちゃいますね。

近藤 SUV人気は続く感じですね。

橋本 ホンダ ZR-Vはよかったです。デザインもいいけど、パワートレインなどをニーズに合わせてキッチリと用意しているのはさすがだし、走りもスポーティでホンダらしい感じで好印象。

近藤 ミニバンといえば、トヨタ アルファードが新型になってこれも驚いた。

橋本 日本カー・オブ・ザ・イヤーでは、満点を入れたほどよかったですね。特に2列目の乗り心地はすごい! 日本の誇りといえるクルマへと進化しています。あと、ハイブリッドにも関係するけど、日産 セレナのeパワーはエンジンを変更したし、バッテリー残量とナビが連動する優れもの。プロパイロット2.0も家族向けにおすすめしたい機能ですね。

まるも ルノー カングーは洗練されつつ、使い勝手とかは今まで同じだったのでひと安心。広大なラゲッジがさらに拡大していたのは驚きです。

近藤 そして最後は逃すな内燃機。

橋本 そこはなんといっても日産GT-R! デビューから10年以上が経った今でもしっかりと進化している。

まるも BMW X1はBEVの他にも、ガソリンとディーゼルがあってどれも爽快な走り。ディーゼルは一度の給油で約1200㎞も走るのは個人的に魅力です。

近藤 やっぱり内燃機って味わいがストレートでいいんですよね。

【大賞】軽ワンボックスの使い勝手のよさにオフロード性能をプラスした日本が誇る究極のマルチパーパスカー

【大賞】三菱/デリカミニ T Premium 4WD
¥2,238,500

三菱/デリカミニ T Premium 4WD
¥2,238,500
問い合わせ:三菱自動車お客様相談センター TEL:0120-324-860

昨年5月の発表から快進撃を続ける、SUV風のハイト系ワゴン。グレード体系も自然吸気のG系とターボのT系とわかりやすく、それぞれにFFと4WDが用意される。快適装備だけでなく、安全装備もかなり充実している。[ 全長×全幅×全高=3391471830㎜、エンジン=直列3気筒DOHC、総排気量=659㏄、エンジン最高出力=47kW/5600rpm、モーター最高出力=2.0kW/1200rpm、燃料消費率(WLTCモード)=17.5㎞/ℓ ]

【大賞】三菱/デリカミニ T Premium 4WD「ここ数年で明らかに質が上がっているのが三菱のデザイン。その真骨頂がデリカミニだ。eKクロススペースベースを感じさせない個性的なマスクはさすが。見た目だけでなく、オフロード性能も高めているのは三菱らしいところ」(近藤)

自転車のプロも試乗!たたまずそのまま入ってビックリ

【大賞】三菱/デリカミニ T Premium 4WD 自転車のプロも試乗!たたまずそのまま入ってビックリ「開口部の高さは1080㎜! ハンドルをたたまなくても入ったのは驚き。上級グレードでは、樹脂製ボードで汚れを気にせず使える」(山下)

大人4人でも楽々移動可能

【大賞】三菱/デリカミニ T Premium 4WD 大人4人でも楽々移動可能車内の各寸法はベースのeKクロススペースと同じなので広大だ。シートは専用の撥水生地を採用していて、アウトドアでも大活躍。

走りもデリカD:5譲り

【大賞】三菱/デリカミニ T Premium 4WD 走りもデリカD:5譲り4WD車は専用チューニングやタイヤの大径化で、悪路走破性を高めている。見た目だけでなくて、実際に頼もしいのも人気の秘密だ。

三菱デザインの勝利! 発売と同時に大ヒット

近藤 問題になった納期の長期化はひと段落して、新車もコンスタントに出た一年でした。しかも個性派揃い。なかでも世帯ありの普及率が50%を突破した軽自動車は、もうネタが尽きたかと思いきや、三菱 デリカミニはさらなる可能性を見せてくれましたよね。

まるも 実は日本カー・オブ・ザ・イヤーで満点を入れたぐらい気になったクルマです。歴代デリカのエッセンスをうまく採り入れたフロントマスクが特徴で、ヘッドライトはミリ単位で角度を調整して、やんちゃ坊主顔を作り上げたりして、こだわりがいっぱい。

橋本 デザインチェンジだけでここまで話題になったのはすごいことだと思うよ。「デリ丸。」を使ったCMとか、クルマに興味がない人も振り向かせた手法というのも素晴らしい。

まるも 私もデリカミニの化身、「デリ丸。」はとてもお気に入り。

近藤 見た目だけじゃないのがデリカミニという三菱のすごいところ。

橋本 4WDは足まわりなどを変更して悪路にも対応しているからね。

まるも タイヤサイズも変えて走りもデリカらしさを追求していて、本家デリカD:5の開発担当者も加わって、テストコースでオフロードの走りも追求したというから熱意がすごい。近藤 性能やデザイン、キャラ使いなど、大ヒットなのも納得ですね。

取材・文/近藤暁史、安室淳一、山下晃和 撮影/山本佳吾

【MonoMax 乗り物オブ・ザ・イヤー】クルマ部門の大賞は「日本が誇る究極のマルチパーパスカー」に決定!