櫻坂46菅井友香と中村ゆりかがW主演を務めるドラマ「チェイサーゲームW パワハラ上司は私の元カノ」(毎週月曜深夜2:35-3:05、テレ東ほか)。同作は、2022年9月に放送されたドラマ「チェイサーゲーム」のゲーム会社を舞台にしたドラマ化第2弾として、原作にはない設定とオリジナルストーリーで構成。ゲーム会社に勤めるレズビアン上司と部下二人の恋愛模様を軸に、元恋人への未練から生まれる屈折した感情の葛藤を描いた“復讐愛憎劇”となっている。WEBザテレビジョンでは、主演の菅井・中村にインタビューを実施。お互いの印象や撮影秘話について語ってもらった。

【写真】頬を寄せ合う菅井友香&中村ゆりか

■「見せたいものを見せるのではなく、見えないものを見せていく」作品

――まずは、作品への出演が決まった時の感想を教えてください。

中村:出演を聞いた時は、すごくうれしかったというのが率直な思いでした。これまで取り組んだことのないストーリーでしたし、楽しみにしている題材も含まれていて、楽しみな撮影が始まるんだなと予想させるような出演のお話だったので、とても光栄な気持ちでした。

菅井:最初、中村ゆりかさんとダブル主演を務めさせていただけると聞いて本当に驚きましたし、光栄でうれしかったです。それと同時に、私自身は6年半ぶりのドラマ出演になるので、緊張や「頑張ろう」という気持ちなど、いろいろな思いが入り混じりました。

――社会問題に切り込んでいくストーリーですが、作品にかける思いはいかがでしょう?

中村:社会問題LGBTQ+、レズビアンの恋愛模様を描くこと、ゲーム業界の話や家族の話も出てくるので、いろいろな要素が含まれていて、とても大きな挑戦になるのかなと。

プレッシャーに感じることはなかったですが、ドラマを通じて伝えたいことがたくさんありますし、そこを大事にしながら、向き合いながら取り組んでいけたらという思いで撮影に挑みました。

菅井:最初に企画について聞いた時に「見せたいものを見せるのではなく、見えないものを見せていくドラマにしたい」と伺い、私もいろいろな社会問題に対してもっと学んでいかないといけないなと、今回演じさせていただく上で思いました。

■役柄については「共感できる部分も」(菅井)「私は彼女とは反対」(中村)

――今回お二人が演じる樹と冬雨という役について、最初はどんな印象を受けましたか?

中村:「こういう人もいるかもしれない」とは感じていました。タイトルにもなっている「パワハラ上司」が私になるのですが、そういう役をやるのが初めてだったので、どんなイメージでやろうかなと。ただ、せりふ自体がキツいので、淡々としているだけでもそれっぽさは作れたかなと思っています。

あとは、元恋人と再会し復讐心を働かせて自分の思い通りになるよう動いていく、強い女性像だと感じました。私は彼女とは反対ですが、性格などを理解しながらできたのかなとは思います。普段やらない役柄を演じられるのが役者の特権なので、楽しかったです(笑)。ただ、伝えたいのは「パワハラはダメだよ」ということですから。

菅井:私が演じる樹という役は、ゲーム会社でリーダーに抜擢された、仕事に一生懸命取り組む女性なのですが、恋人だった冬雨のことをずっと思いながらも、それを振り払うようにして仕事に邁進しています。そして、両親がおらず祖母に育ててもらっていたこともあり、人には見せない孤独があったのかなと想像しながら演じていました。

自分もグループでリーダーを務めていたことがあるので、会社で意見のぶつかり合いがあった時に翻弄される部分に共感したり、樹が正義感の強さゆえにチームメンバーを庇おうと空回りするシーンも分かるなと思ったりしていました。

――反対に、お互いの役への印象はいかがでしたか?

中村:樹は、リーダーとしての素質とみんなを引っ張っていく強さのある女性ですよね。私が樹と会ったならきっと甘える方なので、そういうところの頼もしさが魅力的で印象的だなと思いました。

菅井:冬雨は仕事に一生懸命ですごく戦っている人。大変な仕事環境の中で、本当は休みたいだろうし甘えたい時もあるだろうけれど、それを隠して頑張っている女性です。そんな一面がありつつ、樹への真っ直ぐな思いを抱えていて。脆いところや繊細な魅力も持っている人という印象です。

■お互いの印象を明かす「柔らかい雰囲気の魅力的で上品な方」「冬雨とは違ってホワホワしてる」

――今作が初共演のお二人ですが、お互いの印象はどうでしたか?

中村:菅井さんは、初めてお会いした時から柔らかい雰囲気の魅力的で上品な方です。今もずっと変わらないですが、長い期間一緒に撮影をしているとだんだんとお互いに気を許しあって良い意味でふざける感じになって、またそれもすごく魅力的でした。

あとは、お互いにお菓子が大好きなので、お菓子のあるところへ行って一緒に休憩時間を過ごしていました。すごく朗らかな空気でいられました。

菅井:中村さんは、演じる冬雨とは全然違ってホワホワしている方。そんな柔らかい雰囲気で現場に笑いを生んでくれたり、安心できるような空気感を出してくださったりしていました。撮影の朝が早いこともあり、カットがかかると寝ちゃうなんてことも(笑)。ですがカメラが回るとスイッチが入っていて、切り替えがしっかりされていてすごいなと思いましたね。

――実際にお芝居をしてみて、いかがでしたか?

中村:樹がすごく頼もしいキャラクターで、菅井さんが演じているのを見ていてすてきだと感じました。樹を見ていると「冬雨もこういうところに惚れたんだろうな」っていうのが分かるような気持ちがしました。

菅井:冬雨の“復讐する”という強さのみならず、その中にある繊細な部分も中村さんのお芝居から感じられて、細かな表情や表現に感動しました。

■中村ゆりかは劇中で得意な中国語を披露「ずっと取り組んでみたかった役」

――作中では“復讐”をするための過激なシーンもありますが、どのように二人で演技を作っていったのでしょう?

中村:初対面ではありましたが、台本に描かれていない部分を「こういう過去があったから今、こういうシーンになっているよね」と話し合いました。そうやって歩み合えたことがよかったのか、その後の撮影も固く考えずに取り組めた気がします。

菅井:個人的には、ゆりかさんがいて心強かったです。緊張してしまうようなシーンやお互いぶつかり合うようなシーンも、思い切り来てくださるので心動かされましたし、遠慮なしでぶつかることができました。

――中村さんは作中で中国語を話されていますが、語学を作品に生かせる部分についてはいかがでしたか?

中村:ずっと取り組んでみたかった役で、自分が活用したい言語を使えるのは何より光栄な気持ちでいっぱいでした。なので「もっとこのせりふに中国語を入れられるのではないか」と監督に提案したり、実際に使ってもらったり…。本当にありがたかったです。

――実際に菅井さんは中村さんの中国語を話している姿を見てどうでした?

菅井:かっこよかったです。作中以外でも、夫役の河合さんとお話していましたよね。何を話しているのか、私は全然わかりませんでしたが(笑)。

中村:「日本のマクドナルドと中国のマクドナルドって全然違うよね」って。フライドポテトの固さと柔らかさの話をしていました(笑)。

■樹&冬雨のバトルシーンは「実際に演じていても引き込まれた」

――演じる中で、印象的なシーンやせりふはありましたか?

中村:4話の樹と冬雨がバトルするシーンですね。これまで抱えていた感情が、そこで溢れてしまうのが印象的でした。そのシーンがあるからこそ、そこまでのやり取りや冬雨の樹に対しての強い気持ちを理解することができました。実際に演じていても引き込まれた場面でした。

菅井:私は、喫茶店で撮影したシーンです。樹と冬雨が一緒に喫茶店に行くシーンがたくさんあったのですが、そこで気持ちを伝えたり、いろいろなことが起こったりするので、自分の中でも思い出に残っています。

――レズビアン同士、復讐愛憎劇と難しい役かと思います。演じる上で意識していたことはありますか?

中村:私の演じる冬雨の話だと、樹に対して攻撃してしまう部分と会社のシーンとでは真逆ですし、家庭のシーンでもまた違った冬雨の一面が表れています。場面ごとにいろんな姿があるので、そこを大事にしながら演じていました。

菅井:冬雨とやむを得ず離れ離れにならなければいけなかったこと、いろいろな過去を抱えて何重にもなった心の状態に向き合いながら演じることに、やりがいと難しさを感じていました。だからこそ、4話以降の冬雨との時間がすごく幸せで…。楽しさも難しさも両方あったかなと思います。

――最後に、見どころを教えてください。

中村:新たなオリジナルストーリーになっていて、女性がメインで働く社会も描かれています。そういったところに心動かされるものがあるのではないかと思っています。そして、樹と冬雨の恋愛模様もきれいに描かれているので、そこも楽しみにしていただきたいです。

あとは、それぞれの登場人物がこのドラマにどう絡んでいくかも注目ポイントです。ゲーム業界のリアルな場面や復讐愛憎劇、たくさんの要素が含まれた新感覚なドラマとして、皆さんのところに届いてくれたらうれしいです。

菅井:気合いを入れて毎日、一生懸命撮影しました。登場人物が皆さん個性豊かで、見ていてきっと心動かされるし、笑ったり泣いたりするシーンが盛りだくさんになっているので、より多くの方々に届いたらうれしいです。

菅井友香&中村ゆりかにインタビューを実施/撮影=阿部岳人