JALが20年ぶりに導入した新型長距離国際線主力機「エアバスA350-1000」。このなかでも前評判が高い座席グレードがプレミアムエコノミーです。「従来のビジネスクラスのような」とアピールするこのクラスに、実際に乗ってみました。

計24席が設置

JAL日本航空)が2024年1月24日より、新型の長距離国際線主力機「エアバスA350-1000」を就航させました。同社が長距離国際線主力機を更新するのは約20年ぶり。そのなかでも前評判の高い座席グレードが「プレミアムエコノミー」です。実際に、最初の導入路線であるニューヨーク羽田線に乗ってみました。

JALのA350-1000は、ファースト/ビジネス/プレミアムエコノミーエコノミーの4クラス構成で、うちプレミアムエコノミー計24席が設置されています。以前からJAL国際線にはプレミアムエコノミーの設定はあったものの、A350-1000ではその仕様を抜本的に刷新。同社が「クラス最高峰の快適性を目指した」「従来のビジネスクラスのような快適性」とアピールするその座席とは、どのようなものなのでしょうか。

A350-1000に搭載されたプレミアムエコノミーは、横2-4-2列の8列構成(エコノミーは9列構成)。座席のシートピッチ(前後間隔)は約107cm(42インチ)、幅は最大約48cm(19インチ)。スペースとしては現行のボーイング777、787のものとほぼ同等ながら、座席の内容が大きく進化しています。

各席は、隣の乗客の視線が気にならない可動式の大型プライバシーパーティションで仕切られています。中央席の4列のなかで、通路に面していない2席はより大型のものが搭載されています。今回はその中央2席のうちのひとつに座りましたが、通常着座時では両隣の乗客の方の顔は全く見えません。

座席には毛布、クッションなどのほかに、スリッパやアメニティなども設置。ドリンクや機内食エコノミーを基準としながらも、このクラス限定のメニューなども存在します。

これは「新種の神席来たぞ!」な設備の数々

A350-1000の座席設備は従来比1.3倍サイズとなる16インチの4Kモニターと、USBポート(タイプA・タイプC)、電源コンセントなど。シートの背もたれも電動で動くようになっており、JALによるとこれは世界初の取り組みなのだとか。同じく電動のレッグレストも装備され、ほぼ座面と水平な角度まで調整できます。ちなみに電動化のもっとも大きな効果は、背もたれリクライニングから通常姿勢に戻す際も、「力を要さない」点だそう。背中をつけた状態でも自由自在に角度を微調整できます。

ビジネスクラスのように“フルフラット”とはなりませんが、レッグレストを一番上まで上げて、体育座りやあぐら姿勢で過ごすこともできます、背もたれ・レッグレストをうまく調整して寝やすい姿勢を見つけられれば、かなり快適な移動が可能です。

筆者は背もたれをフルに倒して、レッグレストを水平ギリギリのラインまで上げ、体を横にして過ごすのが、このフライトでの“ベスポジ”でした。この姿勢は、隣席の人の存在が気にならないパーティションがあってこそで、従来のプレミアムエコノミーではほぼ不可能でしょう。ちなみに、各席には囲いがあり、前席の乗客がリクライニングしても、背もたれが倒れてこない仕様が採用されています。自席をフルに倒しても、前席の方に影響を及ぼすことはありません。

また、この座席にはタブレットも設置可能なトレイやペットボトルホルダー、機内食や大型パソコンも難なくおけるテーブルも設置されています。リラックスして過ごすことはもちろん、移動中に自らのデバイスで仕事や動画視聴などをするにしても、従前より間違いなく使い勝手がアップしています。

ただ、USBポートやコンセント、イヤホンの差し込み口はちょっと見つけにくいかもしれません。これらは、多くの旅客機で見られるモニター下や座席の足元にはなく、肘掛け下の収納スペース内の前後に、埋もれるように隠れています。

とはいえ、この位置にあることで、テーブルを出し入れする際にもケーブル類がひっかかりづらく、席周りがスッキリした状態で過ごせるなどのメリットも多く、ひとたび見つけてしまえばその良さがわかります。ガイドなどをしっかり見ないと位置が分からないので、その周知方法が今後のポイントになりそうです。

今回のニューヨークから羽田までは、直線距離にして1万km超、所要時間も14時間と相当のロングフライトになります。ニューヨーク以外では羽田~ダラス・フォートワース線もA350-1000の投入が計画されており、今後も欧米の超距離路線を担当すると見られます。

プレミアムエコノミーの座席設備は、確かに「ちょっと前のビジネス」のような座席を、その時代よりコスパ良く体験できるものでした。実際この日も少し空席が残っていた他クラスに対し、プレミアムエコノミークラスは満席。今後、長距離移動者にとっては、屈指の人気席となっていくことは間違いなさそうです。

JALのエアバスA350-1000。ニューヨーク・JFK空港で(乗りものニュース編集部撮影)。