光る君へ』第3回(C)NHK



続々と新しいキャラクターが登場している大河ドラマ『光る君へ』。


紫式部の一生を描く本作、主演は吉高由里子だ。


静かな権力争いが激しくなっていく中で、まひろ吉高由里子)にも変化が起きてくる。今後の物語の中核になっていくであろう人物たちと共に振り返る。


◆まるで学生時代の教室の空気感



光る君へ』第3回(C)NHK



ライバルである左大臣家の動向が気になる右大臣・藤原兼家(段田安則)は、為時(岸谷五朗)をけしかけ、まひろを左大臣・源雅信(益岡徹)の屋敷へと送り込む。そこでは、雅信の娘・倫子(黒木華)をはじめとした身分の高い姫君たちが和歌の勉強会を行っていた。周囲の姫たちに比べると、まひろは身分が低い姫なので、あからさまにほかの姫たちは怪訝な様子を見せるが、倫子は大らかに受け入れる。


そこで行われたのは「偏継」。漢字の旁(つくり)を示し、これに合う偏の札を取るというものだったのだが、まひろは無双した。


圧倒、というか、若干引き気味の姫君たち。初回から感じていたのだが、この女性同士の空気感、学生時代の教室で感じたものに似ている……。仲間外れにならないように周りに気を遣う感じ!そして笑顔を見せながらも、何を考えているのか分からない感じ、察しようね、という感じ。


とは言え、まひろはそういうことを察するタイプにも見えない。


それなりに初めての集まりに満足して帰ってきたようだが、為時とから倫子の様子を聞かれ、ハッとする。自分は間者として使われていたのだと。


倫子と仲良くなれるように務める、と言ったが、その実、はらわたは煮えくり返っているに違いない。それでも、その怒りを爆発させなかったのは、勉強会の日だけは外出禁止が解かれるから、なのだろうか。それとも……。


まひろと道長のキーパーソンも登場か



光る君へ』第3回(C)NHK



一方、誤って役人に捕まってしまった道長(柄本佑)。


自分が原因を作ったこともあり、道長の身を案じているまひろのもとに、謎の男が訪れる。役人たちに追われていた男だ。道長が無事だということだけを伝えて、姿を消す。


謎の男を演じるのは毎熊克哉。散楽の一員で、本作のオリジナルキャラクターだ。どういう役どころかはまだ謎だが、どうやら、道長とまひろをつないでいく人物となりそう前作の大河ドラマ『どうする家康』にも出演していたが、その出番は短かった。今回はキーパーソンのひとりとなりそうだ。


毎熊の直近の出演作としては『セクシー田中さん』で昭和の価値観で凝り固まった失礼な男性役、『彼女たちの犯罪』ではエリート医師だが家では妻に当たり、不倫もしており……と一見、悪役が多かったが、なんとなく滲みでるチャーミングさも魅力。


どちらかと言うとエリート役が多い印象だが、『光る君へ』ではまた違う魅力を垣間見せてくれそうだ。


◆藤原の4人組“F4”が登場



光る君へ』第3回(C)NHK



そして第3話の注目ポイントのひとつが道長の華やかな友人たちだ。


内親王の母を持つ藤原斉信を金田哲、右少将・藤原義孝の長男、藤原行成を渡辺大知、関白・藤原忠頼の息子、藤原公任町田啓太。ここに道長が加わり、勉強もするが4人でダラダラと話したり、飲食を共にしたり、という関係のようである。ノリは男子校か。金田のSNSでの発言を借りるのなら「平安貴族の(藤原)F4」。言い得て妙だ。




その中で、言い寄られた女性に関する話題も飛び出す。自分が女性から贈られた和歌を斉信に見せる公任。微笑を浮かべ、「歌はうまいが、顔はまずい」とのたまう。この時代では、恋愛において顔を合わせることはまずない。顔を知っているということは会っているわけで、つまり……。


それはさておき、わりとひどいことを言っているはずの公任。なんとなくその高貴な雰囲気でオブラートに包まれてしまうのがすごい。大量の和歌が贈られているところを見ていると、相当おモテになるようだが、それにも嫌味がない。よく分からないけど、ナチュラルにこのモテる役を演じられるのも天性のものなのか……。


そしてこの俳優勢に混ざっても違和感がない金田哲がすばらしい。雰囲気は一番平安貴族っぽい気がするのだが、どうだろう。


◆ことは兼家の思い通りに?
男子4人がワイワイやっているすぐそばでは、薄暗い権力闘争は続いている。


道兼(玉置玲央)は、兼家の命令で女官を使って円融天皇(坂東巳之助)の食事に少しずつ毒を入れていた。急に悪くはならない。でも良くもならない。少しずつ体が弱り、気も弱くなる。そして帝を退かせるのが兼家の狙いだ。


安倍晴明ユースケ・サンタマリア)が邪気払いをするが、なかなか回復しない。背負っている荷物が重すぎるから、一番重い荷物を下ろしては? と提案する晴明。そんな晴明にも、もちろん兼家の息がかかっている。ところで、晴明も顔色が悪すぎるのだが、もしかして兼家にこき使われているのだろうか、心配だ。



光る君へ』第3回(C)NHK



気弱になっている円融天皇を励ますのは藤原実資(秋山竜次)だ。円融天皇を励まし、支える。優秀な人物で、周りの人間を観察をすることに長けており、サポートする立場としてはうってつけだ。わりと空気も読むタイプのようなので、そこが心配だが……。


しかし、いけないと思っていても、普段の秋山竜次の芸を思い出してしまって「ふふっ」と笑みをもらしてしまう。それが良いのか悪いのか。個人的には、良い。


いまだ、すれ違いが続くまひろと道長。


第3話は2人が再会するシーンで終わった。いよいよ、互いの「本当の姿」を垣間見ることになるのだろうか。



【ふくだりょうこ】大阪府出身。大学卒業後、ゲームシナリオの執筆を中心にフリーのライターとして活動。たれ耳のうさぎと暮らしている。好きなものはお酒と読書とライブ



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