日本代表DF中山雄太が所属しているハダースフィールドは29日、ダレン・ムーア監督の解任を発表した。

 今季もチャンピオンシップイングランド2部リーグ)に身を置くハダースフィールドは、開幕時にはニール・ウォーノック氏が率いていた。ウォーノック氏は2022年に入って監督業からの引退を表明していたものの、2023年2月よりハダースフィールドの監督に就任。昨季の終盤戦からチームを託され、降格圏へ低迷していたクラブの立て直しに成功していた。

 クラブが新たなオーナーを迎え入れたことで、方向性が固まっていなかったことから、ウォーノック氏は短期契約を結んで今季も開幕から指揮を執っていた。ウォーノック監督が去り、クラブはシーズン開幕後の9月にムーア監督の招へいを発表していた。

 だが、ムーア監督が率いるチームは安定感を欠き、現在は5勝13分11敗という成績で勝ち点「28」の獲得にとどまっている。うち2勝は第7節までのウォーノック前監督時代に記録したもので、ムーア監督の下ではわずか3勝しか挙げられていなかった。順位は21位と残留圏内だが、降格圏内の22位につけるクイーンズ・パーク・レンジャーズとは勝ち点が「3」しか離れておらず、苦しい戦いを強いられている。

 28日にはチャンピオンシップ第28節で、クイーンズ・パーク・レンジャーズとの直接対決に臨んだが、試合は1-1のドローで終了。残留争いのライバル相手に引き分けた後、クラブは今季途中から指揮を執っていたムーア監督の解任を決断した。

 ハダースフィールドのオーナーを務めるケビン・ネーグル氏は、クラブを通して、今回の決断の背景を以下のような言葉で説明している。

「シーズン終了後にも、我々がこれまでと同様にチャンピオンシップの地位を維持するため、今回のような決断を下すこととなった。ダレンは素晴らしい人物で、9月にこのクラブの監督に就任して以来、絶えず努力を続けてくれた。クラブの代表として、彼の将来の成功を祈っている」

「我々はダレンの監督としての資質を見込んで招へいしたが、今現在、我々の想定や期待通りにチームが機能しなかったことは明らかだ。確かに、ダレンの就任時点で我々は数多くの負傷者を抱えており、彼が対処しなければならない問題は多かった。現在状況は緩和されつつある。だが、結果に加えて、プレースタイルやパフォーマンスの方向性という部分で、ピッチ上で十分なものを発揮できていない」

「私は、クラブが今回の冬の移籍市場で遂行した仕事を考慮すると、現在のチームは、今まで見せてきたものよりも高い能力を備えたチームだと考えている。現在、我々は今シーズンの重要な時期にチームを率いるにふさわしい人物を連れて来るべく、迅速に動いている。近日中に後任を発表する予定だ」

 また、クラブのCEO(最高経営責任者)を務めるジェイク・エドワーズ氏は、次のような言葉で決断の理由と後任の選定基準を明かした。

「ダレンがこのクラブで過ごした期間、全力でクラブに尽くしてくれたことに感謝する。この決断は軽々しく下したものではないが、一方で責任は取らなければならないと考えている。今シーズンはまだ17試合残っており、成績を好転させる時間もあれば、さらに上の順位を狙うチャンスもある」

「短期的に大きなインパクトを与えるだけでなく、何シーズンもかけて攻撃志向の先進的なサッカースタイルを構築するという、我々の長期的な戦略に合致するような人物を後任として考えている」

 現在49歳のムーア監督は、現役時代にウェスト・ブロムウィッチ(WBA)やダービー・カウンティなどイングランドのクラブでプレー。現役引退後は、古巣のWBAで指導者キャリアをスタートさせた。2017-18シーズン途中からはWBAの指揮官に就任。翌シーズン途中にクラブを離れると、以降はドンカスター・ローヴァーズやシェフィールド・ウェンズデイでも指揮を執っていた。

 なお、現在中山はAFCアジアカップカタール2023を戦う日本代表に合流しているため、チームを離脱している。ムーア監督の解任はカタールの地で知ることとなった。

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