永野芽郁主演のドラマ「君が心をくれたから」(毎週月曜夜9:00-9:54、フジテレビ系) の第4話が1月29日に放送された。好きな人だから迷惑をかけたくないと、太陽に嫌われようとする雨。過去の一場面の真相が明かされていくと、その思いはさらに切なさを帯びた。(以下、ネタバレを含みます)

【写真】雨(永野芽郁)、太陽(山田裕貴)、司(白洲迅)の切ない3ショット

■雨が嗅覚を失うタイムリミットが近づく

本作は、ノスタルジックな雰囲気の長崎を舞台に、主人公・逢原雨(永野)が、かつてただ一人心を通わせた忘れられない男性・朝野太陽(山田裕貴)と“過酷な奇跡”に立ち向かうファンタジーラブストーリー。脚本は、純愛小説の名手として若い世代に注目の作家・宇山佳佑氏によるオリジナルだ。

太陽を救う奇跡の代償として、3カ月かけて五感を失っていく雨。味覚に続いて、嗅覚のタイムリミットが近づくなか、雨は太陽からの告白を断るつらい決断を。第4話では一人で抱えきれなくなった雨は、市役所職員の司(白洲迅)に奇跡のことは伏せて五感を失う珍しい病気なのだと打ち明けた。

■太陽に嫌われようとする雨

そんななか、太陽の妹・春陽(出口夏希)が雨を訪ねてくる。8年前、雨が卒業式の日に太陽にラブレターを渡しにいったとき、対応した春陽は「おにいの夢、邪魔しないでくださいね」と言ってしまったことを後悔しており、もう一度チャンスをあげてほしいと頼みに来たのだ。

雨と太陽はハウステンボスに出かけることになるが、雨にとってこの日は太陽からの「卒業式」。そして奇しくもその夜に嗅覚を失ってしまうことになっていた。

自分のことを太陽に諦めさせるため、司を呼び出して協力してもらう雨。そして太陽には「私の好きな人、司さんなの。だから今日は太陽君に応援してほしくて。私たちがうまくいくように」と残酷なお願いをした。

太陽は居心地悪そうにしつつ観覧車に誘うと、雨の「いいよ」という返事にほっとして笑顔を見せた。だが、司が「2人で楽しんできな」と遠慮すると、雨が「なら、やめとこうかな。だって観覧車は恋人たちのものだもん。私たちには関係ないよね」と太陽に向かって冷たく言った。

■“小さな奇跡”がかなえた8年前の思い出

観覧車は恋人たちのもの」――。このせりふにハッとする。それは冒頭の描写にあったからだ。

8年前の雨が就職のため上京する前週。太陽に買い物に付き合ってもらった雨は観覧車に乗りたいと思うが、太陽に「観覧車って退屈じゃない? ほら、ぐるぐる回ってるだけで楽しくないじゃん。それに恋人たちのものって感じだし、俺には関係ないっていうかさ」と返され、「それもそうだね、私たちには無関係だよね」と少し残念そうに言っていたのだ。

そんな思い出のある観覧車。雨のつらい気持ちを知る司は、「未来に後悔を残すべきじゃない」と乗るように促し、自分は先に帰ることにした。

すっかり日が暮れ、太陽は雨を少し待たせて買ってきたマーガレットの花束を差し出しながら観覧車に一緒に乗ってほしいとあらためて頼んだ。そこで雨はマーガレットの花びらで「乗る、乗らない」と占いをして乗ることに。

すると、観覧車の中で、8年前の太陽の言葉の真意が明らかになる。太陽は高所恐怖症で怖かったのだ。それを聞いて笑ってしまう雨。それでも悲しい決断は揺らがないが、「司さんのどこが好き?」と聞かれて答えた「特別扱いしてくれるところ」から始まる好きなところはすべて太陽のことだった。高さに恐がる太陽に目をつぶってていいよと言った雨は、届かないことを承知の上で最後に「大好き」と小さくつぶやいた。

観覧車、そしてマーガレットも8年前に卒業祝いとして太陽にプレゼントしてもらった思い出だ。選んだマーガレットは香りがいい品種で、太陽は「この花の匂いを雨ちゃんと俺の思い出の香りにしない?」と言っていた。8年後、その香りを雨はもう感じることができない。

答え合わせのように8年前の出来事と現在の出来事が重なっていく。その様子は涙なしでは見られなかった。まだ何も知らない太陽の涙も胸に迫る。

そして、実はマーガレットの花びらはほとんど奇数で、占いで最初の言葉が最後にくるのだが、今回は偶数だった。その“奇跡”に幸せを感じる雨に、いっそう切なくなった。

◆文=ザテレビジョンドラマ部

雨(永野芽郁)にマーガレットの花束をプレゼントする太陽(山田裕貴)/(C)フジテレビ