セクシー田中さん

人気漫画『セクシー田中さん』の作者・芦原妃名子さん(本名・松本律子さん)の急死を受け、X(旧・ツイッター)では、漫画界からショックや悲しみの声が多くあがっている。

 

■ドラマ化でトラブルか

芦原さんは2017年より『姉系プチコミック』(小学館)で連載していた同作は、昨年10月より12月まで日本テレビ系にて実写ドラマ化された。

芦原さんは今月26日、自身のXとブログにて、ドラマ化に際して、制作側とのやり取りを告白。

「漫画に忠実にし、忠実でない場合は加筆修正をする」「ドラマオリジナルの終盤も、原作者があらすじからセリフまで用意し、原則変更しない」ことを条件としたものの、実際には大きく改変されたために加筆修正していたことや、9話、10話の脚本を急遽自身が書いたことなどを明かしていた。

しかし、28日までにこの投稿はすべて削除。ブログは閉鎖され、Xに「攻撃したかったわけじゃなくて。ごめんなさい」との言葉がつづられた。28日に関係者から行方不明者届が出され、29日に芦原さんが栃木県内で死亡しているのが発見されたことが報じられた

 

関連記事:『セクシー田中さん』原作者・芦原妃名子さんが逝去 亡くなる前日には意味深な投稿も…

■「苦痛を考えたら心が痛い」

芦原さんの訃報を受け、漫画界には衝撃が広がった。『リベンジウェディング』や『リーガル×ラブ』などで知られる安タケコ氏は、「本音を言うとね、誰かを責めたい気持ちでいっぱいですよ。でも芦原先生の『攻撃したかったわけじゃなくて』それがきっと全てかな、と。芦原先生の気持ちを汲んで」とつづる。

「でもね先生、完結まで漫画で読みたかったですよ! 心の底から。大好きなんですよ、本当に」としつつ、「でも作者として未完で終わらせる判断をせざるを得なかった苦痛を考えたら心が痛い。どうか芦原先生が少しでも苦痛から解放されて、心安らかになれていることを祈ります」と悼んだ。

 

関連記事:『セクシー田中さん』原作者・芦原妃名子さん逝去が波紋 「漫画原作ドラマ」には6割が否定的

■「全漫画家はわかってた」

『クローバー』『東京アリス』などを手がけた稚野鳥子氏は「信じられない…多分全漫画家は芦原先生の言い分はわかってた。わかってたよ。悲しい…」と大きな衝撃を受けた様子。

『二月の勝者』の高瀬志帆氏は、「まるで身内が亡くなったかのように泣いてしまっています。今回のことで、私も自分の作品を必死で守ろうとしたことを思い出し、自分だけが特別に弱いわけじゃないんだ、と、勇気ももらったし、いつかお会いできたら感謝を伝えようと思ったのに」と悔やんだ

関連記事:このQ&A、凄まじく不穏な「3文字」が… なぜか全国のドライバーから称賛相次ぐ

■「他の誰かを追い詰めることになってはならない」

実写映画版も話題となった『ちはやふる』で知られる末次由紀氏は、メディアミックスについて「たくさんの納得のいかないこともままならない条件もあるけれど、『多くの人に届ける』ために、いろんな方面と調整する。難しい作業だと思うけど、でもでも、0を1にする作業を、素晴らしい物語を生み出せる人を失ってしまっては…」と触れる。

さらに、「悔やまれてならない。ショックが大きすぎる。どれほどお辛かっただろう」と思いを馳せ、「でもその痛みを想像することが、他の誰かを追い詰めることになってはならない。悼む気持ちだけを抱える夜にする」と記した。

 

関連記事:『坂本ですが?』作者が36歳で死去 ガン闘病1ヶ月での訃報に「早すぎる」の声

■二次使用のガイドラインも

のだめカンタービレ』の二ノ宮知子氏は「自分の作品を一番大事に思っているのは自分なんだと号泣した日のことを思い出して、また涙が止まらない」とポスト。続く投稿で「今、誰かを責めようとしてる人たち。もう本当にやめてほしい」と訴えた。

はじめの一歩』の森川ジョージ氏は、「気持ちがわかるだけに胸が痛い」とし、「業界では幾度も繰り返されてきたことではあるが今回の件はもう取り返しがつかない。とにかく残念だ」と嘆く。また、すでに作品の二次使用に関するガイドラインがあること、日本漫画家協会に相談窓口があることなども紹介している。

 

■主な相談窓口

・いのちの電話

 

ナビダイヤル=0570-783-556(10時~22時

 

フリーダイヤル=0120-783-556(16時21時。毎月10日は8時~11日8時)

 

日本いのちの電話連盟(https://www.inochinodenwa.org)

■悲しみの声相次ぐ

急死した『セクシー田中さん』作者・芦原妃名子さんの胸中に漫画界から寄り添う声 「苦痛を考えたら…」