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 アメリカ・イリノイ州シカゴには、"ラット・ホール"と呼ばれたコンクリート歩道にあるネズミ(リスの可能性もあるそうだ)の形をしたくぼみがある。

 これは、1990年代セメントがまだ湿っていたときに残された小動物のくぼみなのだが、最近この画像がSNSでシェアされたことから拡散した。

 多くの人やメディアのカメラが訪れ、すっかり名所となったラット・ホール。先日は何者かによってこの穴が塞がれるという出来事が起こったが、住人らが再びラット・ホールを蘇らせた。

【画像】 シカゴの名所となったラット・ホール

Rat imprint on the sidewalk in Chicago goes viral

 ネズミかリスか。未だそれは不明だが、ラット・ホールと名付けられた名所は最近一段と多くの人を集めていて、まるで巡礼地のようなにぎやかさになっている。

 ある人は小銭やスナック菓子などの "お供え物 "を、このくぼみの中あるいはその周りに置いていく。

 またある人は、ここで記念のプロポーズをする。

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 シカゴ・ブルズのマスコット、ベニー・ザ・ブルまでもがここで記念写真を撮影し、SNSでシェアした。

 すべてはシカゴのアーティスト、ウィンズロー・ドゥメインさん)が6日、Xに写真を投稿したことがきっかけだそうだ。

 シェアされた画像には、コンクリートの歩道にくっきりと象られたネズミかリスのくぼみに、雨が降ったからか水が溜まっている。

 ラット・ホールと名付けられたように、そのくぼみの形はネズミに見えるが、近隣住民や動物専門家によれば、木から落ちた小さなリスが残した可能性が高いという。

 いずれにせよ、注目を集め過ぎたことが原因なのか。先日、このラット・ホールが何者かによって埋められてしまう事態が発生した。

The Chicago ‘rat hole' is no longer a hole — it appears to have been filled in

ラット・ホールを守りたい人たちがくぼみを掘り起こす

 1月19日、ラット・ホールの周りに集まった人たちは、その穴が一晩のうちにコンクリートか石膏のようなもので埋められているのを発見した。

 残された硬貨やその他の飾り物は、雪と氷に囲まれて散乱していた。

 ショックを受けた人々は、このランドマークを維持するために埋められたラット・ホールを掘り起こすことにした。

 まだ湿った地面を見て、レイクビューからやってきた2人の女性はショックを受けた。

どうして私たちの楽しい時間を、誰かが邪魔しようとするのか理解できません。

私がしたかったことは、この小さなくぼみの中に25セント硬貨を置いておくことだけだったのに、プレートと一緒に掘り出さなければならないなんて。

誰の仕業かわからないけど、こんなこと間違っていますよ。

 近所の人たちは一緒になって、小さな道具を使ってラット・ホールを元の状態に削り直すのを懸命に手伝った。

 「シカゴ市民として、歴史の保存は重要だと感じています」と、この地域に20年以上住んでいるジョナサン・ハウエルさんは言う。

 ラット・ホールは今や単なるくぼみではなく、歴史的保存物だ。

 というのも、これがSNSで最近注目を集めたことで、ライオット・フェスト歴史協会が永続的な印象を与えてくれたことに感謝し、敬意を示して奉納プレートを着けたのだ。

 また祠のようなものが設置され、ラット・ホールは"チムリー "というニックネームが名付けられたようだ。

 ますます著名になったラット・ホールには、シカゴの地区州議員までもが訪れる事態になっているという。

 セメントが乾燥してしまっていて作業は困難を極めたが、地域住民らの力によって、ついにラット・ホールは再び蘇った。

この穴を残したのはネズミなのか、リスなのか

 ラット・ホールというくぼみの名前とは裏腹に、コンクリートに刻まれた痕跡の背後にいる実際の動物については、まだ議論は続いているようだ。

 リンカーン・パーク動物園のアーバン・ワイルドライフ・インスティチュートのディレクターであるセス・マグレ博士は、冗談交じりに "我々の生涯で最も重要な科学的発見 "と称し、穴の長さは基本的に大きなネズミか小さなリスかもしれないと述べている。

一つ目は、どんな動物が高いところから落ちて、濡れたコンクリートの上に着地することができるかということです。

リスは枝にぶら下がっていることが多いので、その可能性の方がはるかに高い。

私たちはリスを、本当にバレエのように優雅な動物だと考えている。しかし、私は彼らが木から直接ヘディングするのを見たことがある。

もしこれがネズミであれば、濡れたコンクリートにどうやって痕跡を残したのか。

それを説明する唯一の方法は、鷹か何かに運ばれて落下した場合、本当に複雑なストーリーをでっち上げなければ成り立たないということでしょう。

 しかし、それだけではない。

コンクリートが濡れている時間帯を考えると、おそらく日中でしょう。夜中に濡れることはないでしょう。ですが通常、ネズミは夜に活動します。
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pixabay

地域住民らも「リス」と推測

 このくぼみの向かいに20年以上住んでいるシンディネルソンさんは、次のように話している。

ラット・ホールの近くには元々大きな木があったんです。その木があった頃にここに住んでいた人たちは、みんなリスが木から落ちたんだと信じているんです。

私も個人的に、木から落ちたのはリスだと信じています。ネズミが木に登れるのか、アライグマが登れるのかは知りませんけど。

 しかし、もしリスだとしたら、その尻尾はどうだったのだろうか?

リスの尻尾の毛がコンクリートに刻みつけられるほど重いかどうかはまったくわかりません。

着地の仕方が関係しているのかもしれないし、着地方法と関係があるかもしれない。

でも、これはよく見られることです。例えば、化石の中のある動物が毛皮を持っていたことを発見するのに長い時間がかかったように、毛皮は骨や筋肉のような体のもっと密度の高い部分のように、必ずしも明確な印象を残さないでしょう。(マグレ博士)
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pixabay

 それにしても、コンクリートに他の痕跡が残らないのに、どうやって逃げおおせたのだろうか?動物は生き延びたのだろうか?

リスはタフな動物です。もしリスだったなら逃げる足跡が残っているはずです。

 それもそうだ。マグレ博士はこのようにも推測する。

少なくとも、おそらくその印象を残すのに十分な時間そこに横たわっているうちに、残りのコンクリートが乾燥したのでは。

窓ガラスにぶつかった鳥は、死んだように見えても気絶していることがあり、立ち上がって飛び去るまで何時間も横たわっていることがある。だから、他の動物でもそういうことをすることもあるんです。

 結局それが何であれ、住民は長年そこに存在していたラット・ホールの突然の注目に驚いている。

 そして、賛辞や訪問者の殺到など、それがどれほど大きくなっているかにも驚いている。

 マグレ博士は、そうした光景を興味深く見ているそうだ。

Neighbors say viral Chicago 'rat hole' sensation has gotten way out of hand

References:A rat hole in Chicago is drawing pilgrims in their droves. Why?/ written by Scarlet / edited by parumo

 
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