・便利さ、快適さ、経済性、娯楽性が主な価値として市場で販売される製品に対して、それだけではない価値について研究する京都芸術大学 プロダクトデザイン学科 大江孝明教授と学生が取り組む、同シリーズの7回目の展示。
・道具を通して自身の日々の暮らしを見つめ直せる展示として、過去6回の展示は高評価を得ています。
・教員のデザインに関する研究手法を学生に手渡しながら、物事の探究と再定義の重要さを伝え、学生の学習環境を再構築する試みでもあります。

  • 展示コンセプト (プロダクトデザイン学科 大江孝明教授より)

自身の研究テーマの一つに、道具と人との新しい関係性があります。


それは、ある目的を持って生まれた道具が、時代が変遷する中でずっと同じ関係性を人と結んでいる事への問いです。時間の経過と共に社会の在り方や人々の生活も変わっていく中で、道具の役割も再定義ができます。
私たちが長い時間使い続けてきた道具には、その道具が持つ歴史や発達の経緯があります。それを活かすデザインは、新しい道具をつくることにはない親しみと新鮮さ、そして道具の背景にある深い物語性を暮らしにもたらします。


そうして生まれた再定義の結果は、時に私たちの人間性を保つことに寄与し、社会を良い方向へ動かしてくれる力を持ちます。道具が備えている前提を活かすことで生まれる普遍性と、前提を覆すことで生まれる創造性が、そういった力の源のように思います。

過去取り上げたテーマは、シャツのボタン、時計、壁、カレンダー、箱、ふたです。人が殆ど無意識に接していて、これ以上の道具としての進化を期待していないものだったからこそ、展示を見に来てくれた方々からは、大きな反響があったのだと思います。

今回のテーマは、 鉛筆です。
鉛筆は、初等教育において使用を強く推奨される筆記具です。しかし中等教育以降は使う人が減り、大人になって日常的に鉛筆を使う人は殆どいません。初等教育で推奨される理由も、後々使用しなくなる理由も、鉛筆と人の関係性を考える上で興味深いものです。
また人が使う度に姿が変わり、徐々に外形が小さくなる在り方も、道具としてはとても珍しい物です。
そうやって関係性の視点で鉛筆にフォーカスし、今まで思索の対象にならなかった視点が学生との探究から生まれる中で、自身の研究手法が学生達へと手渡せるのだとも思います。

我々が、今の暮らしで大切にすべきことは何なのでしょうか?
そのために生活で使う道具に必要とされる事は何でしょうか?

今回の鉛筆も同様の道具だからこそ、人と道具の間にある豊かな関係性に目を向けられます。
本展が、そんな視点と共に生きる生活のきっかけとなれば幸いです。

  • プロダクトデザイン学科 プロダクトデザインコース

生活用品から家電・インテリア・家具まで多様な分野でデザインを追求します。文房具やキッチン用品、パッケージなどの生活用品から、TVやオーディオゲーム機掃除機など、家電製品のデザインや企画に携わる道があります。また、椅子やテーブル、ソファ、照明器具などのインテリア・家具から、車や自転車などのモビリティのデザイナーになる学生もいます。道具としてのモノづくりから体験価値のコトや場や製品づくりを通して、多様な分野で仕事ができるのが本コースの強みです。https://www.kyoto-art.ac.jp/department/product/

12学科22コースからなる国内最大規模の総合芸術大学です。芸術を通して社会で必要な力を育成しています。 芸術を学んだ学生が社会を変える「藝術立国」を教育目標に掲げ、通学課程では特に “社会と芸術”の関わりを重視した芸術教育を推進。企業や自治体などが抱える課題を、学生たちがアート・デザインの力で解決する「社会実装プロジェクト」が年間100件以上あります。学科を超えたグループワークや実際の仕事を通して、社会性を備えた表現者を育成しています。

住所:〒606-8271 京都府京都市左京区北白川瓜生山町2-116

学科編成:12学科22コース(美術工芸学科、キャラクターデザイン学科、情報デザイン学科、プロダクトデザイン学科、空間演出デザイン学科、環境デザイン学科、映画学科、舞台芸術学科、文芸表現学科、アートプロデュース学科、こども芸術学科、歴史遺産学科)

在籍者数:3,976名(芸術学部 正科生、2023年5月現在)

配信元企業:学校法人 瓜生山学園 京都芸術大学

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