草加には大きくなって帰ってきてもらいたい(C)産経新聞社

 中日ドラフト1位・草加勝が右肘のトミー・ジョン手術TJ手術/右肘内側側副靱帯の再建手術)を決断したようだ。複数メディアが1月30日付の記事が配信、朝刊への掲載を行なっている。

 草加は亜細亜大4年時に春・秋リーグ戦合わせて17試合に登板。7完投含む134回1/3は同最多で、多くのドラ1を輩出した同期の中でも「一番投げた投手」となる。一方で、創志学園高時代は西純矢(阪神)の控え、亜細亜大でも頭角を表したのは3年秋と、比較的肩肘の使い減りはしていない。

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 果たして、このタイミングでの決断はどう出るだろうか。前例、チーム事情から考えてみたい。

 まずは「前例」から。TJ手術は成功率の高い手術とされ、近年は多くの投手がメスを入れてきた。大谷翔平ドジャース)やダルビッシュ有パドレス)も過去に受けており、直近の中日では田島慎二梅津晃大の例が挙げられる。

 田島は2020年4月に手術、翌21年4月に実戦復帰。同年7月には一軍復帰を果たし、今もベテランリリーバーとして活躍中だ。他方、梅津は22年3月に手術、翌23年5月に実戦復帰。同年8月に一軍復帰し、9月末には1177日ぶりの白星をマーク。今季の飛躍が期待される大型右腕だ。

 2人の例からも分かるとおり、実戦復帰まではおおよそ1年を要する。この間にリハビリ、根本的な投球フォームの見直し、栄養面の勉強などに時間を費やすのが一般的。加えて、草加は1年目なので、身体づくりも並行して行うと考えられる。有名な話として、TJ手術は球速が上がるケースが散見されるが、これは地道な取り組みの産物なのだろう。草加も手術を経て、大きくパワーアップして、強力な投手になることを期待したい。

 次に「チーム事情」。現在の中日は多くの先発ローテーション候補を抱えている。草加は大卒ドラ1、実戦派投手ゆえに即戦力の声もあるが、無理に使う必要がないのが現状。梅津、根尾昂、仲地礼亜らとともに枠を争う立場にいた。

 このまま保存療法を選んでいても、肘の状態は上がらなかった可能性は捨てきれず、無意識のうちに肘をかばうことで肩を痛めるリスクもあった。結果、シーズン中にメスを入れるぐらいなら、早く決断してもらったほうがチームとしても“草加抜き”の戦いを想定しやすい。

 また、上記の通り現在はローテ候補を多数抱えているものの、数年後には小笠原慎之介髙橋宏斗MLB挑戦や、実力のあるベテラン勢のフェードアウトといった“問題”が顕在化するかもしれない。その頃にTJ手術明けの草加が本格化して、エース級の働きをするーー。これが理想だ。

 総じて、今回の草加の決断は、本人そして近未来のドラゴンズにとってポジティブに捉えたい。背番号14の今後をゆっくり、じっくり見守っていこう。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

中日ドラ1・草加勝がTJ手術へ 「前例」「チーム事情」からポジティブに捉えられる理由