2023年の国内の民間航空業界で、際立って大きな動きがあったもののひとつが、いわゆる「貨物航空」です。NCA、JAL、そしてヤマト運輸――。どのような動きがあったのでしょうか。

2023年は「貨物航空」激変の年に

2023年の国内の民間航空業界で、際立って大きな動きがあったもののひとつが、航空貨物を専門に取り扱う「貨物航空」を担う3社です。2024年は空の物流も大きく変わります。

3月、ANAホールディングスがNCA(日本貨物航空)の株式すべてを、日本郵船から取得する基本合意を締結したと発表しました。

ANAホールディングスは今回の全株式取得について「当社グループの航空事業ポートフォリオに加えると同時に、日本最大の国際線旅客便ネットワークを活用する当社グループの貨物事業と将来的に統合・再編することで、お互いの強みを補完し合うコンビネーションキャリアとして収益性が高まり、当社グループの成長戦略を加速できると判断いたしました」とコメント。

ANAホールディングスはすでに貨物専用航空のANAカーゴを保有していますが、こちらの強みとなる路線は中国などのアジア路線。そこに欧米、とくに北米大陸のネットワークに強みをもつNCAを取り込むことで、ネットワークを世界的に拡大する狙いがあるとしています。

「鶴丸貨物機」復活、「クロネコ貨物機」爆誕

ついで5月、JAL日本航空)が「ボーイング767-300ER」を改修した貨物専用機の導入を発表。同社が自社で貨物専用機を導入するのは、13年ぶりのことです。

運航開始は2024年2月19日で、すでに初号機の実機も日本に到着済み。国内では、成田・中部空港の2つを拠点とし、台北(桃園)、ソウル(仁川)、上海(浦東)の3つの海外空港に就航します。導入機数は3機で、東アジアを中心とした国際線の運航からスタート、将来的には国内線の運航も視野に入れるとのことです。

11月に実機が公開されたのが、ヤマトホールディングスとJALグループがタッグを組み運航する「ヤマトの貨物機」です。現在は飛行訓練を実施しており、運航開始は2024年4月11日を予定しています。

ヤマトの貨物機」は、国内航空会社では初導入となる「エアバスA321ceoP2F」というモデルが用いられます。尾翼には「クロネコ」のロゴが大きくあしらわれ、胴体はグレーをベースに、前方に大きくヤマトホールディングスのロゴマークが描かれています。A321ceoP2Fは、中古のA321旅客機を貨物専用機に改修したもの。1機あたりの最大搭載重量は28t(10t車約5~6台分)で、床下貨物スペースに航空コンテナの搭載が可能です。

デビュー後の「ヤマトの貨物機」は2024年4月から成田~新千歳北九州・那覇の3空港へ1日9便のダイヤで就航。さらに同年夏を目処に羽田発着の深夜便を開設し、1日13便体制となる計画です。この機は物流業界の「2024年問題」解決のための手段として導入され、宅配便の貨物が積み込まれ、日本中を飛び回る予定です。

上からNCA、JALの貨物専用機、「ヤマトの貨物機」(乗りものニュース編集部撮影/JAL)。