能登半島地震で被害を受けた石川県の自治体が、家庭や地域の古い文書や美術品をすぐに処分しないよう、呼びかけている。

呼びかけているのは、七尾市や中能登町宝達志水町など。歴史的財産保全への協力を求めている。また、震災に便乗した業者がこれらの文化財を買い取りにくることがあっても、安易に売らないように注意も促している。

⚫️2007年の能登半島地震では骨董品や美術品に被害

この呼びかけを作成したのは、石川県教育委員会・文化財課だ。

「もちろん、被災した方々にとっては生活優先ではあるのですが、指定文化財以外にも地域には多くの文化財があり、復興作業の中で散逸してしまう恐れがありました」

文化財課の担当者はこう説明する。県文化財課では、文化財保護のために利用してもらうよう、1月16日に被災した県内自治体に送付したという。

七尾市の公式ホームページには次のように掲載されている。

「この度の震災で被災された皆さまに、心よりお見舞いを申し上げます。震災で家庭や地域の古い文書や美術品などにも被害が出ておりますが、これらかけがえのない歴史的財産を将来に守り伝えるため、保全にご協力をお願いします」

1、古文書、書籍、地図、写真・アルバム、軸額、美術・工芸品、民具等は、土砂等を払えば復元可能の場合が多いので、安易に捨てないようお願いします。

2、箱等がつぶれた場合は、新しい箱に入れ替えてください。もとの場所へ戻せない場合は、取りあえず湿気を防げる場所か容器に移してください。

3、雨や水等に濡れたものは、そのまま陰干ししてください。ページとページが、くっつかないように、新聞紙や障子紙など吸湿性の高い紙をはさみ込むと効果的です。(水洗いや濡れたままビニール袋などに長時間入れることはしないでください。)」

七尾市教育委員会スポーツ・文化課の担当者は、弁護士ドットコムニュースの取材に対して、次のように話した。

「2007年の能登半島地震では土蔵などの被害が大きく、中から骨董品や美術品が持ち去られる被害もあったと聞いています。

現在も、避難生活を送られていて、ご自宅や寺社が無人になってしまっているケースがあります。気をつけていただければと思っています」

能登半島地震、古い文書や美術品を「すぐに処分しないで」 石川県内の自治体が呼びかけ、便乗の買い取り業者に注意も