普段、ちょっとしたことに違和感を覚えることもありますよね。経営コンサルタントの平野薫さんは、「そんなときに疑問を数字で解き明かすと日頃から数字で考える習慣が身に付き数字に強くなる」と言います。平野さんの著書『なぜコンビニでお金をおろさない人はお金持ちになれないのか?』(ダイヤモンド社)では、世の中にある身近な疑問の数々を解き明かしています。今回はその中から、お金の話をピックアップ。時短家電と年収の関係について紹介します。

令和における三種の神器

1950年代後半、白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫の家電3品目が「三種の神器」と言われ、「もはや戦後ではない」という言葉と共に普及していきました。

その後、1960年代半ばにカラーテレビ ・クーラー ・自動車の3つが「新三種の神器」、2000年代デジタルカメラ・DVDレコーダー・薄型テレビが「デジタル三種の神器」としてもてはやされました。

それでは令和時代の三種の神器をご存じでしょうか? ロボット掃除機・乾燥機付きの洗濯機・食器洗い乾燥機の「時短家電三種の神器」です。

昭和生まれの磯野波平的な発想を持っている世代からすると家事で楽をするとは何事だ! と思われるかもしれませんが、夫婦共働きが当たり前になった昨今、いかに家事を効率化するかということが平和な家庭環境を維持する上でとても重要です。

家事が趣味であり癒やしの時間であるという場合を除けば、家事を省力化し、その時間を他に充てることは余暇を充実させる上でも、更には経済的に豊かになる上でも大切なことです。

年収から自分の時給を考える

そうは言っても、時短家電は高いから……と思われる方もいると思います。しかし、時短家電の投資額とそれで得られる時間の価値を考えると、間違いなく投資する価値はあります。そもそも皆さんは自分の時給を把握して仕事をしていますでしょうか? 

時給で働くアルバイトの方はもちろん把握していると思いますが、正社員で仕事をしていると年収は何となく把握していても自分の時給はあまり把握していない方が多いのではないかと思います。年間休日を125日、一日の労働時間を8時間で換算すると年収ごとの時給は下記のようになります。

年収300万円  時給1,563円

年収500万円  時給2,604円

年収700万円  時給3,646円

年収1,000万円 時給5,208

年収3,000万円 時給1万5,625円

年収1億円   時給5万2083円

※年間休日125日、労働時間8時間/日で換算(税金は考慮しない)どうでしょう? 意外と高いなと感じられた方が多いのではないでしょうか? タイム・イズ・マネーと昔から言いますが、自分の時給を考えた上で時間を使うことは最近流行のタイムパフォーマンスの観点からもとても重要です。

時短家電の費用対効果

それでは時短家電を使うとどれだけ時間を削減できるでしょうか? 我が家で見た場合、ロボット掃除機で年間20時間、乾燥機付きの洗濯機で90時間、食器洗い乾燥機で60時間の家事の時短に繋がっています。

時給2,600円(年収500万円)の場合、その経済的な効果はロボット掃除機で年間5万2,000円、乾燥機付きの洗濯機で23万4,000円、食器洗い乾燥機で15万6,000円となります。また節約した時間を家族との団らんの時間や仕事、または年収を上げるための自己啓発の時間に充てることができるようになります。

費用対効果で考えると、導入することで経済的にも精神的にも豊かに生活できることは間違いありません。最新の時短家電は高価なので年収の高いお金持ちが買うものだと考える人もいるかもしれません。

かしお金持ちだから時短家電を購入するのではなく、そのような時間を大切にする思考プロセスを持っている人が、高い年収を得る人なのです。時間は有限であり、人生において最も大切なものの一つです。その時間の使い方を数字で考え、合理的に判断することが有意義な人生を送ることに繋がります。

平野 薫

小宮コンサルタンツ

エグゼクティブコンサルタント

(※写真はイメージです/PIXTA)