2001年の同時多発テロの裏で起きた実話を基にしたブロードウェイミュージカル『カム フロム アウェイ』。2024年3月の日本初演開幕に先立ち、在日カナダ大使館にて製作発表が開催され、全12名のキャストが登壇した。

この度、その模様が公開された。

この物語は、私たちに、世界に希望を与えた。
数々の演劇賞を受賞したブロードウェイミュージカル『カム フロム アウェイ』が2024年3月~5月に豪華キャストで日本初演決定。日生劇場60周年イヤーの締めくくりを飾る。
12人の出演者のみで100人近くの役を次々に演じドラマが交錯する。開演と同時に一気に展開されていく濃密な100分間。トニー賞、ローレンスオリヴィエ賞、ニューヨークタイムズ紙の批評家賞をはじめ、数々の演劇賞を受賞した本作は、2001年9月11日同時多発テロの裏で、カナダにある小さな町・ニューファンドランド島のガンダーで起きた驚くべき実話を基にしている。音楽と共にスピーディーに伝えられる5日間の物語は、人種、国、宗教を越えて生まれる希望の光となる。

 撮影:田中亜紀

撮影:田中亜紀

製作発表では12名のキャストが本作が上演されることへの心境や意気込み、それぞれの役柄についてなどを語った。

会見コメント  ※五十音順

安蘭けい

安蘭けい      撮影:田中亜紀

安蘭けい      撮影:田中亜紀

ブロードウェイで本作を観てとても感動して、日本で上演できる機会があったらぜひ出演させていただきたいと思っていたので本当に嬉しく思っています。私はダイアンというテキサス人女性をメインに、ニューファンドランド島の住民たち複数人の役を演じるのですが、それぞれ違う役だとわかるように声色を変えたり色々と挑戦しています。やりすぎないように気を付けつつ、「いまの安蘭さんだったの?」と言われるくらい違いを出していきたいと思います。

■石川 禅

石川 禅      撮影:田中亜紀

石川 禅      撮影:田中亜紀

この作品は、セットは13脚の椅子と3卓のテーブルのみ、その転換は役者が自ら行うというとてもシンプルな舞台です。椅子のデザインはひとつひとつ違っているのですが、飛行機に乗り合わせた人々の人種の違いを表しているようでもあり、ここにいる12人の個性豊かなキャストを表しているようでもあります。そのバラバラな椅子が舞台上に現れた瞬間、一機の飛行機が出現します。素晴らしいです。魔術です。このメンバーがひとつの旅客機を作り上げて、無事テイクオフしていくことを皆さんどうぞ祈っていていただければと思います。

■浦井健治

浦井健治      撮影:田中亜紀

浦井健治      撮影:田中亜紀

いろいろな意味で豊かな稽古場だなと思います。個性も豊かで、差し入れも豊かで……(笑)。各国で上演されてきた作品を日本のキャストで初めて上演させていただくのですが、我々の感覚や個性を尊重しながら作っていくこと、その一個一個の積み重ねが、試行錯誤する過程がなんて豊かなんだろうと思います。演劇は、人生もそうですが、答えそのものよりそこに向かう時間が尊いと感じます。この12人とスタンバイキャスト4人を含めた16人で一緒にやれていることが幸せだなと思います。

加藤和樹

加藤和樹      撮影:田中亜紀

加藤和樹      撮影:田中亜紀

先日まで別の公演に出演していて実は皆さんほど稽古場のことを知らないのですが……(笑)このキャストでは再演できないんじゃないかというくらい、本当に活躍されている方ばかりですし、一人ひとりの力がすごいのでそれが一つになった時にどのくらいのエネルギーが出るんだろうと思っています。作品が持っている力と、ここにいる日本を代表するようなキャストの皆さんのエネルギーが相乗効果となって、とんでもない爆発力を生み出すのではないかと思います。

■咲妃みゆ

咲妃みゆ      撮影:田中亜紀

咲妃みゆ      撮影:田中亜紀

2001年当時小学生でしたが、あの事件をニュースで知って抱いたショックを今でも鮮明に覚えています。大きな悲しみ、苦しみ、憎しみを生み出してしまったのは人であって、それでもそれを解きほぐしたのもまさしく人であったというのがこの物語のポイントだと思います。たくさんの方が傷つき、戸惑い、そんな中でたくさんの人が寝る間を惜しんで手を差し伸べました。遠い国で起こった出来事ということではなく、どの場所もどの国も、ニューファンドランド島になり得るんだとうことを思ってご覧いただければと思います。

シルビア・グラブ

シルビア・グラブ      撮影:田中亜紀

シルビア・グラブ      撮影:田中亜紀

元々前知識なくブロードウェイへ観に行ったのですが、オープニングの曲を聴いた途端心臓の鼓動が高まってワクワクしました。この題材をこれだけ愛のある舞台にしていることに感動して、もし日本で上演することがあったら絶対参加したいと思いました。キャスト全員が椅子やセットを動かして、それが飛行機や、街のバーに見えたりしていく姿もすごくかっこよく見えました。客席から観ると簡単そうでしたが実際は四苦八苦しています(笑)。ニューファンドランド島の人々が手を差し伸べて助け合ったように私たちも舞台上で助け合って乗り切りたいと思います。

■田代万里生

田代万里生      撮影:田中亜紀

田代万里生      撮影:田中亜紀

この作品に登場するほとんどの役を、現在実在する方をモデルに実名で演じさせていただいており、光栄に思います。演出補のダニエルさんが「この作品は9.11ではなく9.12を描いた作品だ」とおっしゃっていました。いわゆる復興に繋がる作品だと思うのですが、全員で全幕の本読みをした後にすぐに思い浮かんだのは、9.11はもちろん3.11の東北の地震であったり、先日の能登地震やその後の飛行機事故のことでした。僕たちもいつでもガンダーの人たちのような気持ちになれる作品だと思っています。

橋本さとし

橋本さとし      撮影:田中亜紀

橋本さとし      撮影:田中亜紀

稽古が大変だとか作品が大変だとかはあまり言いたくないのですが…めっちゃ大変です(笑)。稽古場に本番さながらの回転するセットが組まれているのですが、ステージ上に立ち位置を表す「バミリ」が満天の星空のように貼られていてちょっと引いてしまいました。いろんなキャリアを積んできたミュージカル界の、演劇界の超人たちですが意外とみんなパニックになったり迷子になったりしていてちょっと安心しました。ポンコツな町長ではありますが、みんなで素敵なガンダーの町を表現できたらと思います。

■濱田めぐみ

濱田めぐみ      撮影:田中亜紀

濱田めぐみ      撮影:田中亜紀

私の演じるビバリーはアメリカンエアライン初の女性パイロットの役です。物語上の役割としては緊張感をもって切り込んでいく、ポイントとなる役でもあるのですが、カンパニー内では先ほどの(橋本)さとしさんのように可愛らしい先輩方がたくさんいらして、幸せだなあと思ってやっています。この作品は9.11の被災地での状況が舞台上で描かれているのですが、3.11や能登の地震に対して私たちが抱える心の辛さや苦しみと一緒なんだと気づきました。日本の方が観ても誰もが共感できるものをちゃんと受け取って、持って帰ることができる作品だと思います。

■森 公美子

森 公美子      撮影:田中亜紀

森 公美子      撮影:田中亜紀

マンハッタンの消防士である息子を亡くした母、ハンナをメインに演じるのですが、演じる役柄が複数あるので毎日「私、今誰?」「どこに行けばいいの?」という状況が続いて泣きそうです。今日も稽古があるんですけど…あのシーン私ハンナですか?島の人ですよね?まあそういう感じで進んでいるのですが、本当に面白いです。主役ばっかりやっている皆さんが集まっているのでギクシャクしちゃうかなと思ったのですが(笑)すごく楽しい稽古場になっています。

柚希礼音

柚希礼音        撮影:田中亜紀

柚希礼音        撮影:田中亜紀

コミュニティセンターの会長・ビューラという地元代表のおばちゃんという感じの役をやらせていただくのですが、自分がこんなにすごいメンバーを仕切ったりできるんだろうかと稽古が始まる前も今もドキドキしていますが、本当に皆さんが助けて下さり教えて下さったりしながら一歩ずつやっています。この出来事を取材したドキュメンタリーの中で町長さんが「人の優しさはどんな悲劇でも乗り越える」とおっしゃっていて、9.11は人が起こしてしまった事件ですが、やはり人の優しさで癒されることもあるんだということを大切に演じていきたいです。

■吉原光夫

吉原光夫      撮影:田中亜紀

吉原光夫      撮影:田中亜紀

先ほど(森)公美(子)さんが「私、誰?」とおっしゃっていましたが、実は、テロや地震が起きて自分の居場所がなくなってしまったり、帰れなくなってしまったりすることで自分が誰なのかわからなくなったり、誰かが亡くなったことで自分がなぜ生きているのかわからなくなることはあると思います。そんな時にガンダーの人々がその思いを引き受けて、寄り添ってくれたという実際の話があったことがすごいなと。お祭りごとでやるのではなく、マジで最高のメンバーで無条件で何か繋がって命削ってやっている本当にイイ稽古場なので、是非楽しみにしてください。

撮影:田中亜紀

撮影:田中亜紀

ブロードウェイミュージカル『カム フロム アウェイ』製作発表会見より