今回は、Airaさんが10月30日に投稿した「メモリア」を紹介する。『第2回超高難易度楽曲コンテストプロセカULTIMATE』で採用され、リズムゲームパートの2Dモードで遊べる楽曲として今年中の収録が決まっているこの曲は、超高速メロディとノスタルジックな歌詞が融合した1曲だ。

文/小町 碧音(こまち みお)


 冒頭2秒、疾走感あふれるメロディに乗せて〈どこまでも このうたの おもいでは〉と歌い出すあまりにも速い初音ミクの歌声に圧倒される。続く〈消えない〉で、楽譜が舞い散るアンティークな一室に現れるミク。優しい表情でこちらを見つめ、本当の歌声を届けるまでのストーリーがここから始まっていく。忙しないメロディとは裏腹に、ノスタルジックで美しい言葉を用いることで、情感豊かなストーリーを紡いでいるのがこの曲の魅力のひとつ。およそBPM205の激しい音の波のなかでも、感動的な物語が際立ち、輝いているのは、ミクの発音が明瞭で聞き取りやすいためだろう。

 人知れず孤独を経験しながらも、歌うことを諦めないミクの姿を描いている1番を経てサビへ。なかでも、〈歌声はまだ色褪せず 巡る季節の中で生きている 溢れ出した音色集めて〉というフレーズは、ミクの残してきた作品が、日常の至る所にあふれている様子を描き出しており、感動を誘う景色が広がる。また、流れるサウンドとぴたりと音を合わせるその歌声は楽器そのもの。

 メッセージ性の強さは前提として、間奏の流れ星に似た流麗なピアノの音色は、ノーツを叩く楽しさの記憶を呼び覚ますような想像力を刺激する。ほかにも、ビブラートの箇所なども同様に、音ゲーでプレイする際には盛り上がりを演出するに違いない。一部、ジャジーな要素を持つ2番では、大切な‟貴方”を思い出しながら歌うミク。〈消えそうで儚くて それでも強くなってる音は 私から貴方へのメッセージ〉というフレーズからは、‟貴方”に対するミクの想いの強さが描き出される。

 そして、ラスサビのあとの記憶が走馬灯のように去来する映像に重なる言葉の弾丸も強烈な印象を与えるフレーズで、音ゲーにおいては達成感に繋がる場面だ。〈この歌声はセカイに響く〉と届けたミク。ハイパー高速ピアノサウンドと、懐かしさや切なさを湛えた歌詞が融合したハイブリッドな楽曲「メモリア」は、音ゲープレイヤーの腕を試すだけでなく、その心に感動の火を灯す。ストーリーの最後の音色に見られる微かな陰りまで、そのユニークな余韻を楽しんでみてはどうだろうか。


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