フランスで、母親に見捨てられた9歳児が2年間も自力で生き延びていた。ひとりで食事をし、電気も暖房もない生活を送っていたが、きちんと学校へ通い、成績優秀だったため、彼がこのような苦境に陥っていることは誰も想像できなかったようだ。
時に食べ物を求めて、近所の庭からトマトを取ることもあったようだが、2020年から2022年にかけて、9歳から11歳までの間、たった一人で生き抜いたのだ。
彼の39歳の母親は、ボーイフレンドと5km離れた場所で暮らしていることが発覚し、育児放棄で有罪判決を受けた。
【画像】 9歳で母親に捨てられた少年は2年間1人で生きていた
フランス南西部、シャラント県ネルサックにあるアパートには9歳の少年が11歳までの2年間、たった一人で暮らしていたことが発覚した。
電気もガスも通っていなかったため、冬の間、少年は暖を取るために3枚の掛け布団にくるまって過ごした。暖かいお湯で体を洗うこともできず、冷たい水で体を洗わなくてはならないこともあったそうだ。
少年が1人で暮らしていた公営アパート / image credit:Google
近所の住民たちは、少年にときどき、食べ物を分けてあげていたにもかかわらず、まさか彼がひとり置き去りにされているとは思いもしなかったようだ。
・合わせて読みたい→もしあなたにとって有害な家族がいたら・・・思い出して欲しい10のアドバイス
報道によると、孤独な少年はおもにケーキと冷たい缶詰食で飢えをしのいでいたという。
サバイバル力のあるこの少年は、アパートの隣のバルコニーからトマトをくすねて食べることもあったらしい。
少年を扶養する義務があるはずの39歳の母親は、5km離れたシルイユにボーイフレンドと住んでいて、息子に食料を与えるために、ごくたまにやって来るだけだったようだ。
photo by pexels
2年後にようやく1人でいることが発覚
少年の父親の消息はわからず、息子の人生にはまったく関与していないようだ。母親は父親とずっと別居していて、子どもと生活していたアパートから自ら出ていった。
2年がたった頃、やっと隣人が少年がひとりぼっちで暮らしていることに気づき、警察に通報した。ネルサックのバーバラ・クーチュリエ市長は、社会福祉の穴に警鐘を鳴らし、次のように語った。
こうした残酷な状況を察知できたはずの大人がどれくらいいたのでしょうか。少年は身なりもちゃんと整えていて、宿題をきちんとこなす優等生でした。
それは彼が〝すべて大丈夫〟と言うための自分を守る盾のようなものだったと思います
近所のおとなたちの何人かは、少年の母親が汚い言葉で子どもに悪態をついているのを目撃したことがあると語った。
ある匿名の隣人は、母親がとても口にはできないような言葉の暴力をぶつけているのも聞いていて、どうしてこんな人間にこんな良い子がいるのが不思議に思ったという。
photo by Unsplash
成績優秀で身なりもきちんとしていた少年、母親は逮捕
この残酷な母親、アレクサンドラの身元は明かされていないが、未成年の育児放棄とその安全を危険にさらした罪でアングレーム裁判所から起訴された。
法廷審問中に電話のデータが提示され、母親が息子と同じ家に住んでいないことが確認された。
さらに、母親は息子を学校に送り迎えもしておらず、彼はひとりで学校へ通い、ずっと成績も優秀だったことが判明した。
photo by Pixabay
母親は自身に対する起訴内容を否定したが、近所の住民が子どもがひとりで暮らしていたことを証言、警察もアパートの冷蔵庫が空で、大人の衣服もなかったことを確認した。
1月16日、母親は懲役18ヵ月の判決を受け、そのうち6ヵ月は電子監視ブレスレットを装着して過ごすことを余儀なくされた。
現在、12歳になったこの少年は母親と接触することを望んでおらず、母親との面会を拒否しているが、少年が里親家族に迎えられて以来、母親は一度しか息子を訪ねていない。
SNSで反響を呼ぶ
このニュースが海外メディアで一斉に報じられると、SNSでは様々な声が上がった。
・神は彼を見捨てなかった。学校の先生たちがまったく気がつかなかったのはびっくりだけど、彼の精神力の強さには恐れ入る。少なくとも彼が孤独だった期間と同じくらい、母親を牢屋に入れるべき
・2年間もひとりでなんとか生活していた少年を賞賛すべき。どうして誰も気がつかなかったの? 幼い子を見捨てて、ひとりで生活しなきゃならないようにさせた母親を罰するべきだわ
・あっぱれな少年。どうして誰もわからなかったのだろう。少年が新たな家庭で愛され、大切にされますように
・悲劇版ホームアローンだね。これからは愛され、大切にされるように願う。彼が再び子どもらしく過ごせますように
・子どもたちは、この少年を見習うべきね。こんな苦境を生き延びるなんて、伝説的だわ。これからは安全にすこやかに過ごして欲しい
・なんて痛ましい話。この世の残酷さに驚かされることばかり
・あまりに悲しい。親になるべきではない人はいるものなのね
・ひとりぼっちな存在だったかわいそうな少年。後でなんらかの影響が出てくるかも。でも生き延びるための人間の強さを見せつけられた
・彼がどんなに寂しく苦しんだことか。読んでいてあまりに辛すぎる
・これほど残酷なことはない。こんなことをした母親をもっと罰するべき。少年があまりにかわいそう。ちゃんと保護してくれて、彼にふさわしい愛情を注いでくれるおとながいないなんて
References:Enfant abandonne par sa mere en Charente : ≪ C’est un exemple de resilience incroyable ≫ - Le Parisien / Video. L’affaire de l’enfant abandonne de Nersac sur BFM TV - Charente Libre.fr / 9-Year-Old Lived Alone For 2 Years, Fed Himself, And Kept Good Grades | Bored Panda / written by konohazuku / edited by / parumo
コメント