バレンシアに所属するDFガブリエウ・パウリスタのアトレティコ・マドリード加入が間近に迫っているようだ。30日、スペイン紙『アス』が報じている。

 またしても“暴君”による勅令がバレンシアに発動された。2017年夏からバレンシアに在籍する33歳のCBは、クラブ公式戦通算220試合に出場するとともに、コパ・デル・レイ優勝にも大きく貢献したディフェンスリーダーだ。現行契約は今夏に満了を迎えるが、規定の試合出場数を満たした場合に自動的に行使される延長オプションが盛り込まれており、条件達成まであと数試合に迫っていた。

 しかしそのタイミングで、パウリスタの年俸550万ユーロ(8億8000万円)を支払う余裕のないバレンシアオーナーであるピーター・リム氏が、クラブ上層部に売却を命じたとのこと。選手本人は残留を希望し、減俸も受け入れる意志だったが、上層部は検討すらしなかったという。それどころか、仮に残留した場合には、ルベン・バラハ監督らに対して、“起用禁止令”を通達する構えだったようだ。

 そして渦中のパウリスタの決断は、バレンシア退団に。『アス』によると、ベシクタシュ移籍がまとまりかけていたところで、CBホセ・マリア・ヒメネスが1カ月程度の負傷離脱となったアトレティコ・マドリードから声が掛かり、2025年夏までの1年半契約で合意に達したとのこと。また、バレンシアとは双方合意の下で契約を解除したため、フリー加入となると報じている。

 ピーター・リム氏による悪政が続くバレンシアは、マルセリーノ監督の電撃解任を筆頭にこれまでにも度々“お家騒動”を起こしてきた。28日には、チームを率いるルベン・バラハ監督も「プロジェクトと進むべきプロセスが必要で、バレンシアがベストチームの仲間入りを果たせるように、チームを改善し、毎シーズン成長させるという野心を持ったオーナーでなければならない」と苦言を呈したばかりだったが、またしても“功労者”に相応しい結末とは思えない仕打ちを与えている。

アトレティコ移籍が決定的なCBパウリスタ [写真]=Getty Images