選手会を脱退している佐々木の行動には、様々な意見が飛び交っている(C)Getty Images

 なぜわざわざ、そんなことをするのか--。

 球界関係者の間では戸惑いの声が広がっています。

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 ロッテの剛腕・佐々木朗希です。このほど、日本プロ野球選手会を脱退していたことが判明。確かに加入について強制力はなく、任意であるとはいえ、入団5年目の若手選手が脱退するというのは極めて異例の事態です。

 この件が公になると、森事務局長が報道各社の取材に応じ、無念の思いをコメント。選手たちが一致団結して、待遇改善を実現していった過去に思いを致せば、影響力の大きいビッグネームの脱退は寂しいものがあります。

 スポーツ紙のデスクは言います。

「第一報を聞いた時、ただただ驚きました。脱退する前に知ってほしいのは、12球団が現在、それぞれ地域に根ざして発展しているのも、選手会の奮闘があったからという歴史です。佐々木投手は2001年生まれですから、2004年の球界再編騒動のことは記憶にないと思います。ならば若い選手たちがプロ野球に入る際、球界再編の時に何があったかを伝えなければならない。もし知っていれば『選手会を脱退します』なんて絶対に言えないでしょうから」

 あの年、選手会はペナントレースを戦いながらも「12球団維持」に向けて団結。その結果、オーナー側の「1リーグ10球団」構想を阻止しました。仙台に新球団・楽天が誕生し、各球団とも「自ら稼ぐ」ビジネスモデルを徐々に整えて努力を重ねた結果、現在のプロ野球の繁栄があります。

 前述のデスクは語気を強めます。

「佐々木投手がメジャー志望なのは分かりますし、球団も基本的には夢を後押ししたいと考えているでしょう。しかし、物事にはタイミングがある。過去4年間、首脳陣は佐々木投手のフィジカル面を最重要視し、大事に大事に起用してきたという経緯があります。メジャー挑戦はロッテやファンに恩返ししてからでも遅くはない。一刻も早く行きたいと言うなら、そもそも日本プロ野球に入らず、高校卒業後、直接メジャーに行けば良かったというだけの話です」

 野球はチームスポーツ。そして普段は覇を競う12球団の選手たちも、言うなれば運命共同体です。プロ野球選手会という旗の下、どうすれば選手がプレーしやすい環境を生み出せるか、汗と涙を流して「勝ち取ってきた」経緯があります。

 その「果実」だけを享受して、奮闘を重ねてきた選手会から脱退するというのは、悪手という評価となっても決して不思議ではないのです。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

選手会脱退はなぜ悪手なのか 佐々木朗希にも知ってほしい「先人の努力」