今後、ビットコインに巨大機関投資家のマネーが次から次へと流れ込む!
今後、ビットコインに巨大機関投資家のマネーが次から次へと流れ込む!

にわかに仮想通貨業界が色めき立っている。米国でビットコインETFが承認されたからだ。しかし、それの何がスゴいのか? どうやらこれ、仮想通貨の歴史に残る画期的な出来事なのだそう。史上最アツの上昇相場がここからやって来る!?

【写真】米国でETF承認されたビットコイン

■機関投資家がビットコインを買う時代

1月11日に米国でビットコインに投資するETF(上場投資信託)が発売され、世界の投資業界で大きな話題を呼んだ。仮想通貨取引所でしか買えなかったビットコインが、株式と同じように証券会社で売買できるようになったのだ。とはいえこれは米国の話で、日本の証券会社を使っている人は買うことができない。

「一般的にはあまりピンとこないニュースかもしれませんが、これは仮想通貨の歴史に残る記念碑的な出来事。そして、仮想通貨に投資していない人々にも影響があります」

こう語るのは、仮想通貨とWeb3を取り扱うウェブメディア『コインデスクジャパン』編集長の増田隆幸氏だ。

「米国でETFなどの金融商品を発売するには、監督官庁のSEC(証券取引委員会)の認可が必要です。つまりビットコインETFが発売されたということは、米国政府がビットコインに対して投資商品としてのお墨付きを与えたことを意味します」

もはやビットコインは怪しい投機商品ではなく、株式や債券、金(きん)といったなじみ深い金融資産と肩を並べたのだ。これは、米国の個人投資家が証券会社でビットコインを買えるようになる以上に大きな意味がある。

「これまでビットコインは、安全性などの観点から機関投資家にとっては投資しづらいものでした。ところがこれを機に参入しやすくなったのです。

多額の資金を扱う、生命保険会社や年金資産の運用法人といった機関投資家にとっては、株式とも債券とも値動きが異なる上に、長期的には価格が上昇しているビットコインは分散投資の対象として魅力的です」(増田氏)

ということは、われわれが買わなくても、資産を預けている保険会社や年金運用法人が投資することで、いやが応でもビットコイン価格がわれわれの生活に関係することになったわけだ。

ところで、このニュースをトレーダーはどう受け止めたか? 仮想通貨に精通する投資家兼ライターの伊藤将史氏は喜びを隠さない。

「悲願がかないましたね。ただ、仮想通貨トレーダーとしてはビットコインは世界一優れたお金だと思っているので、株式や金と同列の金融資産として扱われるのは当然だと思っています。なのでETFの承認も『やっと時代が追いついた』という感覚でしょうか」

ビットコインETFが初めて申請されてから、承認に至るまでには10年以上を要している。ところが、実はビットコイン投資に近い効果を持つETFはすでに取引されていた。

「今回承認されたのは現物(=ビットコインに直接投資する)ETFですが、ビットコインの価格を予想し合って取引する、先物価格に連動したETFは2021年に承認されていました。

SECは現物ETFの承認を渋っていましたが、裁判所に『ビットコイン先物と現物は非常に類似した金融商品であるにもかかわらず、現物ETFを認めないのは恣意(しい)的で気まぐれ』と言われる始末。現物ETFの認可は時間の問題だったのです」(伊藤氏)

■ビットコイン価格の今後の動向は?

気になるのは今後の価格動向。別掲のチャートを見るとわかるが、実はETFが承認されて以降、価格は短期的には下落傾向にある。これはなぜ?

「ETFの承認は既定路線で、すでに価格に織り込まれていたからです。そのため、利益確定の売りが続いたのでしょう。

とはいえ、ビットコインが『金融資産としての信頼性』を手に入れたことは間違いなく、長期的に見れば大きなプラスだと思います」(伊藤氏)

このニュースに反応して、成長株投資で名をはせた米国ファンドマネジャーのキャシー・ウッド氏が「ビットコイン価格は2030年までに150万ドル(=約2億2200万円)に達する可能性がある」との仰天予想を出した。マ、マジですか!?

「現状から約35倍の上昇ですが、これはさすがにポジショントークでしょう。とはいえ、ビットコイン価格が今後上昇しやすくなる点は疑いないと思います」(増田氏)

まあそうですよねー。上昇基調が続く根拠は?

「現在、世界の株式市場の時価総額は100兆ドルを超えています。それに対して、ビットコインが約半分を占める仮想通貨の時価総額は約1.6兆ドルに過ぎません。ということは、大手機関投資家や個人が株式に投資している資金のわずか1.6%を仮想通貨に移すだけで、その時価総額に匹敵するマネーが流れ込むことになります」

ビットコインの価格はこの5年で10倍以上になった。年率60%以上の運用成績を上げた金融商品に投資できるチャンスがあったら、貯金100万円のうち1万円くらいは投資してみたいと考える人が出てきてもおかしくはないだろう。

それが機関投資家を巻き込んで現実化するなら、ビットコインの価格が上昇を続ける可能性は十分といえる。

「ETFのスタートはビットコインが金融商品として成熟した証しといえます。今後、価格の乱高下は減るでしょう。値動きはより堅実なものになると思います」(増田氏)

ビットコインが定番の投資先になる未来は想像以上に近そうだ。少しだけでも保有をしておけば、35倍まではないにせよ、いい夢を見られるかも?

取材・文/日野秀規

2022年11月に仮想通貨取引所のFTXが破綻し下落。その後は堅調に推移しているが、総じてこの1年はETF承認に振り回された相場だったといえる