新たな研究よって、自然災害や家庭内暴力のような緊急時、ペットと一緒に逃げられる避難所がないことが、被災者や被害者を危険な状況に陥らせていることが明らかになった。
ペットの飼い主にとって、愛する犬や猫、鳥などの動物は人間の家族と同じくらい大切な存在だ。だから急いで逃げる必要があったとしても、ペットを連れていけない状況では避難をためらってしまう。
『Anthrozoos』(2024年1月28日付)に掲載された研究では、そうした人間と動物の強い絆を浮き彫りにし、支援・保護サービスを行う際にはペットのことも考えて行うべきだと主張している。
【画像】 ペットの避難所がないことが被災者・被害者を苦境に陥らせる
ペットを飼ったことがない人には、わからないかもしれない。だが愛犬や愛猫など(もちろん鳥や魚、爬虫類だって大切なペットだ)と暮らす人にとって、彼らは人間の家族と同じような大切な存在だ。
たとえ自然災害のような危機的な状況にあったとしても(いや、だからこそ)、そんな大切な存在を置いて自分だけが逃げるなんてそう簡単にできることではない。
オーストラリア、ジェームズ・クック大学のチームによる今回の研究は、まさにそのことを裏付けるものだ。
過去27年間に行われた42本の研究を調べた今回の調査によれば、災害のような”緊急時”にペットを一緒に受け入れる避難所がないことが、人間の被災者や被害者を苦境に陥らせているという。
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避難を拒否したり、危険な状況に戻ってしまうことも
この研究における緊急時とは、自然災害のほか、家庭内暴力の発生や、なんらかの事情でホームレスになったといった状況のことだ。
こうした一刻も早く逃げたり、助けを求めたりするべき状況であっても、ペットを置き去りにできない飼い主たちは、避難をためらってしまうのだ。
たとえば、地震や火災のような自然災害に見舞われたとき、その被災者はペットを守るために避難せずに残ったり、まだ危険な状況なのにペットのために家に戻ったりすることがある。
また家庭内暴力のケースでは、その被害者は、大切なペットと離れ離れになることを恐るあまり、助けを求めることを躊躇してしまう。
あるいは暴力を振るう相手から逃げたとしても、ペットに危害を加えると脅迫されれば、やはり家に戻ってしまうこともある。
逃げようとしない被害者たちの懸念は、ごく当然のことだ。今回の研究では、家庭内暴力が起きている家庭において、ペットの虐待や死が非常に起きやすいことが明らかになっている。
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ペットを受け入れる救助・保護サービスの拡充を
この研究で明らかになったのは、現時点の救助・支援活動では、まずは人間を優先して助けることになっており、助ける側は飼い主がペットに対して感じているほどの責任を負っていないという”ギャップ”があることだ。
それがかえって、助けたいはずの被災者・被害者を危険にさらす結果になっている。
論文の主執筆者であるジャスミン・モンゴメリー氏は、被災者・被害者を支援する際には、ペットのことも含めて考える必要があると述べている。
多くの場合、人と動物の絆を考慮することなく、まずは人間を優先させるでしょう。ですが、ペットとペットの価値を真剣に考え始めるべきです。
地域社会の一員として、その責任を分かち合い、政策・法律・サービス提供・住居といった分野にペットのニーズを反映させるのです。
そうすることで、動物の虐待や死といった受け入れがたい結果を防ぐことにつながります
ペットを守るための行動が悲劇につながらないよう、緊急時にはペットを受け入れてくれる避難所や保護施設を用意するべきだと研究チームは提案している。
References:Full article: A Scoping Review of Forced Separation Between People and Their Companion Animals / The Psychological Impact of Forced Human-Pet Separation - Neuroscience News / written by hiroching / edited by / parumo
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