直線距離にして13km、「日本最短の航空路線」として知られるRACの南大東~北大東線が運休となります。同路線の利用率は8割近くと高いにも関わらず、なぜ運休となるのでしょうか。

月報では12月利用率は「78.4%」

JAL日本航空)グループで那覇空港を拠点とし、おもに離島路線を運航するRAC(琉球エアーコミューター)が、2024年8月より「南大東~北大東線」を運休すると発表しました。「日本最短の航空路線」として知られる名物路線を、なぜ運休することになったのでしょうか。

沖縄県の南大東島と北大東島を結ぶRACの空路は1997年10月に開設。その直線距離はわずか13kmしかなく、運航ダイヤ上は20分ですが、実際の飛行時間は10分以下。乗ったらすぐ着陸準備に入ってしまう路線などとしても知られています。

それに加え、JALグループの月報によると、2023年12月における同路線の利用率は78.4%。これはJALグループ国内線平均値(71.8%)、そして沖縄県内離島線の同月平均値(69.8%)を上回っています。

データ上は好調そうに見える状況にも関わらず、なぜ運休となるのでしょうか。RAC・JTA日本トランスオーシャン航空)の広報担当者は次のように説明しています。

「この路線の搭乗率は『北大東~南大東』のみの数値ではなく、『那覇~北大東~南大東』と『那覇~南大東~北大東』の数値となります。『北大東~南大東』のみの需要は少ないのが現状です。その点とお客さまの利便性を考慮し今回の判断となりました」

「日本最短の航空路線」珍しい機材繰りが関係

この路線は、那覇空港を基点に「三角運航」と呼ばれる、国内の定期旅客便としては珍しい機材繰りをしています。月・金・土・日曜は那覇→北大東→南大東→那覇を、火・水・木曜は那覇→南大東→北大東→那覇の順でそれぞれ運航しているのです。

つまりこの路線の利用者の多くは、南・北大東島の移動ではなく、南大東島から北大東島を経由し、もしくは北大東島から南大東島を経由して那覇へ向かう、あるいはその逆といったように、両島と那覇を移動するための需要が多くを占めていたということでしょう。

このためRACは南大東~北大東線の運休にともなって、那覇~南大東、那覇~北大東の各路線を、1日0.5便ずつ増やす予定です。

なお、RAC・JTAの広報担当者は、南大東~北大東線の運航再開について「上記の回答がキーポイントになるかと思いますが、今後の路便の策定についても引き続きお客さまの利便性を考慮してまいります」とコメントしています。

南大東空港で。RACのDHC8-Q400CC(乗りものニュース編集部撮影)。