イタリア・ナポリ近郊にあった古代都市「ポンペイ」は、79年のヴェスヴィオ火山の大噴火の影響で壊滅的被害を受けた。
現在はユネスコ世界遺産に登録され、歴史的に価値の高い遺跡がある場所として毎年多くの観光客が訪れるが、その中には「手土産」と称して遺物を勝手に持ち去る者もいる。
しかし、ポンペイの遺跡にある物を持ち帰ると不幸が降りかかると言われている。実際に呪いが降りかかったという人物から遺物が返還されるという事例が過去にあった。
今回も再び、ポンペイの火山岩を勝手に持ち帰った観光客が、不運に見舞われたとのことで、謝罪の手紙を添えて石を返したようだ。
ある女性は観光でポンペイを訪れたが、土産としてこの遺跡から火山岩を勝手に持ちかえった。しかし、間もなくして女性は健康問題を抱えるようになった。
もしやポンペイの呪いでは?と思った女性は謝罪のメモを添えて石を返還し、その間に見舞われた不幸についてメモで説明した。
考古学者のガブリエル・ズヒトリーゲルさんは、そのメモと送り返された石の画像をXでシェアした。
Dear anonymous sender of this letter … the pumice stones arrived in Pompeii… now good luck for your future & in bocca al lupo, as we say in Italy pic.twitter.com/vaYlqUudke
— Gabriel Zuchtriegel (@GZuchtriegel) January 9, 2024
この手紙の匿名の送り主へ。石がポンペイに届きました。イタリア語でボッカ・アル・ルーポ(bocca al lupo)と言いますが、あなたの未来に幸あれ。
女性はポンペイの呪いで乳がんになったと主張
女性が送ってきた手書きのメモにはこのように綴られてあった。
呪いのことは知りませんでした。石を持ち帰ってはいけないということも知りませんでした。
それをした私は、その年に乳がんになりました。
私はもともと若くて健康でした。乳がんになって、医者からは「運が悪かった」と言われました。私の謝罪とこの石を受け取ってください。申し訳ありません。
過去に遺物を持ち帰った女性も乳がんに
残念なことに、ガンを患った後、ポンペイから持ち帰った遺品をローマ市内の遺物管理当局に返還したのはこの女性に限ったことではない。
2020年も、同じような手紙が同局に届いた。この女性は15年間も遺物を手元に置いていたようだ。
私は現在36歳で、乳がんを2度患いました。前回は二重乳房切除術を受けました。
家族は私と共に経済的困窮に陥り、何年も苦しい生活を送ってきました。
この呪いを家族や子供たちに伝えたくありません。
奇しくも、2人の女性は乳がんという同じ病にかかってしまったが、これが果たしてポンペイの呪いか単なる偶然かは不明だ。
・合わせて読みたい→遺物の呪い。ポンペイ遺跡から盗んだ出土品を返還した女性、15年間呪いに苦しむ
だが言うまでもなく、そうした古代遺跡の呪いを信じるかどうかにかかわらず、現地の遺物を「お土産」として勝手に持ち帰ることは奨励されることではないだろう。
遺跡管理当局によると、近年ではこれら事例のように遺物を現地から持ち去る観光客から、謝罪の手紙と共に返還されるケースが100件はあるということだ。
References:Tourist returns ‘cursed’ stones to Pompeii after a year of ‘bad luck’/ written by Scarlet / edited by parumo
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