株式会社アトラスより『ペルソナ3 リロード(以下、P3R)』(プレイステーション5プレイステーション4Xbox Series X|SXbox One/PC(Steam、Windows)が2月2日に発売される。本作は、2006年に同社が発売した名作RPG『ペルソナ3(以下、P3)』(プレイステーション2)を現行機向けにフルリメイク。今回は発売前に試遊することができたので、特に魅力を感じた「コミュ」と「バトル」の面から本作のプレイフィールを語っていこうと思う(試遊したのはXbox Series X版なので、ボタン名の記載はXboxのコントローラーに準拠させていただく)。

 なお、本作の物語や世界観設定、キャラクターなどの基礎情報は、やアトラスのYouTubeチャンネル「」に詳しいものが上がっているのでそちらを確認しておくといいだろう。また、筆者は本シリーズを『ペルソナ3 ポータブル』(『P3』をプレイステーションポータブル向けに移植した作品で2009年発売)しかプレイしたことがないため、ほぼシリーズ初心者の目線でのレビューになることをご了承いただきたい。

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 『P3R』は学園都市を舞台に、心の力「ペルソナ(自分の中に眠る『もうひとりの自分』が『伝来の神や悪魔』の姿となって出現したもの)」に目覚めた主人公ら少年少女たちが、一日と一日の狭間に存在する時間「影時間」に現れる怪物・シャドウと、シャドウの巣窟となっている巨大な迷宮・タルタロスに立ち向かうジュブナイルRPG。基本的なゲームの流れは『P3』と同じく、昼間は学園に通いながら色んな人たちと交流、夜はダンジョンのタルタロスを攻略することでカレンダーの日付が進行していく。そして、満月の日には強大なボスとのバトルが待っている。

 『P3』は、キャラクターデザインに副島成記氏、コンポーザーに目黒将司氏を起用したことで、『真・女神転生』から続く同シリーズがこれまで持っていた“硬派”なイメージをいい意味で一新。より多くのファンを獲得することに成功したマスターピースだ。それゆえ、今回のリメイクに対するファンの期待はかなり高いと思うが、個人的にはその期待を大きく超えた“良リメイク”に仕上がっていると感じた。

グラフィック&システムの進化で他者との交流がより楽しく

 まずは、とにもかくにもグラフィック面の進化がすさまじい。キャラクターの3Dモデルは副島氏の描く魅力的な人物たちがそのまま動いているようだし、このグラフィックの進化の恩恵を特に受けていると感じたのは、さまざまな人たちと交流する「コミュ」だ。

■気になるあの人と親密になって「コミュ」育成

 「コミュ」は対象となるキャラクターとシミュレーションゲームのように絆を深めることで、主人公が生み出すペルソナに経験値ボーナスがつくシステム。キャラクターとの会話の中では回答を選ぶシーンもあり、選んだ回答によってはより親密になれることもある。適切な回答を選べなかったときはやり直したくなるのが人の性だと思うが、今作から追加された機能「ROLL BACK(ロールバック)」を使用すると、セーブデータとは別に自動で保存されている“自由行動が可能になったタイミング”に戻ることが可能。これによって、回答の選び直しや、誰と交流を深めるかのコミュ管理がしやすくなった。新しいグラフィックと立ち絵で、男子はよりカッコよく、女子はよりかわいく魅力が増していて、限られた時間の中で誰と交流するかを考えるのが本当に悩ましい。

■特別課外活動部の仲間たちの意外な一面が知れるリンクエピソード

 コミュとは異なるが、主人公たちが所属する「特別課外活動部」の仲間と一緒に過ごすことができる「リンクエピソード」も見逃せない。ストーリー上では分からなかったキャラクターの新たな一面が知れる上に、見ると主人公たちのステータスが上がったりする。「リンクエピソード」は見られる期間が決まっているので、発生したら積極的に見てほしい。

快適さと戦略性を両立した爽快なバトル

 先述したグラフィックの進化は、バトルにおいて大きな影響を受けており、タルタロス内のデザインやシャドウの見た目も一層怪しく魅力的になった。加えて、システム面でもより遊びやすい調整が施されている。

ショートカットタルタロス探索が一層快適に

 タルタロスは、フロアに設置された階段を上ることで次の階に行けるのだが、上の階になればなるほどフロアは広くなり、宝箱回収などをしていると階段に戻るのが手間になってくる。しかし、今作は階段を発見した時点でフロアのどこにいても瞬時に次の階へショートカットできるようになった。この機能は探索をよりスムーズにしてくれるので非常にうれしい。また、探索を開始したその日の内なら帰還装置でエントランスに帰還しても、帰還した階から探索を再開できる。シャドウが強いと感じたら、一旦エントランスに戻ってセーブしよう。

■「チャンスエンカウント」→「シフト」でずっと俺のターン

 タルタロス内では、シャドウのシンボルと接触することでターン制バトルが開始されるのだが、接触前にシャドウの背後からXボタンで攻撃すると、味方が先制ターンを取れる「チャンスエンカウント」が発動する。「チャンスエンカウント」成功時は戦闘BGMも変化するため、耳でも有利な状況になっているのがわかるし、こういうにくい演出は大好きだ。

 ほとんどのシャドウには弱点があり、弱点に適した属性攻撃を行うと「1more」が発生。敵からダウンを奪って、攻撃した味方がもう1回行動できるようになる。さらに、本作からは新システムの「シフト」を使用することで「1more」を仲間に託すことができるようになった。主人公以外の仲間はペルソナが固定で使えるスキルにも限りがあるので、別々の弱点を持つ敵が複数出たときでも弱点を突きやすくなった。

 また、戦闘中にRBボタンを押すと使える「アシスト」では、判明している敵の弱点となる属性攻撃を即座に選択でき、非常に便利だと感じた。コマンド選びの時間短縮にもなるし、弱点を突ける属性攻撃アイテム「●●●ジェム」を所持していればそれも表示されるので、SPが枯渇していても弱点を突ける手段があるのがわかるのはありがたい。

気になったことや総評

 本稿では語りきれなかった新システムや魅力がまだまだあるのだが、ここまで語ってきた通り本作は『P3』の良さはそのままに一層遊びやすくなった良作だ。シリーズファンも、まだシリーズを遊んだことのない人にもオススメしたいし、筆者も本作を遊んだことで『ペルソナ4』や『ペルソナ5』を遊んでみたくなった。

 強いて気になったポイントを挙げるならば、主人公の移動は左スティックで行うのに、バトルやメニューでのカーソル操作が方向パッドなのに違和感をおぼえたくらい。だが、これは遊んでいれば自然と慣れるものなので本作の楽しさの前には些末なことだ。美しく、遊びやすく、約18年の時を経て再装填されたマスターピースの色褪せない魅力をぜひ体験してみてほしい。

 『ペルソナ3 リロード』は、PS5PS4Xbox Series X|SXbox One/Windows/PC(Steam)向けに2月2日発売。

『ペルソナ3 リロード』パッケージ画像 (C)ATLUS (C)SEGA All rights reserved.