トムクルーズが主役を演じた映画『トップガン』の影響で流行したフライトジャケット「MA-1ブルゾン」。それから一定の期間を経て、続編『トップガン マーヴェリック』が公開された2022年ごろから今に至るまで、秋冬の人気アウターとして再び定着しています。

ところが、ダウンジャケット同様、カジュアルをルーツとするため「誰もが清潔感あるような着こなしになる」とは限りません。着る人によっては、だらしない印象に陥ってしまうのです。

とくに男性の場合、30歳を過ぎたころから加齢による「毛量や顔の弛みなどの変化が生じてくる」ため、カジュアルアウターと清潔感の両立を考えたとき、着こなしの難易度が必然的に上ってきてしまいます。

そこで今回は、「MA-1ブルゾンを無理なく着こなす方法」について、『男の服選びがわかる本』(池田書店)の著者が解説します。

◆1)どの色を選ぶべきか?

MA-1ブルゾンといえば、ミリタリーを連想する「特有のカーキ色」が主流ですが、人によっては老け込んで見えてしまうもの。定番だからこそカ-キを選びたくなるかもしれませんが、MA-1の色については、黒・紺をおすすめしています。

化学繊維の質感から光沢感がでやすいMA-1ブルゾンは、ダークカラーを羽織っても、老け込んで見えづらいのです。また中間色のカーキに比べて、ハッキリした色を選んでおけば、メリハリ配色にすることで清潔感を演出しやすくなります。

たとえば、上下を黒で統一したMA-1ブルゾンコーデに白スニーカーを合わせる組み合わせがおすすめです。コントラストによるメリハリは、人の視線を服に集中させる効果が高まるため、加齢による弱点「顔の弛み」などから、相手の意識を逸らしやすいのです。

◆2)合わせるパンツは「きれいめ」で

とはいえ、MA-1の色に工夫を凝らしたとしても、色落ちしたインディゴジーンズやベージュのチノパンでは、カジュアル味が強調されてしまいますよね。まだフレッシュさが残る年齢の方が着るには、こなれて見える配色でも、人によっては途端にくたびれた印象に……。そこで「きれいめパンツ」で合わせることをおすすめしています。

たとえば、ジーンズやチノパンのように色落ちの心配がないイージースラックスやジョガーパンツは、クリーンな印象を与えてくれます。

このときパンツの幅については、細身からワイドまで、カタチを選びません。最近のMA-1のフォルム自体にボリュームがあるため、太めパンツが悪目立ちすることもないからです。世代によっては、ワイドなパンツがだらしないという印象をお持ちかもしれませんが、あえてクリーンな質感を選ぶことで、フォルムを気にせずコーディネートできるはずです。

◆3)「丈感」にこだわるべき

ここまでMA-1のカジュアル味を抑える工夫についてお伝えしてきましたが、ブルゾン自体に違和感があっては本末転倒です。ブルゾンのフォルムも今っぽくアップデートしましょう。

90年代に流行ったMA-1は短丈でしたが、最近のものは丈感が長め。とはいってもお尻が半分隠れる程度ですが、インナーとして合わせるフーディーやセーターに合わせやすいのです。

このときインナーのトップスが、ブルゾンから7~8センチ程度チラッと見える程度のバランスで合わせてみてください。合わせることを想定したインナー着用で試着してみるべきなのです。

また、気に入ったブルゾンが短丈だった場合でも大丈夫です。パンツとブルゾン色を近づけることで、丈の短さを悪目立ちさせなければ良いのですから。MA-1ブルゾンは、配色にこだわることで、清潔感あるコーディネートが簡単に仕上がるのです。

<TEXT/森井良行>

【森井良行】
“あなたのお抱えスタイリスト”として、その違和感を言葉で可視化する。著書『38歳からのビジネスコーデ図鑑』(日本実業出版社)など5冊。MENSA会員。公式サイト「エレカジ」では、80件を超えるコーディネート事例を公開。

上下黒で統一したMA-1コーデ