◆ストイックな努力で向き合ってきた10年の集大成

 AKB48の本田仁美が1月26日神奈川県パシフィコ横浜で「卒業コンサート~希望と夢に満ちた道~」を開催した。AKB48チーム8の栃木県代表として12歳で加入し、‘18年には日韓合同アイドルグループのIZ*ONEとしてもデビュー。韓国や中国を中心に海外ファンの心も掴んだ。’21年AKB48に復帰してからは、中心メンバーとしてグループをけん引してきた彼女。そんな約10年間のアイドル人生で、「ステージで歌って踊ること」にストイックな努力で向き合ってきた本田仁美らしさが存分に溢れた卒業コンサートとなった。

 1曲目は、「涙の表面張力」のソロ歌唱からスタート。本田仁美の代名詞でもあるキレのあるダンスパフォーマンスが光る楽曲だ。続いて、AKB48で初めて選抜に選ばれた「NO WAY MAN」や、センターポジションを務める「元カレです」「どうしても君が好きだ」を披露すると、会場は一気に盛り上がる。ユニット曲のパートでは「ハート型ウイルス」「エンドロール」「抱きしめられたら」などを披露。8曲すべてに参加した本田は、曲のわずかな合間に、衣装の早着替えをしながらパフォーマンス。ファンを驚かせた。

◆IZ*ONEで苦楽をともにした矢吹奈子がサプライズ登場

 同パートのラストには、IZ*ONEで苦楽をともにした矢吹奈子がサプライズ登場して「必然性」をデュエット。曲終わりには、矢吹が「卒業コンサートが終わってからステージに上がるのは10か月ぶりだから、1曲でもツラいかも……」と苦笑い。すかさず本田「それレッスンのときから言ってた~」と、ツッコんで観客を笑わせた。

 終盤には、AKB48チーム8のメンバーで「抱きしめちゃいけない」「夢へのルート」をパフォーマンス。歌唱中にはメンバーと視線を合わせながら、ひときわ輝く笑顔を見せる。その姿を見守るファンのペンライトも大きく揺れていた。

◆「つらくて悔しくて涙で前が見えなかった日もあった」

 そして迎えたアンコール。淡い水色のドレス姿の本田がステージに登場すると、「泣きながら微笑んで」を披露した。約10年のアイドル人生は決して順風満帆ではなかった。応援してくれるファンの期待に応えらずに自信を失ったときもある。そんな自分を変えたい。IZ*ONEへの挑戦を後押ししてくれたのもファンの声援だったという。

 本田は、「つらくて悔しくて涙で前が見えなかった日もあったけど、今、私の目はキラキラと光る夢と希望で溢れています。こんなにも素敵な景色の中で、世界に1つの美しいドレスをまとい、大好きな人たちに卒業を見送ってもらえる私は本当に世界一の幸せ者です。10年間、本当にありがとうございました!」と、頭を下げて感謝を伝えた。その姿にファンから惜しみない拍手が送られた。

◆卒業後は「イチから自分の可能性を試してみたい」

 卒業後は少しの充電期間を経て、新たな活動をスタートさせる。コンサート後に行われた囲み会見では、今後について「(踊って歌う)そういう姿を求めてくださる方がいるのであればぜひ挑戦したい。イチから自分の可能性を試してみたいです」とコメント。また、「今日も海外から来てくださった方がたくさんいて嬉しかったですし、今度は私が会いに行けるようなイベントがあったらいいなと思います」と、海外進出への思いも明かした。

 卒業を機にプライベートでも解禁したいことを聞かれると、「実家に帰ること。今までは体型管理もストイックにやりたかったので、実家に帰ると安心してだらけちゃう自分が嫌で、お正月とかも一日しか帰らなかったんです。だから、実家でゆっくり休みたいなって思います。お母さんの唐揚げが大好きなので、唐揚げをいっぱい作ってほしい。お酒も結構飲める口なので、父と一緒にハイボールを飲みたいです」と嬉しそうに笑顔を見せた。

今後のAKB48に託したいことについて、「最近は(女性アイドルで)少人数のグループも多いと思うんですけど、AKB48の良さは大人数だからこそ魅せれる団結力があると思う。これからも国民的アイドルで居続けてほしいです」と、彼女らしい言葉でエールを送った。

取材・文/吉岡 俊 撮影/後藤 巧