鉄道において優等列車が通過する駅は、必然的に「地味」な印象を持たれがちでしょう。では大手私鉄の駅で、最も「利用客が多い」各駅停車(普通)しか停車しない駅は、一体どこなのでしょうか。

各駅停車しか止まらない駅でも利用者スゴイ!

鉄道における定番ネタのひとつに「駅の乗降人員ランキング」が挙げられます。乗降人員が多い駅は必然的に、終着駅となるターミナル駅や優等列車が停車する駅などです。

では「各駅停車(普通)しか停車しない駅」に絞ると、「最も乗降人員が多い駅」はどこなのでしょうか。

JRは駅数が多すぎる上に、おそらく山手線中央・総武線あたりの駅ではないかと思われるので、ここでは大手私鉄に絞って「各駅停車のみ停車する駅」の乗降人員をランキングにしました。選定ルールは以下の通りです。

大手私鉄(東武、西武、京成、京王、東急、京急、小田急、相鉄、東京メトロ、名鉄、近鉄、南海、京阪、阪神、阪急、西鉄)

・駅を通過する優等列車が運行されている路線(各駅停車のみの路線は除外。含めると東京メトロの駅だけになったため)

・始発から終点まで、全駅に停車する列車のみが停車する駅(例えば「途中まで準急として走る各駅停車が停車する駅」は準急停車駅と見なす)

では各社が公表する2022年のデータをもとに、上位1~10位を発表します。

1位:西日暮里駅東京メトロ千代田線)14万3717人/日
2位:国会議事堂前駅東京メトロ千代田線)9万7888人/日
3位:茅場町駅(東京メトロ日比谷線)9万4538人/日
4位:八丁堀駅東京メトロ日比谷線)8万9641人/日
5位:葛西駅東京メトロ東西線)8万9311人/日
6位:西葛西駅東京メトロ東西線)8万8528人/日
7位:日比谷駅東京メトロ日比谷線)8万5949人/日
8位:新御茶ノ水駅東京メトロ千代田線)7万7610人/日
9位:人形町駅東京メトロ日比谷線)6万3201人/日
10位:竹ノ塚駅東武鉄道伊勢崎線)6万3092人/日

見事なまでに東京メトロの駅が上位独占です。東西線には「快速」が、千代田線には小田急電鉄から乗り入れる「特急ロマンスカー」が、日比谷線には東武鉄道から乗り入れる「THライナー」が運行されており、それぞれ「通過駅」があります。

東京メトロを除外すると…?

では、東京メトロを除外するとどうなるでしょうか。

1位:竹ノ塚駅東武鉄道伊勢崎線)6万3092人/日
2位:元住吉駅東急電鉄東横線目黒線)5万5514人/日
3位:東武練馬駅東武鉄道東上線)5万2134人/日
4位:獨協大学前駅(東武鉄道伊勢崎線)5万1352人/日
5位:大倉山駅東急電鉄東横線)4万7872人/日
6位:宮崎台駅東急電鉄田園都市線)4万4470人/日
7位:都立大学駅東急電鉄東横線)4万4353人/日
8位:大山駅東武鉄道東上線)4万4307人/日
9位:宮前平駅東急電鉄田園都市線)4万3267人/日
10位:ときわ台駅東武鉄道東上線)4万737人/日

関東圏だけで10位まで埋まりました。東武と東急だけになったのが意外です。ちなみに大手私鉄16社の、最も乗降人員が多い各駅停車しか止まらない駅は以下の通りです。

東京メトロ西日暮里駅千代田線)14万3717人/日
東武鉄道竹ノ塚駅伊勢崎線)6万3092人/日
西武鉄道中村橋駅池袋線)3万5844人/日
京成電鉄:京成立石駅(押上線)3万2060人/日
京王電鉄国領駅京王線)3万1746人/日
小田急電鉄梅ヶ丘駅小田原線)3万91人/日
東急電鉄元住吉駅東横線目黒線)5万5514人/日
京急電鉄生麦駅(本線)2万5897人/日
相模鉄道天王町駅(本線)2万1625人/日
名古屋鉄道徳重・名古屋芸大駅犬山線)8592人/日
近畿日本鉄道長瀬駅大阪線)3万889人/日 ※2018年
阪急電鉄園田駅神戸本線)2万4117人/日 ※2021年
京阪電気鉄道:関目駅(京阪本線)1万4673人/日 ※2019年
南海電気鉄道住ノ江駅南海本線)1万2317人/日 ※2019年
阪神電気鉄道:姫島駅(本線)1万4002人/日 ※2019年
西日本鉄道:井尻駅(天神大牟田線)2万625人/日

東京メトロがケタ違いなのが分かります。そして、そこへ食い込む竹ノ塚駅は、かなり凄いのかもしれないと思いました。同駅は伊勢崎線で都内最北に位置しますが、開かずの踏切が解消されて2年、高架下には間もなくアーケード商店街が開業する予定です。

東京メトロ千代田線の西日暮里駅(安藤昌季撮影)。