複眼経済塾は、投資家教育と賢明な投資意思決定の促進を目的とした複眼Bizシリーズの最新作として、「IMV株主総会詳細調査と小嶋 淳平社長単独インタビュー」を公開しました。

 

複眼経済塾「IMV株主総会詳細調査と小嶋 淳平社長単独インタビュー」

 

総会に参加した複眼経済塾 小笹 俊一 氏

 

複眼経済Bizとは、投資教育を祖業とする複眼経済塾が、株式投資家だけでなくビジネスパーソン向けにも役立つことを、いつも以上に意識して作成しているコンテンツシリーズの総称です。

今回のコンテンツの公開によって、企業の内部状況をより深く理解するための情報を投資家に提供することを目指しています。

また、経営陣の質と組織の変革に焦点を当てることで、投資判断に役立つ洞察を提供し、経済教育の一環として実際の企業分析の重要性を強調することも目的としています。

 

インタビュー内容

 

聞き手は株主総会に参加した複眼経済塾の株主総会ウォッチャー小笹 俊一 氏

 

Q:2024年9月までの中期計画が終わった後の新しい中期計画を2023年策定することになるが、どうなるのか?

 

小嶋 淳平社長:短信ではセグメント分けできていませんが、説明会資料を見てもらうとわかるように、IMVには3つのセグメントがあります。

振動シミュレーションシステム(DSS)、テスト&ソリューションシステム(TSS)、メジャリングシステム(MES)です。

以下の図を見てもらうとわかるように、これまでは、祖業のDSSの売上高が70%以上でしたが、他のセグメントも伸びてくることをイメージしています。

まだまだ伸びしろは一杯あります。

 

セグメント別売上高構成比

 

テスト&ソリューションシステム(TSS)は、祖業の振動試験をワンストップサービスにまで高めていくことを目指しています。

まずは電気自動車(EV)です。

山梨県上野原市の工場でEVの総合評価試験&ソリューションサービスを始めました。

これにより一括でのサポートが可能になりました。

ただ、EVが当初の想定通り、普及するのかどうかについて懐疑的な見方があることも承知しており、状況を見ながら追加投資が必要かどうか検討していこうと思っています。

 

一番伸びる可能性が大きいメジャリングシステム(MES)は、防災に力をいれます。

災害時に各家庭や施設につながっているガスの供給を自動的に遮断することで火災を防ぐことができるコストパフォーマンスが良い装置を開発したので販売していきます。

防災で海外にも進出しようとしていて、国際協力機構(JICA)のインドネシア案件に参入します。

かつて日本は、自動車や新幹線を海外に売りにいったものですが、数年後には、防災テクノロジーを海外に輸出する時代が来ると思っていて、現に経済産業省は、そういった方針を打ち出しています。

その波に乗り遅れないようにしたいです。

世界の生産工程の自動化を図るファクトリー・オートメーション(FA)市場にも参入したいと考えていて、三菱電機の機器パートナーになりました。

これにより、三菱電機のグローバルネットワークをいかして世界でビジネスができるようになります。

 

振動シミュレーションシステム(DSS)にもまだまだ成長余地があります。

検査する対象が、人工衛星ロケットなどにも広がってきています。

IMVは、日本の全てのロケットベンチャーとビジネスをしていて、2022年には、北海道に本社があるロケットベンチャー、インターステラテクノロジズ社にも出資しています。

国際競争という観点からも、何としてもこの分野を支えていきたいと思っています。

海外でもまだまだこのビジネスを広げられると思い、欧米でサービスセンターを作っています。

ここに自社製品だけでなくライバル社の製品も持ち込んでもらう事で、他社から学び、自社のシェアをあげたいと思います。

すでにヨーロッパでは、この戦略が功を奏していて、「IMVは勢いがあるね」と関心を持ってくれたエンジニアがIMVに転職してきてくれているほどです。

米国でも同じようなことが起こり始めています。

 

現在、DSSでのIMVの世界シェアは2位。

1位は中国メーカーですが、利益率を度外視してまでトップシェアをとりたいとは思いません。

お伝えしたような方法で、利益率を保ちながら、競合に勝っていくことができればよいと考えています。

このようにDSSで第1ロケットに着火しながら、TSSやMESで第2のロケットを着火できれば、IMV全体の成長を加速することができると思っています。

 

Q:高成長を実現するための人材は、そろっているのか?

 

A:IMVの強さは、経営陣に素晴らしい人が集まっていること。

論理的な思考ができる人もいます。

なぜIMVのような中小企業に集まってくれたのかと感謝しています。

この会社で社会貢献したいと言って入社してくれる社員もいます。

社長就任してから8年、常に変化しなければ駄目だと言ってきて、幹部層には浸透してきています。

もっと、中間層にも、この流れを広げたいこともあり、2023年は社員の人たちの話を聞いていきたいです。

 

振動シミュレーションシステム(DSS)事業本部 本部長代行兼設計部長の島田 啓祐さんが案内してくれました。

垂直、水平、軸の3つの方向に同時に対象物の振動させることができる3軸の振動試験機が稼働していました。

世界でも珍しい大型の振動装置も見せてもらうことができました。

島田さんが10年以上前に実務設計されたものだそうです。

この装置によって、鉄道車両の下につけるインバーターやコンプレッサーの振動に耐えられるかどうかを確認できるようになったといいます。

 

複眼流株主総会評価 15点満点で12点獲得 5段階評価でA

 

 

1. 第一印象を3段階評価とその理由 1点/2点

(普通)

株主20人くらいでしょうか。

全員男性だったと思います。

おそらくですが、かなりの方が社員株主やOB株主だったのではないでしょうか。

年末のあわただしい時期ということもあって、なかなか株主の参加が促せていない印象を持ちました。

1列目役員は、5人。

全員男性でした。

上記の写真のように、正面にスライド投影用のプロジェクターがあり、そこに3列で約15人の役員が登壇していましたが、全員小嶋 淳平社長よりも、年上のように見えました。

3列という形はあまり好きではありません。

今回がそうであったかどうかわかりませんが、選任される役員が後ろの方に座っていることがあり、よく見えないからです。

あと、好みの問題かと思いますが、片側に経営陣をかためてしまうともう一方の側で喋る議長がボードメンバーの中で孤立して喋っているように見えるため、プロジェクターの両側に経営陣が座ってくれる方が私は好きです。

 

2. 社長は「自分の言葉」で話していたか? 2点/2点

(はい)

自分の言葉で話していました。

 

3. 社長の説明内容はわかりやすかったか? 1点/2点

(はい)

わかりやすいです。

どんな質問をしても、すぐに回答が返ってきました。

ただ、もう少し長く話してくれてもいいかなとも思いました。

 

4. 事業に対する社長の熱意は感じられたか? 2点/2点

(はい)

今回、IMVは定款を変更し、取締役の人数を「7名以内」から「10名以内」に増員しました。

取締役を減らす企業が多い中で、増やす選択をした理由を小嶋 淳平社長は、「今はそれが最適な経営体制」と質疑応答で話しました。

若返りや多様性を重んじる経営陣に刷新していきたいという意欲のあらわれだと受け止めました。

 

5. 参加社員の雰囲気はどうか? 2点/2点

(普通。「7:3で男性多い」)

皆さん、寒い中、外で会場案内をする男性社員も女性社員もいて、頭が下がりました。

openworkを見てみましょう。

2.96で5点満点で★3つです。

決して高い数字ではありませんが、会場にいる方々は、とても良かったと思います。

小嶋 淳平社長は、質疑応答で「現在、女性の社員比率は15.3%、幹部予備軍も出てきている。

女性役員も検討していく」と話していました。

 

6. 居心地のよい空間だったか? 2点/2点

(快適)

もともと明治製菓の工場だったという西淀川の本社会議室での開催でした。

敷地内は、現在、一棟建て替え中でした。

新しい棟ができたら、ぜひ株主に見学させてほしいというお願いをしたら、前向きに検討してくれるという話でした。

 

7. 演出に工夫はあったか? 2点/3点

(あり)

午前10時から32分総会して、13分休憩して、30分間説明会をしました。

説明会では、振動シミュレーションシステム(DSS)、テスト&ソリューションシステム(TSS)、メジャリングシステム(MES)、それぞれの担当役員さんが、自分の言葉で事業の最新情報を語ってくれました。

この演出は、通常の説明会では見られないもので、とても印象に残りました。

しかし質疑の時間がありませんでした。

おそらく11時30分から取締役会があるからではないかと思いました。

もっといろいろ担当役員の方々から学びたかったです。

10時総会スタート、10時32分終了。

10時45分説明会スタート、11時15分終了。

 

8. 株主総会総合評価

総合得点12点です。

12点以上は、5段階評価で最高位のA獲得です。

かつて商社を、扱う商材の種類の多さから、「ラーメンからロケットまで」と形容することがありました。

今回、様々な角度からIMVを取材させてもらい、対象物が余りに多様なことから、このフレーズを思い出しました

IMVは「食料品、スマホ、家電、自動車、鉄道、人工衛星ロケット、さらには、地震に象徴される地球そのものまでの振動」と向き合い、課題解決し社会に貢献しようとしているのです。

世界の振動を制御し、世の中に安心と安全をもたらすことができるでしょうか。

IMVの挑戦を見守ります。

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