2024.1.27(SAT)『リスアニ!LIVE2024』SATURDAY STAGE@日本武道館

今年も日本武道館にて『リスアニ!LIVE 2024』が、2024年1月27日(土)~28日(日)の2日間にわたり開催された。新年のアニソンライブ始めという人も多いだろう、年始恒例の『リスアニ!LIVE』も今年で14回目。初日のSATURDAY STAGEには全9組のアーティストたちが集結し、それぞれのステージを繰り広げた。今回は“UPCOMMING ARTIST”と題し、リスアニ!編集部が注目する新人アニソンアーティストたちが多くピックアップされていたのもトピックだろう。そんな今後、急上昇間違いなしの若手に加えて、人気のコンテンツや、中堅~ベテランまで手堅いメンバーが勢揃いしたステージの模様をお届けしよう。

一部のアニソンフリークの間において「一年の計は『リスアニ!LIVE』にあり」と言われているとか、いないとか。そんな冗談はさておき、例年アニソン関連の大きなライブイベントのトップバッターを務めているのが、この『リスアニ!LIVE』なワケであるが、今年も会場はもちろん日本武道館で2DAY開催と相成った。今回レポートするSATURDAY STAGEには、アイドルマスターシャイニーカラーズより「イルミネーションスターズ」と「コメティック」、内田雄馬UniteUp!・SennaRin・asmi・Myuk・ASCAFictionJunctionJUNNAの計9組のアーティストが出演し、約4時間半にも渡る新年会を繰り広げた。またMCも恒例の冨田明宏氏が務め、ライブ直後の生の声が聞けるトークセッションも『リスアニ!LIVE』ならではのお楽しみだ。

世間の情勢的にも、声出し解禁のライブが多くなってきた中、例に漏れず『リスアニ!LIVE』も、なんと4年ぶりに発声OKということで、冒頭の冨田氏の前説でも「よく耐えたよな!偉いよ!」のひと言に場内は大きな歓声に包まれた。さすがのMCで会場も十分に暖まった所で、この日のトップバッターであるアイドルマスターシャイニーカラーズが登場。まずはイルミネーションスターズから、風野灯織役の近藤玲奈と、八宮めぐる役の峯田茉優が出演した。5曲目に披露した「BRIGHTEST WHITE」ではピアノイントロのアコースティックアレンジで湧き上がり、負けじとコメティックも「無自覚アプリオリ」で続き、まだ実装されたてホヤホヤのユニットとは思えない圧巻の歌唱力とパフォーマンスを武道館で見せつけてくれた。また都田はるき役の小澤麗那の誕生日が前日の1月26日、近藤が翌日の1月28日という事で、他メンバーらと一緒にお祝いするというひと幕もあり、力強さと優しさにあふれたステージを届けてくれた。

続いては内田雄馬がTVアニメ『灼熱カバディ』EDテーマの「Comin' Back」で登場すると、ステージを縦横無尽に飛んで駆けての大立ち回り。2曲披露し「最高〜!『リスアニ!LIVE』初参戦です!」と叫び「2024年、最高の年にしたくないですか!? みんなで声出して音楽やってくれますか?」とその勢いは止まらない。また「武道館といえば、神保町神保町といえば……そう、カレー!」と大好きなカレーをライブ前に食べてきた話で会場の笑いを誘い、ライブ後のトークパートでもMCの冨田氏に「帰りにみんなもカレー食べよう!ってアレ何?」と突っ込まれる場面も。しかし、彼が語っていたように本当に内田雄馬という男には“主人公感”があり、言葉をそのまま借りれば“武道館の似合う男”としての貫禄すら感じるほどだ。実際に今年の4月には2度目の武道館ワンマンライブとなる『YUMA UCHIDA 5th Anniversary LIVE 「Y」』の開催も控えており、勝手知ったるステージゆえに、パフォーマンス中とは一変、トーク中はリラックスした表情だったのも納得である。

asmi

asmi

ここからはUPCOMMING ARTISTが3組続けて登場。まずはUniteUp!が「ELEVEN」「Unite up!」を披露すると、続いてSennaRinは「最果て」「NOD」「melt」の3曲を披露。最後にasmiがTVアニメ『うる星やつら』第2クールOPテーマの「アイワナムチュー feat. asmi, すりぃMAISONdes)」や、TikTokで脅威の34億回再生で大バズり中の「PAKU」、そしてTVアニメ『ポケットモンスター』のOPテーマを務める「ドキメキダイアリー」を披露した。
年始のライブということで「昨年、2023年はどんな1年でしたか?」の話題を各アーティストに投げかけていたが、UniteUp!はアニメが放送され、初となるEPのリリースを2月に控えているということもあって「逃さずチェックしてください!」とフレッシュなコメントを残していた。

SennaRin

SennaRin

また澤野弘之プロデュースのSennaRinは「普段、澤野さんとどんな会話するの?」という話題に「最近はスマホのアプリで録音した音声を逆再生して、何て言ってるか当てるゲームが流行ってます」とお茶目な一面をカミングアウト。asmiは様々なコンテンツへタイアップで起用された1年を振り返り「こんなにちっちゃい子とか、ライブに来てくれるようになって、ホンマに嬉しいです」と語り、「今日も色んな所から集まってくれてると思うけど、また皆に会いたいし、今度は私が会いに行くので、6月に9都市を回るツアーをやります。ぜひ遊びに来てください!」と再会を期した。

Myuk

Myuk

ここからはライブも後半戦に突入。リスアニ!LIVEといえば、豪華生バンドも特色のひとつだが、Myukはストリングス隊とピアノとアコースティックギターの編成で、しっとりとその世界観を歌い上げる。「ひとりじゃないよ」「魔法」「Gift」とタイアップ楽曲を続けて披露し、1月24日に発売されたばかりの1stアルバム『Arcana』より「愛の唄」「Arcana」を披露した。Eve、おかもとえみ、Guiano、tofubeatsなど錚々たるアーティストから提供を受ける彼女だが、特に5曲目に披露したアルバムの表題曲にもなっている「Arcana」は自身がルーツに持つ民謡のエッセンスも加え、こぶしの効かせたそのミスティックな歌声を八角形に響かせた。

ここでリスアニ!バンドのメンバーの紹介も挟み、ASCAが姿を現す。TVアニメ『豚のレバーは加熱しろ』OPテーマの「私が笑う理由は」から「Stellar」「リンネ」と続けて、「4年ぶりの声出しなんですよ!皆さんの声を聞かないと帰れないんですよ!!叫んで!」と「Howling」そして「RESISTER」で完璧に空気を入れ替え、会場は再び熱気に包まれる。「親しみを込めて、あえてこう呼ばせてください!ASCA社長〜!」と呼び込まれたトークパートでは「幸せホルモンがドバドバ出てます!」と、やはり全てのアーティストにとって、日本武道館というステージは特別であることを語ってくれた。

ライブも残すはあと2組ということで、登場したのは梶浦由記が率いるFictionJunctionKAORIKEIKOYURIKO KAIDAJoelleに加え、3曲目に披露したTVアニメ『鬼滅の刃竈門炭治郎立志編』EDテーマ「from the edge」ではLiSAも登場し、大いに会場を沸かせた。また同曲は4年前にリリースされた楽曲だが、ライブパフォーマンス自体が今回初ということもあり、その感慨もひとしおである。それでなくても「stone cold」の熱気は間違いなくこの日一番だったし、歌姫たちのカルテットと梶浦サウンドが生で織りなす重厚感は一見どころか百見の価値ありだ。惜しむらくはそんなにお目見えする機会がないことだが、ライブ後のトークではそれこそ先月の12月8日〜9日にここ日本武道館で行われたばかりの『Kaji Fes.2023』の話題で持ちきりだった。2日間で60曲、初日が3時間で2日目が4時間というボリュームですら、全楽曲は披露できなかったというから、やはり梶浦由記という大作曲家には驚かされる。しかしそんな彼女を以ってしても「ライブはご褒美なんです。私は作曲家だから、皆さんの生のリアクションを聞く機会は多くはないので、こうやってステージに立って、みなさんの声を聞けるのが嬉しい」と言うのだから、こうして会場へ足を運ぶだけの我々としても、救われる想いではなかろうか。

いよいよライブも終盤を迎え、ラストを飾るのはJUNNAだ。まずはTVアニメ『魔法使いの嫁 SEASON2』第2クールOPの「眠らされたリネージュ」で、高らかな彼女の歌声と妖艶なアリプロサウンドが生み出すパワフルさで武道館JUNNA色に塗り替えていく。そして同作1期のOPにして1stシングルの「Here」で続くセットリストも憎い。2曲続けた所で「今日は私がトリなので、冨田さんとお喋り出来ないのが残念。」とセルフ告知タイムを挟み「Unite」「コノユビトマレ」と披露。「みんな、この曲が聴きたかったんだろ!?」と「いけないボーダーライン」のイントロが聞こえてくると「おっしゃる通りでござい」と、ただただひれ伏すのみ。全力ダッシュで走り抜けても、サビの飛びポ(いわゆるジャンプすると楽しいポイント)も、最後の転調でさえも、全く息が上がらない、歌声がブレない、彼女の肺活量と体力と歌唱力に改めて驚かされる圧巻のパフォーマンスを打ちひしがれて、演者も観客もまさに全員完全燃焼の4時間半のステージは幕を閉じた。

冒頭に「一年の計は『リスアニ!LIVE』にあり」と冗談半分で記したが、半分は本意気であるのも事実。今年を占う意味でも、どんなアーティストがピックアップされているのか、もちろん目当てのアーティストがあってこそ、この手のライブに参加するわけなのだが、良い意味でそこまで詳しくなかったアーティストの意外なパフォーマンスを知れるという側面があるのも、また醍醐味だ。今年は例年に比べて、リスアニ!編集部のレコメンドアーティストが多かったのが、個人的には非常に良かった。ライブ後に冨田氏がトークで深掘りしてくれるフォーマットもシナジーを発揮しているし、特に『リスアニ!LIVE』が率先して担うべき役割でもある必然性もある。開演前の前説時に「全部参加している人!」で挙手した人数が数名ではなく、数千分の数十程度だったのは、正直分母として多い! と驚いてしまった。それだけ『リスアニ!LIVE』はアニソン好きに認知されて、愛されているし、きっとファンもこれからも大切にするイベントなのだと思った。

取材・文:前田勇介

●“リスアニ!LIVE 2024”のセットリストSpotify 公式プレイリスト「リスアニ!LIVE 2024」にて公開中!※欄外のセットリストにURL掲載。
 

FictionJunction