実は小学校からのバレーボール経験者である平野ノラ
実は小学校からのバレーボール経験者である平野ノラ

バブリーキャラで一世を風靡したお笑い芸人・平野ノラ。実は小学3年から高校卒業までバレーボール選手として活躍し、小学生時代には全国制覇。高校でも関東大会2位という輝かしい実績を誇るバレーボール経験者でもある。そんな平野さんは『ハイキュー!!』のマタニティーフォトに挑戦するなど、大の『ハイキュー!!』好きとしても知られている。『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』(2月16日公開)の公開を記念して、原作コミックスの魅力や、劇場版への期待についてうかがう。

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こんなバレーボール漫画、見たことなかった!

――平野さんが『ハイキュー!!』と出会ったきっかけを教えてください。

平野 『ハイキュー!!』を知ったのは、漫画ではなくアニメが先だったんです。深夜にテレビをつけたら偶然アニメが放送されていて、「こんな面白い作品があったなんて!」と感動して。それから最初から一気に全話を見返すほどハマって、原作も読みました。

キャラクターの設定も面白いし、各キャラがバレーボールに携わっている背景もしっかり作り込まれていて、こんな素敵なバレーボール漫画、今まで読んだことなかった。だから『ハイキュー!!』を読んでからバレーボールを始めていれば、もっと楽しんでやれたかも、と思ったくらいです(笑)。『ハイキュー!!』を読んでから楽しくバレーボールを始めた人が羨ましいです、本当に。

――ということは、現役時代はやっぱり大変でした?

平野 大変でしたね......。私がいた小学校のクラブチームが全国的にも有名な強豪だったのもあって、毎日の練習と遠征や合宿などで鍛えられました。中学、高校とバレーボールで進学し、キャプテンも務めました。

当時は辛かったですが、今となってはバレーボールで培った精神力の強さがあったから芸人にもなれたと思います。頑張り続けられた事は今でも自信になっていますから、感謝しかないです。

――お気に入りのキャラクターは誰ですか?

平野 いっぱいいますが、毎回グッときちゃうのは忠。山口忠(烏野高校)ですね。小さい頃はいじめられっ子で、ツッキー(月島蛍)と出会ってバレーボールを始めて。

それで、最初の練習試合では出番がなかったからジャンプフローターサーブを磨き始める場面とか、忠がインターハイ予選の和久谷南戦のサーブで逃げちゃった後に「もう一回チャンスを下さい」って烏養コーチに直訴する場面とか、春高予選の青城戦で5本連続でポイントするシーンとか。失敗しながらも少しずつ成長していく彼の姿に、思わずじんと来ちゃいます。ちょっと親目線でも見ちゃって泣けます。

合宿でツッキーに「プライド以外に何が要るんだ!!」って詰め寄った後、そう言いながらもまだ弱気でいる部分もあったりして、試合に出たいオーラ満々で烏養コーチにうるさがられるシーンも好きです。猛練習したからこそ、その過程が自信に繋がっているのがわかるし。

バレーボール経験者から見ても、ピンチサーバーって本当に大変なポジションなんですよ。「自分がミスしたら負け」みたいな極限状態がいつも出番なので、プレッシャーも凄いから絶対ビビっちゃう。本当にメンタルもフィジカルも、よく成長したなあって思いますね。あと好物が「ふにゃふにゃになったフライドポテト」っていうのも、忠らしくて好きです(笑)。

この日の衣装はお気に入りキャラ・山口の「ジャンプフローターサーブをイメージした服」とのこと。不規則なラインがそれっぽい...かも?
この日の衣装はお気に入りキャラ・山口の「ジャンプフローターサーブをイメージした服」とのこと。不規則なラインがそれっぽい...かも?

――作中で好きなシーンはどこでしょう?

平野 インターハイ予選で烏野が常波に勝った後のモノローグで、「これが物語(フィクション)だとしたら 全国へ行く奴らが主役で 俺達は脇役(エキストラ)みたいな感じだろうか それでも 俺達もやったよ バレーボール やってたよ」というシーンが一番好きですね。バレーボール経験者もそうでない人も、多くの人に刺さるシーンだと思います。

漫画で描かれていない部分でひっそり敗退するような人たちもいて、でもみんなバレーボールをやってるんです。勝てなかったけど、3年間バレーボールをやってきた自負がある。そういう部分をちゃんと描いて映し出したところに、作者の古舘春一先生の深いバレーボール愛を感じました。

ハイキュー!!』に私は出てきませんし、才能のあるキャラクターと被る部分もないんですけど、実際にバレーボールを「やってたよ」っていう実感はあるし、このシーンを見て「自分もこういうところにいた」って思えた。だから、『ハイキュー!!』は私のストーリーでもあるんです。作中には他にも印象的な場面はいっぱいありますが、やっぱりここが一番好きです。

バレーボール経験者はもちろん、未経験者の心にも刺さる名シーン。勝者だけではなく、敗者にもスポットを当てた『ハイキュー!!』らしさに溢れた一幕(ジャンプコミックス5巻より)©古舘春一/集英社
バレーボール経験者はもちろん、未経験者の心にも刺さる名シーン。勝者だけではなく、敗者にもスポットを当てた『ハイキュー!!』らしさに溢れた一幕(ジャンプコミックス5巻より)©古舘春一/集英社

試合だと、稲荷崎高校戦で、宮兄弟(侑/治)が烏野のマッチポイントで双子速攻のバックアタックを日向と影山にブロックされるシーンが好きですね。「速攻が無敵じゃない」ということを知っているからこそ、双子速攻を日向と影山がブロックできたと思うんです。変人速攻を止められた2人が双子速攻を止めるという展開が激アツで。

また稲荷崎が負けた後の第一声も「燥(はしゃ)ぎすぎたなあ 侑(ツム)」「...せやな 治(サム)」って。そんなセリフ、なかなか言えないですよ。

好きなシーンについて語る平野ノラ。思い入れの深さに、思わず涙ぐんでしまう一幕も
好きなシーンについて語る平野ノラ。思い入れの深さに、思わず涙ぐんでしまう一幕も

――以前、ブログなどで作中のセリフを引用されていましたが、お気に入りのセリフはありますか?

平野 自分もリベロだったので、西谷(夕/烏野高校)のセリフは結構好きですね。角川学園戦の「空中戦だけがバレーボールじゃないぜ 翔陽」とか、伊達工戦の「背中は俺が護ってやるぜ」とか。メチャクチャ男前でカッコいいですよね。白鳥沢戦の「――3本下さい 必ず慣れてみせる」とか、私だったらとても言えないです(笑)。あんな選手が実際にいたら、みんな惚れちゃいますよ。

――作中のエピソードで、ご自身のバレー経験と重なる部分はありますか?

平野 私個人というかチームの話なんですが、稲荷崎戦で日向がゆっくり高いトスをするシーンは、似たようなシチュエーションがあったんです。本当に忘れがちな、高くて、取りやすくて優しいボールを上げる。私も実際に味方の選手にそういうチャンスボールを上げて、場を整えたこともありますし、チームメイトにそういう指示をしたこともあります。本当にただのファーストタッチなんですけど、「いいなあ...!」って思いました。味方にも教えられるという、チームスポーツのいい部分ですよね。

入部当初は〝速攻″以外に取り柄がなかった日向。そんな彼が全国の舞台で見せた、リズムを変えるゆっくり高いパス。日向の成長が深く感じられるシーン(ジャンプコミックス33巻より)©古舘春一/集英社
入部当初は〝速攻″以外に取り柄がなかった日向。そんな彼が全国の舞台で見せた、リズムを変えるゆっくり高いパス。日向の成長が深く感じられるシーン(ジャンプコミックス33巻より)©古舘春一/集英社

様々な形でバレーボールに恩返しをしたい

――以前、バレーボールをおなかに描いたマタニティーフォトに挑戦されていましたが、改めてその経緯を教えていただきたいのと、手ごたえはいかがでしたか?

平野 まずマタニティーフォトをやりたいと思って色々調べていたら、お腹にバスケットボールを描かれている方を見つけたんです。だったらバレーボールでもできそうだなと思って。他にやっている方もいなさそうだし、お世話になったバレーボールに恩返しというか、貢献したい気持ちでしたね。

ボールのペイントは世界2位みたいな人にお願いして描いてもらったんですが、半分以上の人が本当にボールを持っているように見えたらしいです(笑)。
あとは狩野舞子ちゃんにレシーブしてもらったりもして楽しかったですし、いい経験になりました。ああいうマタニティーフォトがもっと流行ればいいなと思いますね。

「平野ノラのOKバブリー!ブログ」(https://ameblo.jp/hiranonora/entry-12650595623.html )より
「平野ノラのOKバブリー!ブログ」(https://ameblo.jp/hiranonora/entry-12650595623.html )より

――ちなみに平野さんは2022年に日本バレーボール協会の評議員に選任されています。具体的にどのような活動をされているのでしょうか?

平野 バレーボール協会がきちんと運営されているかどうかを、外部の目でチェックするような立場ですね。これくらいの予算でこういうイベントをやりましたとか、川合(俊一)会長の給料も、我々評議員がしっかりチェックしています(笑)。

でも川合会長になられてから、バレーボール人気も上がってきていて、協会の運営はずっと右肩上がりなんですよ。川合さんのお人柄もありますが、とにかく川合さんは芸能界最強運の持ち主なので、その影響もあるんじゃないかな?(笑)

――さて、『ハイキュー!!』に話を戻すと、TVアニメSeason4の続きが描かれる『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』が2月16日に公開予定です。平野さんから見た、映画の見所を教えてください。

平野 ついに時が来たって感じですね! 何が面白いって、まず監督の関係性。それとキャラ同士の関係も熱いですよね。日向と研磨だけじゃなくて、ツッキーと黒尾とか、田中と山本とか。いろんな因縁があって、それがどう描かれるのか。実力的にはもうどっちが勝ってもおかしくない試合ですし。私も絶対、映画館に観に行きますし、これを観ずには『ハイキュー!!』は語れないと思います。まばたき禁止ですね。

その一方で、終わってほしくないので始まってほしくない気持ちもありますが(笑)、もう楽しみで仕方ないです!

――最後に『ハイキュー!!』好きの読者に向けて、一言メッセージをお願いします。

平野 私も、皆さんも大好きなアニメ『ハイキュー!!』の新作が、映画館で観られます。2月16日の公開日までただ待つだけじゃなくて、単行本を読み返して、映画に繋がるアニメ本編も観返してほしいですね。私も配信で1話から観返しましたし(笑)。何回観ても面白いですし、2回目、3回目と何度も観ることで、毎回見えるものも変わってくると思います。何度も観てコンディションを整えつつ、是非万全の状態で2月16日を迎えて、最高のテンションで映画館に行きましょう!

花形選手も好きだけど、自身がプレイヤーだったことから縁の下の力持ちな選手にも注目してしまうという平野ノラ
花形選手も好きだけど、自身がプレイヤーだったことから縁の下の力持ちな選手にも注目してしまうという平野ノラ

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●平野ノラ
1978年生まれ、東京都出身。お笑いタレント。一児の母としてテレビやラジオなど幅広く活躍中。趣味はバレーボール、絵画。現在、日本バレーボール協会評議員。断捨離をライフワークとして実践、自身の体験を元に人生を輝かせる片付け術について講演会も行う。著書『部屋を片づけたら人生のミラーボールが輝き出した』(KADOKAWA刊)が好評発売中 

YouTube公式チャンネル https://www.youtube.com/@noranoranora1988 
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●『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦
2月16日(金)全国の映画館にて公開
原作:「ハイキュー!!」古舘春一(集英社 ジャンプ コミックス刊)
監督・脚本:満仲勧
キャラクターデザイン:岸田隆宏
総作画監督:千葉崇洋
アニメーション制作:Production I.G
主題歌:SPYAIR「オレンジ」(ソニーミュージックレーベルズ)
https://haikyu.jp/movie/

取材・文/石綿 寛(樹想社) 撮影/山添 太

実は小学校からのバレーボール経験者である平野ノラ