村上が打撃の復調とともに目指しているのが守備力の向上だ(C)TsutomuBEPPU

 ヤクルト村上宗隆が、キャンプインから精力的に動いている。2月2日に24歳になったばかりの若き主砲は、逆襲のシーズンへ向けて照準を合わせていく。

 昨季は、村上にとって満足のいかない数字が並んだ。打撃面では本塁打こそ31本を放ったものの、打率は.256、打点も84と、3年連続100打点にも届かなかった。

【関連記事】西川遥輝など戦力外3選手を獲得したヤクルト 高木豊氏が「他球団と比べても1番の補強」と語る理由とは

 また、両リーグの野手部門で最多となる22失策を記録。守備面の強化を図るため、1月には広島の名手・菊池涼介の自主トレにも参加するなど、今季は三塁守備の向上に意欲を見せている。

 森岡良介内野守備走塁コーチから「守備でもリズムがある」と教えを受け、キャンプ初日から2日連続で個別の守備練習に取り組んだ。

 村上本人は「下手くそなので、しっかりボールを捕って投げるという反復練習をしていければ」と、サイズの小さいグラブを手にして、球をしっかり芯で補ることを念頭に練習に臨んでいる。

 数々の打撃タイトルを総なめにしてきた村上だが、まだ手にしたことがないのが、ゴールデン・グラブ賞だ。24歳のシーズンで初めて獲得することができるだろうか。2度目の「三冠王」獲得と共に手にしておきたい勲章だ。

 村上はキャンプ2日目を終えたあと「天気もいいですし、しっかり身体を動かせる。すごく充実しています」と話し、24歳で迎えるシーズンを「いい1年にしたいなと思いますし、しっかり活躍できるように頑張りたい」と誓った。

 そんな村上のことを、髙津臣吾監督は「負けず嫌いなのは間違いない」と話していたことがある。打撃で思うような成績を残せなかっただけでなく、守備で痛いミスが目立った昨季の悔しさを晴らしたいという思いが、ひしひしと感じられる。

 指揮官は「バッティングが注目されるポジションですけど、そこで守れて打って、チームを引っ張っていく4番バッターで、本当の打線の中心バッター、大黒柱でいてほしい」と、あらためて期待を寄せている。

 村上にとって昨年は激動のシーズンだった。3月のWBC侍ジャパンの主力として世界一奪還に貢献し、中でも、メキシコとの準決勝でサヨナラ2点打を放ったシーンは、熱い戦いの記憶として刻まれている。

 1次ラウンドでは「4番」を任されながら打率.143と苦しみ、イタリアとの準々決勝から「5番」に降格。しかし、それ以降は本来の勝負強さを取り戻した。

 今年は3月6日と7日に京セラドーム大阪で欧州代表との強化試合が行われる。最終候補メンバーに入った村上は、再び侍ジャパンの「4番」としてプレーする可能性がある。

 今秋に開催される「プレミア12」をにらんでの大事な戦いとなるが、世界を相手に打撃面だけでなく守備面でレベルアップした姿を見せることが、早ければ2025年オフにも可能性のあるメジャー挑戦への確かな一歩にもなるはずだ。

[文:別府勉]

2度目の「三冠王」だけではない 村上宗隆が24歳で手にしておきたい勲章は?逆襲のシーズンへ照準【ヤクルトキャンプ】