バイオハザード」シリーズなどと共に2000年代以降のゾンビ映画ブームを築きあげた『28日後…』(02)。同作でメガホンをとったダニー・ボイル監督と脚本家のアレックスガーランドが、現在その続編の準備を着々と進めていることが明らかになった。「The Hollywood Reporter」など全米複数メディアが報じている。

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目を覚ましたらロンドンの街がゴーストタウンと化していたという衝撃的なオープニングから幕を開けた『28日後…』は、人間を凶暴化させるウイルスによって文明が崩壊してから28日が経過した世界を舞台に、昏睡状態から目を覚ました主人公のジムが生き残った人々と共に感染者から逃れるべくサバイバルを繰り広げる物語。製作費わずか800万ドルの低予算映画ながら、全世界興収8000万ドル以上を記録する成功を収めた。

その成功を受けて2007年にはボイルとガーランドが製作総指揮に回り、ファン・カルロス・フレスナディージョ監督のメガホンで続編の『28週後…』(07)が製作。その後ボイル監督は、さらなる続編『28 Months Later』の構想を固めていたが実現には至らなかった。そして2020年、新型コロナウイルスパンデミック初期にロックダウンしたロンドンの街が第1作の冒頭シーンと酷似していると再注目されると、シリーズ20周年を迎えた2022年にボイル監督は現地メディアのインタビューで続編企画の再始動に強い意欲をのぞかせていた。

今回の報道によれば、新たに製作される続編は3部作となる見込みで、『28 Months Later』ではなく『28 Years Later』という新たなアイデアのもと、1本あたりおよそ6000万ドル〜7500万ドルの予算で製作されるとのこと。ストーリーなどの詳細はまだ明らかになっていない。配給権はワーナー・ブラザースソニー・ピクチャーズが争奪戦を繰り広げた結果、後者が獲得したと伝えられている。

3部作の1作目では『28日後…』と同様、ボイル監督がメガホンをとりガーランドが脚本を担当。2作目もガーランドが脚本を手掛けるが、監督はボイル監督以外が務める予定。また、『28日後…』で主演を務めて一躍その名を世に知らしめたキリアン・マーフィは製作総指揮として参加。ジム役に復帰するかどうかはまだ不明だが、その可能性が高いとも言われている。

『28日後…』の成功のあと、ボイル監督はフォックスサーチライト(現在のサーチライト・ピクチャーズ)と再タッグを組んだ『スラムドッグ$ミリオネア』(08)でアカデミー賞を受賞。ガーランドは『エクス・マキナ』(15)で監督デビューを果たし、『MEN 同じ顔の男たち』(22)など話題作を次々と生みだす。そしてマーフィはクリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』(3月29日公開)で第96回アカデミー賞にノミネートされるなど大絶賛を獲得。

ゾンビ映画の常識に大きな風穴を開けた傑作から20年以上の歳月が流れ、大出世を遂げた3人が再びチームを組むとなれば、期待せずにはいられない。いったいどんな映画が生まれるのか、続報を楽しみに待とう!

文/久保田 和馬

ゾンビ映画の傑作『28日後…』の続編3部作が動きだす