この記事をまとめると
■2024年中の生産開始に向けてその開発が最終段階を迎えているアストンマーティン・ヴァルハラ
アストンマーティンのミッドシップハイパースポーツ第3弾
2024年中の生産開始に向けて、アストンマーティン・ヴァルハラの開発が最終段階を迎えている。
昨年末にはアストンマーティン自身が、現在のF1マシンを彷彿させるカラーリングを想像させるプロトタイプを用いて、サーキットで走行テストを行う画像を公開。それはヴァルハラをオーダーしたカスタマーにとっても、またそのデビューを心待ちにするハイパーカーのファンにとっても、正式な発表が近づきつつあることを予感させる貴重な画像だった。
「ヴァルキリー」、「ヴァルキリーAMR Pro」に続くミッドシップハイパースポーツの第3弾となるヴァルハラは、現代のライバル車がそうであるように、やはりカーボンファイバーを積極的に活用し、徹底的な軽量化を実現したモデルだ。開発時の目標乾燥重量は1550kg。このクラスのライバルと比較しても、それはほかに類を見ない数字だ。
ボディ構造はもちろん専用設計のカーボンファイバー製タブをメインとするもの。F1マシンスタイルのプッシュロッドフロントサスペンションに加えて、インボードのスプリングとダンパーがバネ下重量を削減する。また、それに組み合わされるアクティブダンパーは、サーキットから公道まで、常に満足できるセットアップを実現する。
カーボンファイバー製タブの剛性は、パワーステアリングの正確さやレスポンスの高さにも大きく影響する。ヴァルハラのオーナーは、おそらくはそのステアリングが生み出すリニアな動きに感動するに違いないが、それはこのタブ、そしてサスペンションの精度にこそ理由があるのだ。
ブレーキは、ブレーキバイワイヤーテクノロジーを採用した高性能なカーボンセラミックマトリックスブレーキ。タイヤはフロントが20インチ、リヤが21インチ径となり、ミシュランが専用設計したパイロットスポーツカップタイヤが装着されることになっている。
CO2エミッションに優れるこれからの時代を生きるハイパーカー
もう一度ボディデザインに話を戻そう。アストンマーティンのデザインチームが、ヴァルキリーのようなアグレッシブなディテールを採用することなくヴァルハラのスタイリングを完成させていることは画像でも確認できるところ。
フロントエンドのグリルはアストンマーティンの伝統的な手法をハイパースポーツ流に再解釈したもので、ほかにはフロント、リヤ、サイドの造形や、ルーフ上のエアインテークなどがアイコンとして視線を集める。
エグゾーストシステムが上方排気であることや、やはりカーボンファイバーで成型されるディフューザーも、リヤビューでは大きな特徴といえるディテールだ。
ミッドに搭載されるエンジンは、当初はV型6気筒も計画されていたようだが、さまざまな検討の結果、結局メルセデスAMGから供給される4リッターのV型8気筒ツインターボに、400Vアーキテクチャーによる2基のエレクトリックモーターを組み合わせたPHEVとなった。
エンジン自体は812馬力の最高出力を誇り、同時にレスポンス性にも優れたフラットプレーン型(180度プレーン型)クランクシャフトを採用したもの。また、2基のエレクトリックモーターは、前後に搭載され合計で200馬力のエクストラパワーを生み出す。システム全体の最高出力は1012馬力だ。
組み合わせられるミッションは完全新開発の8速C-DCT。リバースはエレクトリックモーターを利用するためギヤが不要となり、またエンジンとリヤのエレクトリックモーターはDCT内で異なるギヤを選択できるため、その最大トルクは1000Nmを得ることが可能になっている。
PHEVのヴァルハラでは、もちろんゼロエミッション走行もできる。実際にそれが可能な距離はわずかに15km、最高速は130km/hまでとなるが、WLTPによる計測値では、CO2エミッションは200g/km未満を予測。その一方で2.5秒の0-100km/h加速と350km/hの最高速を実現するのだから、これは間違いなくこれからの時代を生きるハイパーカーと呼ぶにふさわしい一台だ。
ちなみにこのヴァルハラは999台が限定生産される予定となっている。
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