堀江貴文氏による格安SIMブランド「HORIE MOBILE」のWi-Fiルータープランとして2023年10月にサービスが開始された「ホリエのWiFi」。4000円強の月額料金で「実質使い放題」をうたっているが、はたして利用するメリットはあるのだろうか? 

◆約2万円のルーター購入は必須

「ホリエのWiFi」は、月額4180円(税込・以下同)で月300GBのデータ通信が利用可能。1日あたりの上限も10GBと余裕がある。YouTube動画を1時間視聴した場合の通信量が1GB程度、Zoom会議の場合は1時間あたり0.6〜1GB程度なので、かなりヘビーな使い方をしても充分な容量といえるだろう。

ただし、通信プランのみを契約することはできず、2万1120円のモバイルルーター本体を契約時に購入する必要がある。毎月800円の割引が適用され、24か月で「実質無料」になることがうたわれているものの、その前に解約するときは、残りの端末代金は当然自己負担ということになる。短期間で解約する可能性がある場合には注意が必要だ。

◆回線は選択不可、海外利用は別料金

回線は、docomo、au、SoftBankの3キャリアから最適な回線が自動で選択される「クラウドSIM」が採用されている。なお、クラウドSIMに共通していえることだが、接続先をユーザー側で自由に回線を選ぶことはできない。

また、公式サイトでは「海外でもそのまま使える」ことを強調しているが、あくまでも設定の切り替え不要で利用できるという意味であり、通信には国ごとに定められた料金が別途必要になる。1GBあたりの料金は、アメリカ本土やイタリアフランスイギリスなどの場合で900円となっている。

◆「楽天モバイルテザリング」と比べると?

「わざわざWi-Fiサービスを契約しなくても、スマホからテザリングすればいいのでは?」と思う人もいるかもしれない。たしかにそのほうがルーターを持ち歩かなくていいし、契約が1つで済むので管理も楽だ。ただし、スマホ向けの大容量もしくは無制限プランの選択肢は実はそれほど多くはない。「100GB以上利用できるプラン」を基準に探すと、楽天モバイルの「最強プラン」(無制限・最大月3278円)、docomoのオンライン専用プラン「ahamo大盛り」(100GB・月4950円)、docomoの「eximo」(無制限・最大7315円)あたりになるが、楽天モバイル以外はいずれも割高感がある。

そうなると、通信容量や料金でホリエのWiFiと天秤にかけることができるのは、楽天モバイルの「最強プラン」ということになるだろう。容量無制限で最大月額3278円、段階制のプランなので、あまり使わなかった月には料金が抑えられる点も利点だ。

楽天モバイルがキャリアとしてのサービスを開始した当初は「つながらない」との批判も多かったが、現在は利用可能なエリアが広がり、今春にはプラチナバンドとよばれる、よりつながりやすい周波数帯のサービスも開始される予定になっている。メイン回線を乗り換えることに抵抗がなければ、「スマホ回線として楽天モバイルを契約し、PCなどの接続はテザリングを使う」選択のほうがコスパはよい。

ホリエモンの熱心なファンであれば…

一方で、ホリエのWiFiの場合、音声配信サービスの「voicy」および「ZATSUDAN」の視聴や、テキストメディア「デイリーホリエニュース配信」の記事といったコンテンツの利用権が特典としてついてくる。voicyの「ホリエモンチャンネル」は月額1300円、ZATSUDANの利用料金は1500円なので、これだけでも2800円相当になる。さらに、堀江氏がプロデュースするパン店「小麦の奴隷」のカレーパンが毎月1個無料で贈呈される特典もついている。これらをそれぞれ別口で登録しているようなコアなユーザーであれば、特典がフル活用できるわけだから、お得感は一気に逆転する。

結論としては、ホリエモンのファンは「一考の余地がある」といったところだろうか。

<TEXT/酒井麻里子>

【酒井麻里子】
スマホやPC、ガジェットといったデジタルアイテムや、ビジネスに役立つアプリ、日用品などに関する記事を執筆

「ホリエのWiFi」