「日本一挑戦するベンチャー型町工場」を掲げ、精密板金加工業を営む株式会社タシロ(神奈川県平塚市、代表取締役社長 田城功揮、以下タシロ)が、期初である2024年2月1日に経営・デザイン方針発表会を開催しました。


新商品のカプセルトイマシンを実演する田城代表

町工場経営者や地域の事業者など約30名を招いた今回の発表会。地域住民や多様な事業者との「共創」を軸とする新たなビジョン・ミッションのほか、新ロゴやデザイン方針の発表、また新商品であるステンレス製「カプセルトイマシン」の体験会を実施しました。コラボレーションを大切にするオープンな町工場として、新たな一歩を踏み出す1日となりました。


ミッションとビジョンの発表 「共創」を掲げるベンチャー型町工場

1966年創業のタシロは、「製造業界のコンビニ」を謳うほどのスピード感ある生産体制が強みです。金属の切断・切削・曲げ・磨き・溶接・組立のすべてを社内で一貫して行います。指先サイズの小さな機械部品から、数メートルの桟橋のフレームまで、食品・自動車・医療・インフラなど様々な業界向けに製造してきました。

2023年9月に、三代目代表となる田城功揮氏が事業承継。代表は現在31歳、社員も9割は20代という若く活気ある雰囲気の会社です。タシロに入社後はギフトショーグランプリを受賞した3WAYピザ窯の開発等、自社商品の開発事業を推進してきました。

新体制のもとで掲げるミッションは「日本一挑戦するベンチャー型町工場」。日本一と自負できる圧倒的な活動量のもと、業界初の取り組みに挑戦し続けるチャレンジングな姿勢を表しています。


参加者からは積極的に質問が飛び交った

ビジョンは「町工場のイメージをカッコよく! 『共創』により日本の産業を勢いづける存在に」。売上拡大と地域貢献の両軸で成長し、目指すのは年商10億円。今後10年で、神奈川県や湘南を代表するエリアトップ企業として認知されることを目指します。


共創を加速させる「OPEN INNOVATIVE FACTORY」構想

ミッション・ビジョンを実現する拠点として、社員が意見を出し合い、地域にひらかれたクリエイティブな新社屋「OPEN INNOVATIVE FACTORY」を構想しました。着工は10年後を目標とし、産業観光を促進する場となる予定。

この新社屋で様々なコラボレーションが生まれ、新商品が積極的に開発される未来をイメージしており、気軽に「行ってみたい」と思える町工場を目指します。


「OPEN INNOVATIVE FACTORY」をイメージしたイラスト。2023年中小企業ミライ絵日記アワードにて紹介

また「共創」に向けた具体的な取り組みもすでに始まっています。これまで小学生から大学生、起業家まで、幅広い年代に向けオープンファクトリーを開催し、工場見学やワークショップを実施しました。

加えて、藤沢市の「イノベーションスナックみらぼ」では、田城代表が日替わりママとして月に一度イベントに登壇。地域のビジネスマンと意見交換をしています。

「タシロに入社したばかりの頃、取引先の方に『タシロの強みはなんですか?』とよく質問をしていました。その時に『人も含めて高品質』というお話をいただいたことがありました」と代表は話します。

技術はもちろん、働く人のことを魅力に感じてもらい、タシロを訪れたいと思ってほしい。人の成長とともに事業を拡大していきたい。

売上拡大と地域貢献。二軸が相互に作用しながら、自社及び地域のものづくり産業の発展を目指していきます。


さらなる挑戦の姿勢を表現した、コーポレートロゴへリニューアル

この日をもって、タシロはコーポレートロゴをリニューアル*商標登録出願済み。デザインを担当した、株式会社KOZAKIKAKU東京都町田市)の小崎直利代表が登壇し、デザインの方針とロゴの制作過程について発表しました。

デザイナーとのマッチングには、地方独立行政法人神奈川県産業技術総合研究所の「次世代事業創出デザイン支援事業」の枠組みを活用。複数の候補者の中から小崎氏とマッチングしました。


ロゴを印刷したグッズを手に説明する小崎氏

「新しい挑戦をする姿勢を取り入れること、これまでの企業要素の承継、高い汎用性がある。この3点を抑えてロゴの刷新を行いました」と小崎氏。

100案以上の中から選ばれたのは、タシロの頭文字であるTを「」(カギ括弧)で括ったロゴ。カギ括弧には、複数の物事を包括する=「共創」など、計5つの意味が込められています。

旧ロゴからの共通点として、コーポレートカラーである赤を採用し、創業者から一貫して大事にしている「挑戦」の姿勢を表現しました。また、アルファベット表記にしたことで、グローバルに挑戦し、さまざまな会社とコラボレーションしていきたいという思いを表現しています。


コーポレートロゴのカギ括弧には、板金加工・共創・逆転の発想・日本の独自性・右肩上がりの5つの意味が込められている

また、ポイントのひとつとなったのが、高い汎用性です。打ち抜き加工で自社商品にロゴを入れる場合でも、そのデザインが損なわれないロゴにすることを意識しました。オリジナルでフォントも開発し、今後さらに増えていくであろう自社商品に対応できるデザインの土台を整えました。

今後のタシロブランドとしての一貫性を、このロゴとフォントが作り出していくことになります。


板金加工技術と「共創」を体現する新商品 ステンレス製「カプセルトイマシン」

続いての新商品発表では「カプセルトイマシン」のお披露目がありました*意匠登録出願済み。。通常プラスチック製のイメージが強い商品ですが、すべてステンレスで作ることで、板金加工の技術をアピールするものとなっています。


すべてステンレスで製造したことにより100年使用できるサステナブルなカプセルトイマシンに

「共創」を加速させるツールとして機能するこの商品。カプセルの中身には、木材や繊維といった異素材や、食品・伝統工芸のような異業種と、「金属×〇〇」「製造業×〇〇」のような新たなコラボレーションをイメージしています。専用コインを用意することで、価格を限定することなく使用できます。

また、アパレルショップや高級ホテルなどにも馴染むデザインで、これまでカプセルトイマシンを置くことのなかった場所への設置も想定。金属や町工場の存在が日常に馴染むきっかけになることが期待できます。

今後販売やレンタルサービスも予定しています。

デザインを担当したのは、株式会社ナナヨンデザインラボ神奈川県横浜市)の加藤雄也代表。こちらも「次世代事業創出デザイン支援事業」でのマッチングでした。

試作時の図面は40枚にも及んだそうです。製作を担当したスタッフの百田さんは「かなりの枚数ではあったんですけど、普段板金で使っている図面と相違ない形でいただいたので、思った以上に時間は短縮して進めることができました」と話していました。


ナナヨンデザインラボの加藤氏(中央)と、試作時のことを話すスタッフの百田さん。

加藤氏は、「オープンファクトリーという言葉をキーワードに、思考が変革する、ジャンルや境界を越境するような商品にしたいと思いました」と話します。

チャレンジングな仕様であるため、タシロが若い会社でありながら板金加工の技術力があることをアピール可能。また、業界を超えたコラボレーションがしやすいこと、日常に馴染みやすく、今後のBtoCの商品開発の口火を切れることなどから、カプセルトイのかたちに至ったそうです。

説明を聞いた後、マシンの体験会がありました。田城代表や社員のみなさんと言葉を交わしつつ、専用コインを手にマシンをまわす参加者の皆さんは生き生きした表情で、純粋にこのマシンを楽しんでいることが伝わってきました。


参加者の声

最後に、参加者の皆さんからいただいた感想を紹介します。

湘南エリアで活動するコミュニティ運営者

説明会だけでも情熱が伝わる面白い内容だったのですが、コインが手元に配られて実体験できるというサプライズまであったのが、純粋に楽しかったですね。会社の大きなテーマとして、コミュニティや地域への意識を持たれているのがすごく伝わってきました。普段から一緒に、湘南から地域を盛り上げるための活動をしているので、今後それが会社の事業のコアとなっていく過程に関われるのは嬉しいなと思いました。

・町工場プロダクツ*参加企業

町工場が自社単体で経営方針発表をすること自体が、画期的だと思いました。ビジョンを宣言することで、実行しなければいけないという覚悟が生まれる。その姿勢はすごくかっこいいですし、見習いたいと思いました。これまでの町工場は社内でも経営方針を共有することはめずらしく、目の前の仕事に集中する職人集団でした。タシロさんが新しい町工場の道筋を作られて、そこに若い人たちも集まってくるようになったのだなと思いました。

・町工場プロダクツ*参加企業

ロゴやデザインに力を入れるなんて、これまでの町工場ではあり得なかったので、新しい時代がきたんだなと感じました。町工場プロダクツでも、新しい取り組みとしてワークショップを始めようとしています。自分たちの世代になり町工場もだんだんと変わってきているので、今日の発表を聞いて、これからより業界を面白くしていけるように思いました。

*町工場プロダクツ:合同会社メイカーズリンク(代表:栗原稔)が運営する、日本全国の町工場の自社製品開発を支援するコミュニティ。現在全国に100社以上の町工場ネットワークがあり、タシロも参加している。


会の最後に撮影した集合写真では、コーポレートロゴのカギ括弧を手で表現。

登壇者からも参加者からも、高い熱量を感じた今回の発表会。タシロの新たな挑戦が刺激となり、町工場や湘南・神奈川エリアの産業がさらに活気付く予感をさせるイベントとなりました。

今後もタシロは「共創」を軸に、新商品開発や新規事業などに積極的に取り組んでいきます。

<取材執筆:増田早紀>


2月の展示会出展情報

タシロは今後、下記展示会に出展を予定しています。新商品のカプセルトイマシンの体験も用意しますので、ぜひ実際にマシンに触れてみてください。

「東京インターナショナル・ギフト・ショー春2024」

https://www.giftshow.co.jp/tigs/life15/

・会期:2024年2月6 日(火)~ 2月8 日(木)10:00-18:00※最終日は17時まで

・会場:東京ビッグサイト 西2ホール 小間番号:西2SME-83

テクニカルショウヨコハマ2024」

https://www.tech-yokohama.jp

・会期:2024年2月7日(水)~ 2月9日(金)10:00-17:00

・会場:パシフィコ横浜 小間番号G24(タシロブース)、S17(KISTECブース内)

「ひらつか産業FES」

https://hiratuka-cci.or.jp/fes/

・会期:2024年2月23日(金)10:00-15:00

・会場:ひらしん平塚文化芸術ホール【多目的ホール】


会社情報

■社名:株式会社タシロ

■本社所在地:神奈川県平塚市入野284-1(小田原厚木道路 平塚I.C.より5分)

■代表取締役:田城功揮

■事業内容: 精密板金加工、切削加工、自社製品の開発製造販売

■設立: 1966年4月

■WEB:http://www.tasiro.co.jp/

配信元企業:株式会社タシロ

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