1963年のテレビアニメ『鉄人28号』に始まり、1970年代の『マジンガーZ』『機動戦士ガンダム』を経て、現在に至るまで多くの作品が制作され、多数のファンを魅了し続けている日本の巨大ロボットアニメ。そのデザインと映像表現の歴史を紐解き、「巨大ロボットとは何か」を問いかけるかつてない展覧会が、2月10日(土)から4月7日(日)まで、神奈川県横須賀美術館で開催される。

日本独自ともいえる進化と広がりを見せてきた巨大ロボットアニメの世界では、空想上のロボットという荒唐無稽な存在に映像的な「リアリティ」を与えるために、デザインや設定上での多くの創意工夫が凝らされてきた。同展で注目するのは、その「リアリティ」形成において重要な役割を果たした「メカニズム」と「大きさ」だという。

同展の魅力のひとつは、主人公が「搭乗」し、「合体」「変形」する巨大ロボットの「メカニズム」に焦点をあてた展示がなされること。玩具展開を前提としたデザインには様々な工夫が施されているが、そこにはそれなりの合理性があるのだとか。同展では、デザイン画やアニメ劇中の場面などから制作した造作物によって、そのメカニズムの魅力を明らかにするとともに、さらに装甲の裏側や隙間からのぞくロボットの「内部メカ」にも注目する。

同展がもうひとつ光をあてるのは、ロボットの「大きさ」だ。「劇中で設定された通りの大きさに引き伸ばしたら、巨大ロボットはどう見えるのか?」という視点から再現された巨大な展示は、来場者がアニメの搭乗人物になったような気分でリアルな大きさを体感することが可能となっている。

なお、同展は巡回展だが、横須賀美術館ならではの見どころがもうひとつある。SFクリエイター集団「スタジオぬえ」の主幹のひとりであり、『宇宙戦艦ヤマト』など数多くの映像作品にデザインを提供してきた横須賀出身のメカニックデザイナー・宮武一貴が、同館内で巨大絵画の制作を行ったことだ。日本のメカニックデザイナーの草分け的存在である宮武が巨大ロボットを描いた巨大絵画2点のうち、1点は今回の横須賀会場で初展示となる。世界中のロボットシーンに絶大な影響を与えてきた宮武のロボットワールドを目撃できるのも楽しみだ。

<開催概要>
『日本の巨大ロボット群像 ―巨大ロボットアニメ、そのデザインと映像表現―』

会期:2024年2月10日(土)~4月7日(日)
会場:横須賀美術館
時間:10:00~18:00
休館日:3月4日(月)、4月1日(月)
料金:一般1,300円、大高・65 歳以上1,100円(2月18日は無料)
展覧会公式サイト:https://artne.jp/giant_robots/
美術館公式サイト:https://www.yokosuka-moa.jp/

鉄人28号(1963年 モノクロアニメ) ©光プロダクション・エイケン