■ついに『Apple Vision Pro』が発売 さっそく生活の中に取り入れるユーザーも?

 2月2日、Appleの空間コンピュータApple Vision Pro』がついに発売された。いまのところは米国限定販売。日本での発売については不明だ。

【画像】ECマーケット「BOOTH」3Dモデルカテゴリの取扱高は31億円規模に成長

 使用感についての報告はもちろんだが、屋外で『Apple Vision Pro』装着してなにかをする映像などもチラホラ登場している。「The Wall Street Journal」のYouTubeチャンネルでは、装着したままスキーをする試みまでなされており、日常生活に溶け込むデバイスとして、早速ユースケースの模索が始まっている。余談だが、利用者を指した「Vision Bro」なる言葉まで生まれているようだ。

 Apple公式からも、宣伝動画やメイキング動画が相次いで発表されており、Appleらしくイメージ面からのプッシュが始まろうとしている。人気ゲーム『崩壊:スターレイル』の対応まで発表されており、アプリ面からも訴求が始まっている。とはいえ、日本円にして約50万円という価格は、まだまだ普通の人が手に取るには勇気がいるだろう。

 上述の通り、日本では未発売なのだが、国内からも様々な人が『Apple Vision Pro』を求めて渡米しているようで、使用感の報告も続いている。今後続々と『Apple Vision Pro』の実態に関する情報が増えていくだろう。筆者も機会を見つけて実機に触れておきたいところだ。

パナソニックはVR機器メーカー・Shiftallの株式を譲渡

 国内XR業界の動向としては、VR関連機器メーカーであるShiftallの株主変更、というトピックが挙げられる。パナソニックホールディングスからクリーク・アンド・リバーへの全株式譲渡がアナウンスされ、2月1日付で株主が変わった。

 Shiftallはフルボディトラッキングデバイス『HaritoraX』や、メガネ型VRヘッドセット『MeganeX』などを発表してきた国産メーカーであり、2018年からパナソニックホールディングスの子会社となっていた。展開中の製品やサポートについて、今回の件を受けての変更はないとのことだ。

 しかし、このタイミングでの株式譲渡というのは気がかりな動きだ。クリーク・アンド・リバー自身もXR・メタバース事業を有するので、双方の協働がどのように功を奏するかは注視すべきだろう。

■老舗百貨店は3Dアバターのラインナップを拡充 3Dモデル市場は順調に伸長

 昨年10月に3Dアバター市場へと本格参入した大丸松坂屋百貨店は、2月2日に第2弾となるオリジナル3Dモデルを発売した。ラインナップは全4体で、今後追加で1体発売を予定しているとのこと。価格は第1弾に引き続き3万円代のいわゆる“ハイブランド帯”となり、「正装」というコンセプトも共通している。

 筆者も実際にサンプルを試着してみたが、正統派だった第1弾とは異なり、第2弾はかなりエッジの効いたデザインが多い(強いて言えば第1弾の『瑚紅姫』が傾向として近い)。可動する蝶のようなパーツがついていたり、クラゲを呼び出したりするなど、ファンタジーな仕掛けがほどこされているものもある。シンプルなスーツやドレスにとどまらない、様々なベクトルで解釈された「正装」が楽しめるラインナップだ。

 なお、今後さらに第3弾アバターも2体発売予定とのことで、大丸松坂屋百貨店ブランドのメタバース向けアバターは一気に12種類がそろうことになる。そのうち2体ずつが共通規格の身体構造となり、衣服データの互換性を担保するとのことで、ユーザーに根付いた改変(着せ替え)需要にもリーチしようとしている。一度きりの発売で終わらず、継続した取り組みでファンを獲得していく、メタバースビジネスの模範的なルートを進んでいる形だ。

■取扱高は24億円から31億円に伸長 国内最大3Dモデル市場の動向を読む

 前述の大丸松坂屋百貨店アバターも販売されているECマーケット『BOOTH』からは、3Dモデルカテゴリ商品の取り扱いデータをまとめた「BOOTH 3Dモデルカテゴリ取引白書2024」が発表された。昨年発表されたものに、2023年のデータを追加した最新版データとなる。国内最大の3Dモデル市場の動向が、具体的数値とともに読み取れる貴重な資料だ。

 具体的には、3Dモデルカテゴリ商品の取扱高は24億円から31億円に、注文者数は12.9万人から14.8万人に伸長。伸び幅は昨年にやや劣るものの、着実に市場が大きくなっている。年間支出額が高額なユーザーも地道に数を増やしているようだ。

 また自分以外のユーザーに商品をプレゼントすることができる「ギフト機能」の利用率も発表された。こちらも順当に利用者が増え、2023年12月はキャンペーン効果によってか、3Dモデルカテゴリ全体のうち10%超の注文を占めたようだ。「アバターや服の3Dモデルをプレゼントする」という文化が根付くきっかけとなるだろうか。

 こうした現状をプッシュするべく、『BOOTH』公式も尽力している。『VRChat』での公式ワールド展開や、クリエイターのメディア露出、そして3Dアバター作成ツールVRoid Studio』への「フルスクラッチアバター向け3D衣装フィッティング機能」の実装など、3Dモデルを使うユーザーへの訴求を加速している状態だ。クリエイターもプラットフォームも一丸となり、メタバース向け3Dモデル市場の成長は続いていきそうだ。

参考:「BOOTH 3Dモデルカテゴリ取引白書2024」

(文=浅田カズラ)

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