ピクサーの名作『トイ・ストーリー』にインスピレーションを与えたアメリカ・サンフランシスコの最古のおもちゃ屋が、86年の歴史に幕を閉じ、永久に閉店することになった。
家族経営で今日まで続けてきた同店だが、近年のインフレ、犯罪多発など複数の理由により継続させることが困難になり、苦渋の決断を取らざるを得なかったようだ。
【画像】 「トイ・ストーリー」のモデルとなったおもちゃ屋が閉店
ピクサーの名作「トイ・ストーリー」のモデルとなった象徴的なおもちゃ屋『ジェフリーズ・トイズ』が、今年2月いっぱいで閉店することを発表した。
1938年にルーン家によって創業された同店は、かつてはサンフランシスコのベイエリア全域に数店舗を構えていたが、現在はファイナンシャル・ディストリクトの1店舗を残すのみとなっている。
店のウェブサイトによると、創業者のモートンさんとバーディ・ルーンさん夫妻は、「バーディーズ・バラエティ」という5ドルショップを開いていたが、第二次世界大戦後、店を「バーディーズ・トイ・ハウス」と改名し、おもちゃのみを販売するようになったそうだ。
その息子で現在の共同経営者であるマシュー・ルーンさんは、1990年代半ばにピクサーでストーリー・アーティスト兼ライターとして働いていた。
マシューさんは映画「トイ・ストーリー」の構成を考えるときは、ジェフリーズ・トイズに出向き、父親のモートンさんにアイデアをもらったという。
父はわざわざ私のために店を閉めて、「遊んで、楽しんで、何か必要なものがあったら言ってくれ」と言ってくれました。
インフレや凶悪犯罪など複数の理由で86年の歴史に幕
サンフランシスコの最古のおもちゃ屋として名を馳せたジェフリーズ・トイズは、コロナパンデミックの最中に経営が悪化し、以降回復することはなかった。
父親と継母と一緒におもちゃ屋を経営しているルーンさんは、今日までお金をつぎ込み、苦労を重ね、愛情を注いできたが、店は市から何の援助も受けていなかったそうだ。
そのため、毎月2万ドル(約300万円)近い店の賃貸料を支払ってきた一家は、今後店を維持するための費用を賄うことがどうにも困難になってしまったという。
・合わせて読みたい→子供に夢を売るおもちゃ店「トイザらス」が銃器販売店に生まれ変わっていた件
また、サンフランシスコで多発する凶悪犯罪は、店のスタッフにも影響を与えた。元従業員の一人が店の壁に突き飛ばされ、刺されそうになったこともあったようだ。
一家の弁護士は、このように述べている。
ダウンタウンの危険な環境と暴力、インフレ、個人消費の減少、そして世界中の小売店の衰退により、この店は何年も苦境に立たされてきました。
家族はこのような事態になったことを悲しみ、事業を継続させるために他のあらゆる選択肢を検討しました。
弁護士は、かつては活気があり楽しかったダウンタウンの光景が今のようになってしまったのは、犯罪を野放しにしたサンフランシスコ市とダウンタウン協会の指導者たちの責任だと非難している。
地元企業の閉店が相次ぐサンフランシスコ
最新の犯罪統計では、2023年にサンフランシスコ全域で発生した強盗事件は、前年比14.4%増という驚異的な数字を記録した。
Neighborhood Scoutによると、サンフランシスコの安全度は全米のわずか1%で、強盗発生率は全米平均の4.5倍以上だという。
ジェフリーズ・トイズは、この街を支配する犯罪の蔓延により閉店する小売店の長いリストの最新のひとつに過ぎない。
2020年春にコロナのパンデミックが発生して以来、サンフランシスコのダウンタウンでは約40の小売店舗が営業を停止したということだ。
References:Iconic San Francisco toy store that inspired ‘Toy Story’ films closing after 86 years over ‘perils and violence’ in city’s downtown / written by Scarlet / edited by parumo
ピクサー映画17本はこんな風につながっていた。トイ・ストーリーの公式サイトが公開したピクサー映画のつながり
あわせて読みたい
見知らぬ人のやさしさが心にしみる、おもちゃ屋で予期せぬギフトカードをもらった母親が感動をシェア
子供に夢を売るおもちゃ店「トイザらス」が銃器販売店に生まれ変わっていた件
シークレット・サンタになっておもちゃ屋の顧客の未払金を完済した男性
コメント