民放公式テレビ配信サービス・TVer初の完全オリジナル番組「最強の時間割〜若者に本気で伝えたい授業〜」シーズン2のLesson12が2月2日に放送された。世界中の先住民族を撮影してきたフォトグラファー・ヨシダナギが講師として登場し、愛してやまないアフリカの魅力を語った。

【写真】秋元真夏がフォトグラファー・ヨシダナギのアフリカトークを聞く

■「最強の時間割」とは

「最強の時間割 ~若者に本気で伝えたい授業~」は、さまざまな業界のトップランナーを講師として招き、学生や社会人に「知っておいてよかった」と思える“考え方のヒント”を届ける民放公式テレビ配信サービス「TVer(ティーバー)」の完全オリジナル番組。

2022年12月から約半年にわたり、放送された同番組が好評を受けて帰ってきた。シーズン2は11月3日よりスタートし、シーズン1に引き続きラランド・ニシダが副担任役、ラランドサーヤが生徒役。そして新しく生徒役として元乃木坂46秋元真夏が参加する。

アフリカを旅するヨシダが語る、現地の人々と仲良くなる方法とは

今回の講師は、2016年には日経ビジネス誌「次代を創る100人」に選出され、その翌年に講談社出版文化賞の写真賞受賞、世界各国を独自の価値観で旅する人々たちに密着したバラエティ「クレイジージャーニー」(TBS系)に何度も多数出演しているフォトグラファーのヨシダナギ。2009年に独学で写真を学び、単身アフリカへ。以降はアフリカをはじめとする世界中の先住民族を撮影してきたヨシダが、その魅力と自身の人生哲学について語った。

ヨシダが初めて行った場所は、日本から一番近いアフリカと称されるエチオピア。衛生面など色々な面で驚きはあったものの、それが逆に刺激的で楽しかったという。そんなヨシダが語る現地の人々と仲良くなる秘訣は、相手の文化に馴染むこと。できる限りホテルではなく現地の人の家に住まわせてもらい、同じものを食べ、同じ格好をするように努めているそう。番組ではナミビアを訪れた際には、ヒンバ族の女性たちと同じように上半身をさらけ出し、全身に赤土を塗ったヨシダの姿があった。ヒンバ族の人々は自分たちとは文化の違う人間が羞恥心を捨て、肌をさらけ出す“勇気”を買ってくれるのだという。ヨシダは「普段は笑わない人たちなのに、その時だけは笑って喜んでくれた」と語った。

女性一人でアフリカを訪れ、危険はないのかという質問に対しては「意外に心配ない」と回答。というのも、ヨシダはいつも全身真っ黒な格好で行くそう。すると、周りの視線を一挙に集めるため、必然的にヨシダに対して何か悪いことをしようとする人がいなくなるのだとか。

現地の人たちと同じように過ごすことで分かることもたくさんある。例えば、一夫多妻制の国もアフリカには多数あるが、妻同士の嫉妬がないわけではなく、「シェアはしたくないけど、文化だから」と仕方なく受け入れている人も意外に多いことも分かった。また妻同士でのマウントの取り合いもあり、恋愛話を聞いていると、「違うところもたくさんあるが、人間の本質は同じだな」と思うそうだ。

そんなヨシダは、初めてアフリカを訪れる際にオススメの国としてモロッコナミビアを挙げる。モロッコは街並みや雑貨が可愛く、アフリカの良さが詰まっているそう。ナミビアは人間よりも動物の数が多く、人の煩わしさから解放されるとのこと。一方で、ナミビアは「アフリカのL.A.」と呼ばれており、ホテルも安くて綺麗な場所が多いという。

■色んなことから逃げてきた結果、フォトグラファーに

そもそも、ヨシダはなぜアフリカにこだわるのか。始まりは5歳の時。たまたまテレビで見たマサイ族の姿がきっかけだった。日本の家に招かれ、畳の家で飛び跳ねているのを見て「かっこいい。大きくなったらマサイ族になろう」とヨシダは思ったそう。

それから18年後、ヨシダは23歳の時に初めてエチオピアに渡った。しかし、それはフォトグラファーとしてではない。完全に趣味であり、「フォトグラファーになりたいと思ったことは一度もない」そう。そのため、一台もカメラを所有しておらず、現在使っているカメラもNikonから借りているものだという。「色んなことから逃げてきた結果、フォトグラファーという肩書きがついてきた」と語るヨシダの人生とは?

14歳の頃、不登校になったヨシダは、スカウトをきっかけになぜかグラビアアイドルとしてデビュー。自分には向いていないと思いながら20歳までグラビアの仕事を続けたが、限界を感じ、撮影で出会ったカメラマンの勧めでイラストレーターに転身することとなる。しかし、わずか3年でスランプに陥り、アフリカに逃げたという。

写真を撮り始めたのは記録のため。人の顔をなかなか覚えられないため、アフリカで出会った人たちをポートレートに収め始めたのがきっかけだった。そのため、自身がフォトグラファーという認識はなく、「クレイジージャーニー」でフォトグラファーとして紹介された時は自分でも驚いたそうだ。

そのうち同番組をはじめ、テレビの撮影でアフリカを訪れるようになったヨシダ。その結果、プライベートで遊ぶ時間がなくなり、「なんか違う」と思い始める。そんなヨシダは何を思ったのか、食品サンプルのトレーナーになろうと決意し、資格を取得。1日中、食品サンプルづくりに明け暮れたが、材料の樹脂を吸いすぎてアレルギーになってしまったため、断念したという。一度はフォトグラファーの仕事から逃げたものの、そういうことがあり、現在まで7年続けている。

何かを辞めることに躊躇はないのかという質問に「嫌だなと思いながらやっている方が怖い」とヨシダ。人によって向き不向きがあるため、嫌なことから逃げるのは決してダメなことではなく、「新たなチャレンジ」と語った。そんなヨシダがこれから挑戦しようと思っていることは、クラウドファンディング。もう一度、ベスト写真集を出版するため、渡航費用などを集めたいと考えている。

最後に、鈴木は番組恒例の「カッコいい大人とは?」という質問に、「好き勝手に生きる人」と回答。「自分の人生なのであまり人のことは考えず、自分本位でいいんじゃないかな」という持論で今回の講義を締めくくった。

■文/苫とり子

「TVerで学ぶ!最強の時間割」にフォトグラファーのヨシダナギが登場/(C)TVer