原田泰造が主演を務めるドラマ「おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!」(毎週土曜夜11:40-0:35、フジテレビ系)の第5話が2月3日に放送された。アップデートされて偏見がなくなってきた誠(原田)が大地(中島颯太)と円(東啓介)のカップルに、無意識でアウティングしてしまった姿が描かれ、やるせなく辛い気持ちになった。(以下、作品のネタバレを含みます)

【写真】誠(原田泰造)につかみかかろうとする円(東啓介)&止めようとする大地(中島颯太)

■偏見だらけの“おっさん”が古い常識のアップデートに奮闘

同作は、練馬ジムの同名漫画が原作のホームコメディー。「男は男らしくあるべき!」という古い価値観を持つ沖田誠(原田)は、家族からは「堅物」と嫌われ、デリカシーのない言動で会社の部下からも敬遠されている。

そんな偏見だらけの“おっさん”である誠に、二回り以上年下のゲイの友達ができたことで、これまでの古い常識がアップデートされていく。愛する家族のため、そして、周囲の愛すべき仲間たちのため、 誠の奮闘劇が始まる。

物語を導くゲイの青年・五十嵐大地役をFANTASTICS・中島颯太が演じる他、誠の息子でアップデートのきっかけとなる一言を誠にぶつける息子・沖田翔役を城桧吏が、デリカシーのない誠に反発する大学生の娘・沖田萌役を大原梓が務める。

また、昭和世代からは、大地の母親・五十嵐美穂子役に松下由樹、堅苦しい夫を半ば諦めていた妻・沖田美香役に富田靖子と演技派2人がそろい、大人の女性目線からも昭和のダメオヤジを叱咤(しった)激励する。

■沖田家でバーベキューを開くことに

昭和生まれの51才・沖田誠はそのデリカシーのない言動のせいで家族や会社の部下たち、さらには愛犬のカルロス(こまち)にまで嫌われていた。ある日、誠は引きこもっている息子・翔の部屋にいる五十嵐大地がゲイであることを知り、思わず翔の部屋に入って大地を否定してしまう。そんな誠に対して、翔は「僕は…お父さんみたいな人には絶対なりたくない!」と冷たく言い放つ。

家族のために頑張ってきたつもりの誠だったが、何をどうすればいいのかすら分からない。そんな苦悩を抱える誠に大地が声を掛け、大地との交流によって誠は意識を変える決心をする。

誠は大地に「もし嫌じゃなければ、彼氏とのなれそめを教えてくれないだろうか…?聞いてみたいんだよ、私の若い頃と同じなのか」と質問する。誠からのその言葉に、「一目ぼれだったんです」と円との出会いを明かす大地。さらに、自身がゲイであることで抱えている日常の怖さを語る。

ある日、沖田家で大地の恋人・円(東啓介)も呼びバーベキューが開かれることになる。美香は楽しくしていたら、翔も顔を出すかもしれないと密かに期待していることを誠に話し、誠もいい案だと同意する。

■円「本人でさえ、なかなか言えなくて辛いのに、他人がそんな簡単に言うな」

バーベキュー当日、誠は仕事で遅れることになり、美香と萌が準備をしたところに美穂子、大地、そして円がやってくる。萌が甲斐甲斐しく飲み物をすすめたり、食材を焼いたりしてもてなし、円も「めちゃめちゃ美味しい」と喜んで場が盛り上がる。

誠はいつもの洋菓子店でケーキを買って意気揚々と帰宅する。「遅くなって申し訳ない」と誠が声をかけると、大地や円が立ち上がって挨拶し、萌が円を大地の大学の先輩だと紹介しようとする。すると誠は笑顔で「大地くんの彼氏だね」と言い、その場が凍りついてしまう。

大地が「誠さん、どうして…」というと、まだ空気が変わったことを読めてない誠は「実は2人が一緒のところを見かけたことがあるんだよ、仲がいいのは結構なことだね」とニコニコと笑う。円は誠の言葉に血相を変えて誠の胸ぐらをつかんで「いきなりアウティングかましやがって」と憤り、大地が円を止めながら「誠さんはたぶんアウイティングを知らないんだ」と言う。固まって「アウティング…?」とキョトンとする誠に「あんたが今やったことだよ。俺と大地がゲイだってしゃべった。勝手に、俺たちの了承無しに!自分たちが隠してるのにバラされて、周りの見る目が変わって、それを苦にして自殺に追い込まれる人間だっているんだぞ!あんたが今したのはそれぐらいのことなんだ!」と糾弾する円。「本人でさえ、なかなか言えなくて辛いのに、他人がそんな簡単に言うな」と悲痛な面持ちで続ける円に、誠は涙を目に浮かべながらただ立ち尽くすしかなかった。

アップデートできて偏見がなくなったからこそ、口をついて出てしまった誠に複雑な気持ちになるものの円の辛さも理解でき、やるせなくなった。

◆構成・文=牧島史佳

「おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!」第5話より