伊東純也

サッカー日本代表伊東純也選手に関する「疑惑」が波紋を呼んでいる。昨今、週刊誌が著名人の性加害問題を報じることが多い。中には、タレント側が事実無根を主張し、裁判に発展するケースも見受けられる。

週刊誌の「性加害報道」には落とし穴が潜んでいて…。

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■伊東をめぐる疑惑が波紋

ことの発端は、2月1日発売の『週刊新潮』の報道だった。同誌によれば、伊東選手が昨年6月に大阪市のホテルで酒に酔った状態の女性2人に対して、自身の専属トレーナーと共に同意のない性行為をしたという。

女性2人は大阪府警に対して、伊東選手を準強制性交罪で刑事告訴している。だが、1日には伊東選手の代理人を務める弁護士が女性らを虚偽告訴罪で告訴。今後の動向が注視されている。

 

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■週刊誌の報道に疑問の声も…

一連の報道を踏まえ、日本サッカー協会は伊東が代表メンバーから離脱すると発表。アジアカップ真っ只中に降って湧いた「スキャンダル」は衝撃を与えた。

そんな中、ネット上では、「週刊誌は中立な報道をするべき」「昨今、週刊誌の性加害問題はやりすぎだと思う」「なぜ週刊誌は結果で報道せずに過程で報道するの?」「しっかり取材して正しい情報を発信してほしい」など、週刊誌の「性加害報道」に疑問を抱く人の声も見受けられる。

社会的にも影響力の高い週刊誌の「性加害報道」はいかにして行われるのか。関係各所に取材した。

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■性加害報道の難しさ

2022年には木下ほうか、昨年12月にはダウンタウン・松本人志と、昨今週刊誌が著名人の性加害疑惑を報じることが多い。過去に週刊誌の記者として働いていたAさんは、性加害問題の取材は難しいと指摘する。

「最近はどの週刊誌もホームページ等で情報提供を受け付けています。著名人が女性に性的関係を迫ったという情報も多数寄せられます。ただ、この問題はたとえ事実だったとしても、相手側から名誉毀損等で訴えられることが多いため、慎重に取材しなければなりません。被害を訴える人から、いつ、どこで、どんな被害を受けたのかなど、5W1Hを細かく聞く必要があります。また、記事で双方の言い分を掲載するため、加害者とされる相手にもきちんと事実確認をしなければなりません。取材の過程で少しでも食い違いがあったり、曖昧な点があると、記事化を見送ることもあります」(Aさん)。

寄せられた多数の情報から記事になるのはほんの一握りだという。

 

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■元週刊誌記者が明かす「落とし穴」

長い時間をかけて地道に取材する性加害問題。Aさんによれば、「性加害報道」は一歩間違えると「落とし穴」にはまる可能性があるという。

「以前、ある著名人が女性に無理矢理関係を迫ったという情報が寄せられました。女性側から話を聞いたところ、詳細な日付やメールのやりとりといった証拠も揃っており、記事にする寸前まで話が進んでいました。ですが、加害者とされる相手やその周辺の関係者に取材すると、女性側が話をでっちあげた可能性が高いことが判明したんです。もちろん、記者は情報提供者を信用しますが、そもそもの情報源が誤っている可能性もあります。取材する記者は、被害者と加害者どちらにも偏らず、中立的な視点を持たなければなりません」(Aさん)。

結局、この件は掲載見送りになったため、世に出ることはなかったという。だが、一歩間違えば、誤った情報で一人の人間の人生を変える可能性もあったのだ。

改めて、週刊誌の「性加害取材」には、慎重な姿勢が求められる。

 

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■執筆者プロフィール

斎藤聡人:1991年生まれ。『Sirabee』編集部記者。

某週刊誌の芸能記者を経て現職に。ジャニーズネタなど、芸能ニュースを中心に様々なジャンルを取材する。

チェーン店からローカル店まで様々な飲食店をめぐり、グルメ記事も手がける。仕事も兼ねた毎日のドラマ鑑賞が日課。

今期の推しは、『正直不動産2』(NHK)、『院内警察』(フジテレビ系)、『不適切にもほどがある!』(TBS系)。

伊東純也の疑惑が波紋、週刊誌「性加害報道」に潜む落とし穴 被害者の取材をする時に…